架空取引とつけ売買


SYSOP(税理士):お正月、七草がゆや鏡開きでスタートした1996年も、普段の生活に戻り、これから、所得税の確定申告などに追われる忙しい季節を迎えます。今年の干支のネズミのようにチョロチョロと頑張りましょう。


オタク(パソコンお宅):そういえば、SYSOPさんは、今年、年男でしたね。何回目かは聞かないこととして、何故十二支の最初が、ネズミでその次が牛なのか知っていますか?


ぶっさん(商社マン):私は、いのしし年ですが、何で十二支の最後なんですか。


オタク:それでは、十二支の起源を・・


 昔、神様が動物たちに、「正月の朝に挨拶に来なさい。早く来たうちから十二番目まで順番にご褒美をあげる。」と言ったそうです。


 ドン足の牛くんは、何とか一番になろうと大晦日の夜にこっそりと出発しました。それに気が付いたネズミくんは、ちゃっかりと牛くんの背中に飛び乗って、神様の所につくやいなや背中から飛び降りて一番になったそうです。猪くんが十二番になったのは、走り出したのは良かったのですが、猪突猛進してしまい地球を一周してしまったからです。


SYSOP:そうすると、ネズミ年の人は、チャッカリヤで要領の良いみたいですね。少しは思いあたりますが・・理屈もここまで付けられればたいしたものです。


オタク:そう、”理屈は後からついてくる”。法律みたいですね。


 ネズミというと、'ネズミ算'、'ネズミ講'に'ネズミ取り'とあまり良い意味ではつかわれていないみたいです。Hi!!


SYSOP:ネズミ講の事件として、以前「天下一家の会・第一相互研究所」のものがありました。この事件の後、無限の連鎖は望めないとして、”無限連鎖の防止に関する法律”ができて、非合法な利殖方法になりましたが、利益をたくさん得ることができる上位者には、下位者のことを考えなければ、すばらしいシステムです。


ぶっさん:無限の連鎖は、高速増殖炉(FBR)で可能ですが、昨年、この型の”もんじゅ”がナトリウム流出事故をおこしています。無限連鎖は難しい。


オタク:パソコンの世界では、Aからスタートして GOTO B とした命令を出し、その後Cへ、そしてAに戻してやるとループができ、いつまでもぐるぐる回っています。間違った命令でおきます。


ぶっさん:ある仕入担当者が、伝票だけの架空取引をして、会社に十数億円の被害を与えた事件がありました。仕入担当者のペーパーカンパニーを通じて仕入先Bから商品を仕入れたとした伝票を発行して、架空の取引を立てて買掛金の支払いを受けました。在庫がたまってくると仕入先Bに売却して、また違う商品を仕入れ、それを繰り返していたそうです。架空取引の金額が膨らみ、発覚するのを恐れたこの仕入担当者が失踪したことから犯行が発覚しました(日経1995,2,22夕刊)。


オタク:「考えは無限をつなぐ鎖」だといった人がいましたが、この事件では、逆に考えは無限を断ち切ってしまったようです。


SYSOP:伝票の取引は、商社の取引と類似したところがありますね。


 'ぶっさん'さん、「つけ売買」という言葉を聞いたことがありますが、どのような取引ですか?


ぶっさん:「つけ売買」とは法律用語ではありませんが、商社では、常態化した取引です。この取引は、すでに成立した売買契約の売主と買主との間に、主に売主の要請による場合が多いのですが、一流商社が介入させた取引です。商品は当初の売買契約通りに売主から買主に引き渡されますが、取引の形態としては、売主から商社が、当初の目的となった商品を一旦買い上げて、商社から買主に転売する形式をとります。


オタク:そうすると、例えば、売主は買主の手形より支払期日が早く、しかも割引を受けやすい一流商社の手形が取得できるため、資金繰りの便宜をうけ、また一流商社との取引があるとして、会社の信用上プラスになり、又商社としても、契約はすでに調っているわけですから、労せずして口銭を得ることが出来るなどの利点があるのですね。


SYSOP:商社の取引とは、金融取引みたいなものですね。それから、なぜ、このような取引を「つけ売買」というのですか?


ぶっさん:ハッキリしたことは分かりませんが、売り主・買い主の帳簿だけつけるという意味から、”帳合だけつける”から「つけ売買」といわれるようになったのではないかという説があります。


オタク:先程の架空取引のように、すでに契約が成立した帳簿上の取引だと、色々な問題がおきるのではないですか?


ぶっさん:架空取引と同じような場合がでてきます。一つは、商品が実際に買主に引渡されたかどうかです。この場合には、売主には代金を完済しているのに買主から代金の支払いが受けられないケースがでてきます。また買主が倒産してしまいますと、商社は、当初契約に参加していないのに、リスクだけ負うことになります。


SYSOP:取引の流れは、次のようになると思います。


契約書
注文書
注文請書

送り状控
納品書控
出荷案内書

受領書
検収通知書

 以上の場合に、どの段階で売主への支払をおこすのですか?


ぶっさん:受領書(あるいは検収通知書)を受け取った段階で支払をするのが一般的ですが、問題は多いのですが、取引が継続連続しておきているときは納品書段階で支払をおこすこともあります。


受領書の宛先は、実際の売主ではなく商社になるようにしています。書類の簡素化や印紙税の節税のためには段階毎の帳票類の作成は、時代に逆行するかもしれませんが、架空取引の防止のためには止もうえません。


SYSOP:コンピュータによる注文・受領・代金決済等が、できるようになればいいのですが、信頼性やセキュリーティーの面で未だ完全とはいえません。ハードの問題というより、ソフトの問題でしょう。


オタク:それから、売買の形式をとらなくても、取引の途中でリース会社が間に入って契約する「リース取引」も”つけ取引・つけ商売”といえますね。


ぶっさん:以前は、航空機や船舶のリースが、節税対策として良く利用されていました。


SYSOP:いわゆるファイナンスリースやレバレッジドリースといわれるものがありますが、税務上は、リース取引といっても一般の賃貸借と異なれば、売買取引として課税する取扱い(昭53・7・20直法2-19など)やリース期間が法定耐用年数より長い場合の取扱い(昭63・3・30直法2-6など)が定めらたり、裁決事例(平4・9・16裁例44・217)がでるなど、課税上弊害がある取引形態による節税策にはガードがされています。


 最後に一言。「もっとも払いの悪いクライアントが、もっとも言い分が多い。」(マーフィーの法則)


  DISCONNECTED  NO CARRIER


 次の資料を参考にしました。


*高野尚好他編『366日話題辞典』ぎょうせい


*三浦雅生「『つけ売買』に関する裁判例の分析」NBL300号58頁、「これが”つけ商売・介入取引


”の実態だ(上)(中)(下)」NBL300号52頁、


301号19頁、303号40頁


*「マーフィー値千金の1分間」三笠書房


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Last Updated: 7/JUL/96