WWWブラウザーとインサイダー取引 H.8.9.23
SYSOP(System Operator):冬の足音がもうそこまで聞こえてくると、野辺に咲き誇った菊も包片を散らし始め、小菊一重咲の見事な懸崖づくりも深まりゆく秋に寂しげに感じられます。木枯らしが吹く日には、パソコンフォーラムでお楽しみ下さい。
オタク(Byte Head 、パソコンお宅):そういえば、初めて東京で木枯らしが吹く平均日は11月8日だそうです。そんな日には清楚な姿に馥郁たる香りを放つ菊に宿った露を口に含んで長寿でも願いながらパソコンでも触っていた方がいいですね。 ”菊や咲く我酒たちて五十日(白雄)”なんて。
ビーン( Bean Counter、税理士):オタクさんは菊酒の方ではないですか。菊を浸した菊酒は平安時代に天皇が紫宸殿で群臣に賜る儀式に出てきますね。菊酒だけあってこれがまたよくキク(キ)ます。
オタク:よくキイたところでWebサーフィングをしてインターネットの世界を駆け回わると楽しいですよ。
SYSOP:インターネットを使う場合に必要なWWW[World Wide Web]ブラウザ・ソフトの世界では、米ネットスケープ・コミュニケーションズ社の「Netscape Navigator 3.0」と米マイクロソフト社の「Internet Explorer(IE) 3.0」の二つのソフトが熾烈なシェアー争いをしていますが、ユーザーとしてはどちらにするか悩んでしまいます。
オタク:今まではNetscape Navigatorが約80%のシェアーを占めていましたが、今年の夏以降マイクロソフト社の力を背景にIEが猛追してきました。以前からインターネットを利用している人は、Navigatorを使っている方が多いでしょうし、Navigatorの機能・取扱いも熟知しているでしょうからIEを使う気はおきないかもしれませんね。
SYSOP:私もNavigatorを使っていましたが、今はIEも使っています。IE3.0になってからはそれほど変わらないような気がします。
ビーン:Windows95+PlusについていたIEを使っていますが、IE3.0はどうやって手に入れるのですか。
オタク:IE2.0までは、Navigatorの方が使いやすかったかも知れませんが、IE3.0では機能強化に加えて様々のオプションを加えています。
例えば、「Microsoft Internet Mail & News」や「Microsoft NetMeeting」があります。
前者は、インターネトでE-mailやニュースを扱うことができるようになりました。IE2.0ではE-mailは「Exchange」を利用していましたが、取扱い難い面も少なくありませんでした。このMail & Newsで格段にE-mailの取り扱いが簡単になったような気がします。
後者は、インターネット上で電話と同じような使い方を可能にしました。これからはインターネットや社内LAN上で音声を使ったコミュニケーションや各種アプリケーションの共有も可能になります。
SYSOP:IE3.0は確かにかなり使いやすくなりました。これらのアプリケーション・ソフトは、マイクロソフトのWebサイト(http://www.microsoft.co.jp/)で公開されていますから、ビーンさんもダウンロードして使ってみて下さい。
ビーン:SYSOPさんは、NavigatorとIEのブラウザの両方を使っているのでしょうか。
SYSOP:色々あるWebページによっては、NavigatorとIEいずれか一方を推奨している場合もありますので、今のところ両方を使っています。もちろんブラウザを開くときは、どちらか一方が優先的に起動しますので、いずれかを通常使うブラウザに指定しておかなければなりません。当分は面倒ですが、やむを得ないでしょう。
オタク:IE3.0は、今のところマイクロソフト社から無償で供給されていますが、今後どうなるか不透明ですので両方使っていた方がよいかも知れませんね。
ビーン:巨大化した企業が寡占化すると恐ろしいことになります。
オタク:ブラウザの世界ばかりでなく表計算の分野でもロータスの「1-2-3」とマイクロソフトの「Excel」が市場を独占しています。あれだけ優位に立っていた「1-2-3」も最近の評価では「Excel」の攻勢に水をあけられた格好になっています。
SYSOP:そういえば「1-2-3」のロータス・デベロップメントは、今ではIBMの傘下に入ってしまいましたね。
ビーン:IBMは、世界最大のソフト会社であるマイクロソフト社に対抗してロータスを買収する戦略を立て、株式の公開買い付け(TOB)を計画したのではなかったでしょうか。
ビジター(法学部学生):このTOBが発表された当時、ロータスの株価は一株32ドル前後だったのですが、IBMの示した買付け価格は64ドルにもなりました。ロータスの総発行済み株式が5,500万株でしたから35億ドル、3,000億円以上で買収したことになります(日経7.6.12夕刊)。
オタク:買収劇の前にロータスの株を買っておけば儲かりましたね。
SYSOP:IBMがこの買収を発表した当日にロータスの株価は倍近く急騰して60ドルを超えたはずですから前もって知らないと無理ですよ。
ビジター:ちょっと待って下さい。不正な手段によって得た情報により有価証券の取引を行った場合には、いわゆる「インサイダー取引(regulation for insider trading)」として罰せられます(証券取引法157条)。
この様にインサイダー取引が規制されるようになったのは、1980年代に表面化した不公平取引をきっかけに、誰であっても有価証券の売買その他の取引の取引又は有価証券指数等先物取引等、有価証券オプション取引等若しくは外国市場証券先物取引等について、不正の手段、計画又は技巧をしてはならないことが定められました(同法同条一号、旧58条)。
ビーン:「不正の手段」とは、どの程度のことをいっているのでしょうか。税法でも「不当に減少させる」(所法157条、法法132、相法64条など)とか「不相当に高額」(法法34条,36条など)などがあり、漠然とした印象を与える規定が少なくありませんが、インサイダー取引規制も不確定な取扱いですね。
ビジター:この規定が罰則を科す法律であるにもかかわらず、非常に抽象的で、適用するための要件が必ずしもはっきりしていないところから、実際にインサイダー取引に対して適用された例はなかったようです。
その後、証券取引法は、昭和63年、平成4年の改正を経て、インサイダー取引を禁止する規定を第六章に一纏めにして「有価証券の取引に関する規制」として設けられました。
SYSOP:一般に知られていない会社内部の情報を利用して、その会社の株式を売買して多額の利益を得たり、損失を少なくしたりするような行為は、株の証券市場の公平性や健全性を損なうことになり、許されることではないですね。
オタク:先ほどの公開買付け(TOB)も規制されているのでしょうか。
ビジター:有価証券の取引に関する規制の中に、一定の者で上場株券等の公開買付け等の実施又は中止に関する事実を知ったものは、その事実が公表された後でなければ、その公開買付け等にかかる上場株券等の発行会社の発行する株券等又はオプションの買付け等又は売付け等をしてはならないとされています(証券取引法167条)。もちろん公表後であれば別に規制の対象とはされませんし、その事実を知る以前から契約されて履行されたものについては適用が除外されています。
ビーン:TOBによる取引は国内ではあまり聞くことはありませんので、ここの規制を受けることは少ないかも知れませんが、インサイダー取引で処罰された事件はよく聞きます。
ビジター:上場会社等の業務に関する重要事項を知った会社関係者や情報受領者は、その事実が公表された後でなければ、その会社等の有価証券等を売買してはいけないことになっています(証券取引法166条)。
また上場会社等の役員や主要株主がその地位や職務によって得た秘密を不当に利用して一定の期間内に売り買いをして得た利益を会社に提供させることができることになっています(証券取引法164条)。今までに、この利益提供で問題となった事件には、日工事件(神戸地判平成2.7.27、金融・商事判例857号24頁)やオーミケンシ事件(東京地判平成4.10.1、判例時報1444号139頁)などかなりの数に上っています。
ビーン:そういえば、最近でも弁護士がインサイダー取引で告発された事件がありましたね。この弁護士である容疑者が監査役を務めるノンバンクの日本織物が第三者割当増資を引き受けることを知り、公表前に知人の名義を借りてインサイダー取引をしたというものでした。
ビジター:この取引では、第三者に指図して取引をさせた場合でもインサイダー取引として摘発した初めてのケースだそうですね(日経8.8.3夕刊)。
SYSOP:おいしい話につい魔が差してしまったのでしょうが、誰の周りにも起きうることですから気をっけなければいけませんね。
マー、そんなところで、今月もこのへんで・・ 最後に一言。「最高の気分だって心配いらない。そのうち、憂鬱な気分になる。」(マーフィーの法則)
DISCONNECTED NO CARRIER

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Last Updated:2/OCT/1996