交際費


 法人が支出する交際費については、その支出の状況やこれに対する社会的批判があることから、租置法61条の4で交際費等の損金不算入の制度が設けられています。


このため法人にとっては、ある支出が「交際費等」として損金不算入となるのかその他の費用として損金算入されるかは重大な問題となっています。この節では損金不算入となる交際費等の範囲、費用の区分や損金不算入額の計算について設例をもとにチェックしていきます。


(注)交際費課税は、昭和29年に法人の交際費について、濫費を抑制して企業の資本蓄積を促進するためとして創設されました。


(1)交際費の範囲


1.法令上の解釈


 交際費等の範囲として、法は措法61条の4Bとそれにより委任された措令38の2で規定されているだけで、後はこの法の解釈として「費用の例示、・・・との区分」等のたくさんの通達が公表されております。


(1)文理上の交際費等とは


 措置法61条の4Bでは、「交際費、接待費、機密費その他の費用で、


  法人が、その得意先、仕入先その他事業に関係のある者等に対する


  接待、供応、慰安、贈答その他これらに類する行為のために支出するもの


  をいう。」とされています。


 そして「支出するもの」のかっこ書きで、「専ら従業員の慰安のために行われる運動会、演芸会、旅行等のために通常要する費用その他政令で定める費用を除く」とされています。


利益を追求する企業には本来「冗費」は有り得ないとも考えられますが、これら「接待、きょう応、慰安、贈答」等の行為は、交際費課税の趣旨である社会的な批判を受ける「冗費(無駄づかい)」だとしています。(「交際費の税務」大蔵財務協会5頁)


 措令37条の5で、措法61条の4Bに規定する交際費等から除かれる費用として


一 カレンダー、手帳、扇子、うちわ、手ぬぐいその他これらに類する物品を贈与するた  めに通常要する費用


二 会議に関連して、茶菓子、弁当その他これらに類する飲食物を供与するために通常要  する費用


三 新聞、雑誌等の出版物又は放送番組を編集するために行われる座談会その他記事の収  集のために、又は放送のための取材に通常要する費用


をあげていますので、これらは企業が支出する”おつき合い費用”のうち”社会的批判を受ける無駄づかい”とならないものであろうと思われます。


 すなわち法では、損金算入を制限する交際費等とならないものは、次の様なものだといっているわけです。


   ★従業員の慰安関係の費用


   ★少額の広告物品の贈答費用


   ★会議関連の通常飲食費用


   ★出版、放送編集のための通常飲食費用


 法律で規定されているのはこれだけですが、相当広範囲にわたる漠然とした規定の仕方をされております。


【解釈上のポイント】


◎「支出するもの」とは、「接待、きよう応、慰安、贈答その他これらに類する行為のために支出する費用」されていますので、企業が損金経理した接待用固定資産の減価償却費やその固定資産を売却したことによる譲渡損は、この「支出するもの」ではありませんので交際費等にはなりません。


◎「これらに要した費用」を仮払又は未払等で経理をしていても交際費等に該当します。(措通61の4(1)−24)


◎「その他これらに類する行為のため」とは「接待、きよう応、慰安、贈答」の為に直接支出するものだけではなく、これらに伴って支出した一切の費用が含まれますので、それに伴う旅費交通費もこれに含まれることになります。


◎「その他事業に関係のある者等」には全ての従業員を含むと多数説は考えられています。また通達(措通61の4(1)−22)でも、「当該法人の役員、従業員、株主等も含むことに留意する。」たされています。また不特定多数の一般大衆以外の将来の顧客もこれに含まれると考えられます。


◎「専ら従業員の慰安のために」の「専ら」とは一般的に「機会均等的に」と考えられています。即ち福利厚生事業として自由に参加できる仕組みになっている必要があるでしょう。一般的には概ね従業員が8割以上で有れば「専ら」であるとの考えもあるようです。


(2)判定の要件


交際費等の判定をする上で前記の定義だけでは分かり難いので、判例などではこれらを分析して交際費を判定をしようとしております。


 次のような二要件説で説明している判決(東京地判昭53.1.26、訟務月報24巻3号692頁)があります。


@「支出の相手方」が、事業に関係ある者等であること。


A「支出の目的」が、事業関係者との間の親睦の度を密にして取引関係の円滑な進行を図るためであること。


それに次のものを加えた三要件説で説明する考え方もあります。


B「行為の形態」が、接待、きよう応、慰安、贈答その他これらに類する行為であること。


 一般的にはこの三要件説が評価されています。これでもこれが交際費等とは何かはっきりとしません。しいて言えば「事業関係者との間の親睦の度を密にして取引関係の円滑な進行を図るため」ぐらいでしょうか。カレンダーの贈答ぐらいでは取引関係の円滑な進行を図るとまではいかないとした趣旨なのでしょう。


 談合金や総会対策費は通達(措通61の4(1)−15(6)(10))では交際費等だといっておりますが、これらは対価たる性格を有するものでこれだけで説明することは困難でしょう。


 それだけでも概括的なこの規定を説明できませんので、交際費課税の根拠といいますか趣旨から「社会的な批判を受ける冗費」として、「交際費により利益を受ける個人の所得の捕捉が困難なところから」の代替課税や「証券会社の損失補填や談合金など」違法な支出課税をあげ説明する場合もありますが、万人に認められるとまではいえないようです。


(税法の解釈適用は租税法律主義の立場から法の文言のみに限定されるという考えもあるでしょうが、「すべての法規が何らかの目的によって制定され、かつ存在しているものである以上、その制定され現実に存在している法の解釈・適用、(中略)も、その法の趣旨・目的が重んぜられなければならないことは理の当然だといえる」(吉良実 シュトイエル94号9頁)と考えられます。)


 そこで税務上、国税庁長官によって発せられた通達によって法の解釈を示し税務行政の統一を図っています。この為その内容は法令に抵触するものではあってはならないとされています(金子宏 租税法第四版104頁)。



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Last Updated: 6/JUL/96