保険と義理チョコ


SYSOP(税理士):2月、3月は所得税、贈与税や消費税の確定申告で我々税理士は、忙しい季節を迎えます。今年は3月15日が金曜日なので、15日に夜中に税務署の夜間収受のポストに入れて、土曜日、日曜日はゆっくりできると良いのですが。


オタク(パソコンお宅):SYSOPさんは、3月は15日に向けて忙しいそうですが、私は3月14日のホワイトデーの贈り物のお返しで毎年大変です。2月14日のバレンタインデーに縁がない人は羨ましい。


SYSOP:「義理チョコのお返し」お疲れさまです。


もともと、2月14日のバレンタインデーは、3世紀のはじめ頃、バレンチノというローマの司祭が、時の皇帝が富国強兵策のために出した「結婚禁止令」に反対して、愛し合う二人であれば兵士でも結婚を許していたことで処刑された日で、「聖なる日」とし宗教的な日だったものでした。それがやがて「本当の愛を告白する日」から「女性からの愛の告白の日」になったもので、今では女性からチョコレートを送る日となって、オタクさんのところに義理チョコが舞い込むことになったのでしょう。


保子(生命保険のベテラン外交員):私も、バレンタインデーにはチョコレートを持ってお客さん周りをします。然しホワイトデーのお返しは余り期待できませんが・・・Hi


オタク:保子さんの仕事も大変ですね。ところでホワイトデーの由来は何ですか。


SYSOP:ホワイトデーは、外国にはありません。日本独自のものです。もともとは、菓子メーカーが火付け役みたいですよ。男にとっては、これは業界の陰謀です。その上、倍返し、3倍返しといわれるようになると、もう悪習としかいえませんね。


オタク:倍速だ、4倍速だと倍々で増えるのはCD-ROMデスクみたいなパソコンのスピードだけにお願いしたいですね。


保子:贈り物は、メンタルな行為の現れで、コンピューターみたいに性能で割り切ることはできません。生保レディーといわれる私たちの仕事も、人間関係というメンタルな面が重要です。その点では女性が向いている仕事かも知れません。


SYSOP:確かに、日本の生命保険事業は、戦後、女性販売制度となった”婦人外務員部隊”が創設され、それが今日の世帯加入率9割を超す「生命保険大国」となった原動力となっています。


保子:保険契約高では、1,500兆円を超える日本が1位で、2位米国、3位フランスの順になっています。


オタク:日本人の生命保険好きの理由は3つ有るそうです。一つは付き合いで保険に入る例が多い。二つ目は、生保レディーの人海戦術による。三つ目として老後の保障としての貯蓄性を考えているそうです。(日経H7.5.23夕刊)


保子:人海戦術としては、45万人の外務員がこれにあたっています。


オタク:以前聞いた話ですが、10人採用した生保レディは2年で8人は辞めるそうですが、その様な状態では、質的な充実は図れないのではないですか。


保子:保険大国といわれる反面、世間は以外と保険会社を冷たい目で見ます。それは、販売体制のによる世間の批判があるのかも知れません。


 外務員制度の質的充実を図るために、昭和52年から「外務員試験合格登録制度」がスターとしたり、待遇改善も行われてきました。


SYSOP:新出の外資系の生保では、生保レディー中心の販売形態とらないところも現れています。ライフプランナーとして特化している生命保険会社もあるそうですね。


オタク:私自身もそうですが、年間にどのぐらい保険料を支払っているか?どんな種類の保障が得られるか?いつまで支払うのか?などハッキリ判っていない人が多いのではないでしょうか。それは、親戚のおばさんが、保険の外交員をやっていたので内容を良く理解しないで義理で入っってしまったからかも・・


保子:義理ではいるには、高額すぎる買い物かも知れませんね。


オタク:このように義理で生命保険に加入した反動が、逆に保険会社に対して冷たい目で見るようになった理由でしょうか。


保子:保険業界では、生保と損保の相互参入や保険料率の一部自由化などの規制緩和が予定されています。生保各社では、今後運用利回りの格差によって、横並びの保険料の設定が困難になり、整理統合が図られるようになりそうです。


オタク:生命保険会社の保有する株式の含み益が減り、倒産するかもしれない時代を迎えていると書かれていましたが(朝日H8.1.4)、自分の加入している生保が大丈夫かどうか知る必要がありそうです。


保子:毎年、決まった保険料収入がある生保では、銀行のように急に資金不足を来して倒産するようなことはないと思いますが、加入者のために、生保会社は含み益を含めたデスクロージャーが必要でしょう。


SYSOP:大蔵省では、デリバティブ取引を対象に、長年続いた会計原則を変更して、時価で資産評価をする「時価会計」の適用を認めて、金融機関の不透明な決算処理方法を変えていくそうです。これから、色々な方面に正しい情報の開示が求められてくるでしょう。(日経H8.1.4)


オタク:バブル経済の崩壊は、生保業界も安泰ではいられなかったのですね。


ビジター(法学部学生):生保商品の中でバブルの崩壊で影響を受けた「変額保険」によるトラブルが、多く発生していますが、「変額保険」とはとのような保険ですか?


保子:変額保険は、昭和61年に発売され、その当時話題になった商品です。もとは欧米の人気商品で、それが日本に入ってきました。運用資産の投資対象は主に株式などの有価証券で、運用実績に応じて死亡保険金、満期保険金、解約返戻金の額が変わるハイリスク・ハイリターンの生命保険です。また、保険料の運用が、他の保険料と分離して行われるために、バブル期には、その高利回り性から有利な投資商品として注目されました。


SYSOP:しかし株価の下落などによって、バブル崩壊後運用利益がマイナスとなり一時払い保険料を大幅に割り込み、保険契約者が多額の損失を被る事案があいつでいるとのことです。


ビジター:このため、損失を被った保険契約者が、契約の際に変額保険のリスクを良く説明していなかったとして保険会社や銀行を相手取って不法行為の損害の賠償などを求める訴訟が数多く提訴され、その判決が出ています。


オタク:相続対策にと、被相続人の不動産を担保に銀行から、変額保険料の全額を借入れでおこない、相続税の課税対象額の圧縮と納税資金の確保や資産活用を目的に、変額保険の勧誘があったようですね。


保子:確かに銀行などの金融機関の紹介で変額保険に加入していただいたこともありました。しかし、保険契約の勧誘では、将来における利益の配当又は剰余金の分配についての予想を文書呈示して募集してはならないことになっています(募取法15A)。そして、最終的には保険契約者ご本人様に判断をして頂き契約しております。


ビジター:このような事件の判決の多くは、保険の契約者が、最終的に自己の才覚に基づき、変額保険を締結したのであるから、見込みを下回る結果になった危険は自ら負担するとしています。


SYSOP:保険契約者の請求が認められた事例もありませんか?


ビジター:保険契約者が勝訴した事件(東京地判平6.5.30、判例時報1493.49)では、保険契約者が危険性のない保険であると誤信して契約を締結したものであるから、要素の錯誤による保険契約の無効を認め、保険料の返還を命じました。また、保険会社が、変額保険の勧誘に際して、保険の有利性ばかりでなく、その危険性も十分に説明する義務があるのにしなかった説明義務違反の上、むしろ虚偽の事実を告知したのであるから、不法行為にあたるとして銀行借入利息及びこれに対する遅延損害金の賠償を命じました。


SYSOP:我々税理士の場合にも当てはまりますが、専門的な知識を有する者の説明義務についての責任は重く課されています。


保子:生命保険会社の外務員が行った相続税節税額の計算を正確に行っていなかったとした事件があったような気がしますが。


ビジター:それは東京地判平成6.7.25の事件だと思います。判決は、相続税節税額の正確な計算は税務の専門家でなくてはできず、保険の外交員のできることではないので、その数字が正確でなくても違法とはならないとしました。


SYSOP:税理士にとっては大変興味深い事件です。


逆から考えれば、当たり前なことですが、税理士がこのようなプランニングに関与すれば、専門家としての税理士の責任は、保険外務員や銀行員の比ではないのではないともいえます。変額保険の場合に限ったことでないことは言うまでもありません。


 最後に一言。「ものが壊れる確率は、その価格に比例する。」(マーフィーの法則)


  DISCONNECTED  NO CARRIER


 主に次の資料を参考にしました。


*千葉明『よくわかる生保業界』日本実業出版


*杉村富夫『規制緩和』実業之日本社


*松本恒雄「変額保険の勧誘と説明義務」金融法務事情1407号20頁



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Last Updated: 7/JUL/96