ぎょうせい「速報税理」平成7年10月1日号掲載のものです。そちらも併せてお読み下さい。


リスク回避のための税理士業務の見直しのポイント


         税理士中江博行 8.3.30


1、はじめに


 税理士などの職業専門家は、その特殊な専門知識・技能を提供して報酬を得ている。これに対して職業専門家は、高度な注意義務と依頼者や社会から受けている信頼・信任に答える忠実義務を負う。


 税理士はその委嘱者に負うこの「高度注意義務」や「忠実義務」に違反した場合には、委任の本旨に則していなかったとしてとして、あるいは善管注意義務に違反したとして債務不履行による損害賠償請求を受けることになる。近年税理士に対する損害賠償請求は増加傾向にあることは周知の通りである。 


 本誌の特集で既に税理士の専門家責任について訴訟やその法的側面から検討が加えられた。本稿では、多発する税理士損害賠償事件や税理士職業賠償保険の事故例から日々の税理士業務にどのように対処したらいいかを検討する。


2、判例から学ぶ


(1)説明の必要性


 税理士は、その専門的知識を委嘱者に説明する義務や指導助言など行う責任を負っている。


 税理士が納税者に税務申告等について事前に説明しておかなければいけないとした横浜地裁平成1年8月7日判決(判例時報1334号214頁)がある。この事件は、税理士の委嘱者に対して相続税の納税猶予について説明する義務を果たしていないとした妥当な判断を示している。しかし税理士がその委嘱者にどの程度の説明の義務があるかについては委嘱者の知識に差があると考えられることから実際のところ難しい。税理士という専門家が、現在考えられる最低限必要な説明をする他はない。専門家としては常識だと思っていることでも専門家でない一般人には不明であることも考えられることから、説明は一般的なことをできうる限り安易に要領よく説明すべきである。このため説明すべき事項については書式にまとめて、委嘱者との間で確認をとっておくべきであろう。


(2)過去の申告資料等の閲覧の必要性


 税理士は、委嘱者から交付を受けた書類の範囲内で申告事務等行うだけでは十分ではないとした京都地裁平成7年4月28日判決(平成3年(ワ)2,369号、平成4年(ワ)1,723号、平成4年(ワ)2,895号)がある。この判決は、委嘱者の説明だけでは事実関係の把握が十分でないと考えられれば、課税庁で閲覧申請を求めるなどして調査を尽くさねばならないとした。本事件の詳細については、本誌特集1の「税理士関連判決の概要」に譲るが、裁判所は、課税庁は税理士に対して委嘱者の過去の申告書類の閲覧を原則は認めているとして閲覧の必要性を示した。法令の担保のない課税庁による善意の閲覧の許可の信憑性がどの程度保証されているか定かではなく、個人情報保護法13条(昭和63年法律95号)による個人情報の開示では十分な情報が得られるとは思えない。


 しかし裁判所は、あらゆる場合に税理士に閲覧を求めているのではないと思われる。それは判断の中で、「税理士は、依頼者からの事情聴取で生じた疑問点については、課税庁に出向いて、過年度の申告書類の閲覧を求め、右の理由により、課税職員に閲覧を拒否されたならば、少なくとも、疑問点を特定して質問をし、回答を求めなければならない。」としている。委嘱者が、明確に指示したものまで、再度調査を尽くさねばならないとしたならば、委嘱者に不要の費用負担を課すことになり信頼関係上からも好ましいものではない。しかしこの判決によって、課税庁に過重な負担をかけることになるとしても、税理士は課税庁に対して委嘱者の過年度申告書類の閲覧申請の必要性が増したことは否定できない。


 課税庁に閲覧を求めなければならない場合には、この事件のように譲渡所得にあっては、買換特例適用(措置法36条の2、同法36条の5、同法36条の6、同法37条など)の有無を、相続税にあっては相続開始前3年以内贈与(相続税法19条)や相次相続控除(相続税法20条)の対象となるかを、贈与税では過去に贈与税の配偶者控除(相続税法21条の6)の適用を受けていたかを、消費税にあっては各種届出書(消費税法9条、同法37)の有無の確認を要する場合など広範囲にわたる。


 私が、今年、行った3年以内贈与の確認のための閲覧の申請では、閲覧そのものは認められず、贈与の有無を確認いただいたメモを読み上げてもらうにすぎなかった。私は、現段階で課税庁の閲覧拒否を批判することは出来ない。この問題については本稿の直接のテーマではないのでこれ以上言及しないが、この判決で、


課税庁に閲覧したという事実を税理士は必要とされることになになった。


(3)納付方法選択の必要性


 納税資金についての指導・助言を行うことは税理士としては当然のことであるが、物納申請をしなかったことによって実際の売却による手取額との差額が税理士に対する損害額だと安易に決められるとしたら話は異なる。


 この事件は、東京地裁平成7年11月27日判決(平成5年ワ第2494号損害賠償請求事件)で、税理士に対して2億8千万円の損害賠償責任を認めた事件として注目を集めた。裁判所は、委嘱者が物納による納税を希望したのに委嘱を受けた税理士は漫然と延納手続きをしたために不動産を売却せざるを得なかったとして、売却手取額と物納可能であった税額相当額との差額の損害賠償を認めた。確かに税理士は委嘱者が物納を希望していたならばそうすべきであったろう。


 現在では納税コストは物納による方が有利となる場合が少なくない。財産評価通達により算出した相続税評価額が、大幅な時価の凋落傾向の続く昨今(注1)では、客観的な交換価値である時価を上回る場合も考えられ、相続開始時から売却時までの時間の経過による時価の下落によってはより一層物納が有利になり、有利不利からいえば物納すべきであろう。


一方、物納に充てることのできる財産は収納可能物件でなければならず、その範囲は決して広くない。また、物納は金銭納付困難な事由がある場合でなくてはならず、それは将来にわたる収入も考慮されなければならない。収納の許可も延納で納付が出来るかどうかも将来にわたる結果であって、少なくともこの判決によって、税理士は委嘱者が物納を希望すれば物納申請すべきである。


 納税は、過去には金銭納付が原則とされていた。物納は時代の隙間に入り込んで、納税の方法が他にない納税者に自殺など考えなくても良い制度であり、租税制度とはそのようなものでなければならないと思っていた。


 公示時価の8割水準をとる今の路線価方式は早急に引き下げるべきである。相続財産に係る譲渡所得の課税の特例である措置法39条が時価の下落が始まった平成3年前後から遅れることわずか数年の平成5年3月に改正が行われ物納によらない場合の納税資金の確保を容易にする法改正が行われている。逆に国会の審議を経る必要が無く、経済情勢の変化に対応し易いはずの通達は動かない。


 納税は金銭納付が原則とし、物納の許可が認められるガイドラインを明確にすべきであろう。繰り返しになるが、問題点のある現行制度の基では、税理士は極力物納申請を出さざるを得ない。


3、契約書例


 税理士は、委嘱者との契約の内容を明確にするため、また説明義務を履行するため、以下のような契約書式を作成する必要があろう。


(1)相続税用 ((Aを))


(2)譲渡所得用 ((Bを))


4、契約上の問題点


契約上に税理士の行為による損害のうち一部あるいは全部を免除するという条項がおかれていた場合に、果たして有効であろうか。例えば、「税理士(甲)が損害賠償責任を負う場合に、甲の損害賠償責任は、委嘱者(乙)の甲に支払った金額を以てその上限とする。」という契約は有効であろうか。税理士の故意による損害の免責特約は公序良俗に反するものとして無効であるが、それ以外の場合の特約は有効だと解されている(注2)。


5、第三者に対する責任


 税理士がその委嘱者以外の第三者に損害を与えたとして不法行為責任(民法709条)を問われる場合について若干言及しておきたい。税理士が、税理士業務に付随した財務諸表の作成や会計帳簿の記帳代行などの業務(税理士法2条2項)を受任して、委嘱者から提出された原始帳簿によって作成された資料の責任はどこまで及ぶのであろうか。


 これに関連したものとして、税理士の作成した内容虚偽の確定申告書の記載を真実と信じて、保障、担保の提供をした者が損害を蒙ったとして、税理士に対する損害賠償の請求を認めた事件(仙台高裁昭和63年2月26日判決、判例時報1269号86頁)がある。この事件が厳密に第三者に対するものといい得るかは別として、専門家として尽くすべき注意義務を怠り、第三者に損害を与えた場合にはその責任を追求され得ることを明らかにしている。しか税理士の作成した資料により損害を与えたとされる場合であっても、それが誤った原始帳簿の提出により作成された場合、第三者への資料の開示が予定されていない場合や金融機関など本来それを業とする専門家である場合などに対してはその損害額は無制限なものではないと考える。


5、おわりに


 税理士の民事責任や損害賠償事件については、過去に拙稿を発表した(注3)。しかしこのような事件を検討すればする程、保全措置の道を探るなど自分の思うところと違った方向に進んでしまい、結果後味の悪い不快な感じを抱いてしまう。多分本稿をお読みになった先生方も同じ感じを抱いているのではないかと思う。


 税理士は、損害賠償請求事件の判決を真摯に受けとめ、専門家にふさわしい見識、技量を持つよう努力すべきであるが、税理士の資質はその期待に応えるほど十分なものといえないとしたら行くつく先はこのような方向にならざるを得ない。 この問題の本質のいくつかは、税理士資格の制度の問題であり、税理士職業賠償責任保険の事故例で頻繁に紹介される消費税のように税理士は関与度合いに関わらずその有利不利を決定せざるを得ないような租税制度の問題点に起因している。


 その中で業務の遂行を円滑・安全なものとするためには、誤りをなくす業務遂行上の膨大なチェックシートを作成することや前項のような契約書を作らざるを得なくなっている。そこには委嘱者と信頼関係によって結ばれ、そのために日々努力する真摯な税理士の姿は遥か遠いものとなり、賠償の重さに戦々恐々とする姿だけが残った。 以上




((A)) 委嘱契約書

 委嘱者(甲)は、被相続人 故      氏に係る相続に関し、受嘱者(乙)に対し下記事項(2,3,4)を確認・承認の上、次の事項(1)を委嘱し、乙はこれを承諾した。


1.委嘱の範囲 本件相続に関する税務代理、税務相談、税務書類の作成


2.資料の提示 原則として上記委嘱事案の処理に必要な書類、帳簿その他の資料は甲において取り揃え、乙に提示する。甲の提示した資料の不備等により委嘱事項の履行に支障を来した場合は、乙はその責任を負わない。


3.説明事項の確認 甲は裏面の説明事項を確認し、必要ならば乙にその説明を求めることが出来る。


4.報酬は ***税理士会の報酬規定に従う。


 ただし、甲の都合により委嘱事案の着手前に、この契約を解除した時は、甲は既に支払った報酬の返還を請求しない。また着手後に解除した時は、報酬規定により乙の請求した報酬の全額を直ちに支払う。 


以上の委嘱契約を明らかにするため本契約書を作成する。


        平成  年  月  日


                 住 所


          委嘱者(甲)相続人代表  印


                事務所住所 *****


          受嘱者(乙)税 理 士 ****     印



説明事項


1、遺 言(民法1004条)


 遺言書がある場合は必ず提示下さい。


  尚公正証書以外の遺言書(例えば自筆証書遺言書)は住所地の家庭裁判所で検認手続きを経て、更に封印された遺言書は開封して貰って下さい。


2、相続の放棄(民法938条)


  相続の放棄をする場合には、相続開始を知った時から三カ月以内に家庭裁判所へ相続放棄の申述をする必要があります。相続放棄をした者は債務控除の適用は原則ありません。生命保険金及び退職金の非課税の特例は受けられません。遺贈により取得した財産がある場合でも相次相続控除の適用はありません。


3、生前贈与加算(相続税法19条)


  相続開始前三年以内に被相続人から財産の贈与を受けているときは、その贈与財産については相続財産に取り込んで相続税を計算することになっています。対象となる過去の贈与税申告書の控をご提示ください。


4、配偶者の税額軽減(相続税法19条の2)


 配偶者が相続税の申告期限までに遺産分割により取得した財産についての相続税額が税額軽減されるという制度です。すなわち、申告期限までに遺産分割の終了していない部分についてはこの制度の適用は有りません。その後遺産分割が行われ、この適用を受けることが出来るようになった場合は、遺産分割が行われた日から四カ月以内に既に納付した相続税の還付請求(更正の請求といいます)をすることになります。この場合遺産分割は原則として申告期限から三年以内に行われることが必要です。


  配偶者の税額軽減の適用を受けるには申告書の提出が要件とされます。


5、相次相続控除(相続税法20条)


  相次相続控除は、10年間に2回以上相続税がかかると相続人の税負担が重くなり過ぎる恐れがありますので、第一次相続の時に課税された税額を第二次相続の相続人の税額から控除する制度です。このため被相続人が10年以内に相続により財産を取得し納税されているようでしたらそのときの相続税の申告書(修正申告書などを出されていればその申告書)のをご呈示ください。


6、小規模宅地の評価減(措置法69条の3)


  土地の評価に当たっては居住用の宅地と事業用の宅地について特別の軽減をする制度ですが、この特例の適用を受ける者の選択、同意を受けて下さい。またこの制度は遺産の取得者によって適用の有無が左右されます。すなわち 分割が完了していなければこの適用は受けられませんので、ご注意下さい。


7、農地の納税猶予(措置法70条の6)


  納税猶予の制度は、農業経営を安定させるため、相続人が農地(贈与税の納税猶予された農地を含む)を相続して引き続き農業を営む場合には、相続税の一部の納税が猶予される制度です。適用を受けるための要件は次のとおりです。


(一)被相続人が当該農地についてその死亡の日まで農業を営んでいたこと


(二)相続人が、相続税の申告書の提出期限までに相続により取得した農地にかかる農業経営を開始し、その後引き続きその農業経営を行うと認められる者として農業委員会が証明したこと


(三)農業相続人は、この特例の適用を受ける農地を相続税の申告書の提出期限までに分割取得されていること


(四)被相続人から相続した農地のうち、その農業相続人の選択により相続税の申告書の提出期限までに申告し、この特例の適用を受ける旨の記載があること 


(五)相続税の申告期限までに納税猶予分の相続税に相当する担保を提出すること                などです。


8、延納物納(相続税法38条、41条)


  延納・・相続税の申告により納付すべきことになった相続税額が10万円を超える場合で一定の場合には担保を提供して通常20年以内の年賦による延納を申請することが出来ます。すなわちこの申請は原則として申告期限または納付すべき日までにする必要があります。


  物納・・相続により取得した財産のほとんどが不動産であるなど金銭納付することが困難な場合などに金銭納付に代えて、相続税の課税価格の計算の基礎と成った財産によって物納の申請をすることが出来る制度です。物納申請することが出来る財産は国債、不動産など一定の財産に限定され、物納申請は延納と同様に申告期限または納付すべき日までに申請しなければなりりません。


9、連帯納付義務(相続税法34条)


  相続税の納付は、それぞれの財産を取得したものが納付するのが原則ですが、相続税を納付すべき相続人のうちに相続税の納付をしなかった者がいる場合には、次の財産取得者である相続人に連帯納付義務が発生します。


 (一)相続人から相続遺贈により取得した財産にかかる相続税につき、その財産を取得したすべての者


 (二)被相続人の負担する相続税につき、その被相続人から相続または遺贈により財産を取得したすべての者


 (三)相続税の課税価格の計算の基礎となった財産が贈与、遺贈及び寄付行為された場合、その贈与等の財産に対応する相続税額につき、その財産の取得者。


10、未分割の場合(相続税法55条)


  遺産分割協議が調わない場合にも、未分割財産を相続人が法定相続分により取得したものとして相続税の課税価格を計算して申告しなければなりません。


11、所得税の確定申告(所得税法124条)


  被相続人が確定申告書を提出する義務がある者である場合には、相続人は被相続人が死亡した日の翌日から四ヶ月以内にその確定申告書を提出しなければなりません。


12、その他


次頁に相続税の申告に必要な書対の一覧をあげておきますので、ご用意ください。



       相続税申告に必要な書類


       

  提    出    書    類  

部数

チェック

被相続人の除籍謄本

 

 

相続人の戸籍謄本

  

  

遺言書の写し

  

  

通産分割協議書

  

  

通産分割協議書に押した実印の印鑑証明

  

  

被相続人の経歴・病歴・人柄等の槻略書

  

  

相続人の職業(軌務先)・生年月日・住所・電話番号等の概略書

  

  

相続鋭の申告期限迄に通産分割ができなかったことについての特別の事情がある場合(和解・調停・裁判の申し立て・訴えの提起等)には遺産分割ができなかったことを証明できる書類の写し

  

  

相続を放棄した方があるときは、家庭裁判所の証明書

 

 

未成年者がいる場合、特別代理人であることを証明する書顆

 

  

固定資産税評価証明書(固定資産税課鋭台帳登録証明書)

 

 

市街地周辺農地及び市街地山林等については、付近の宅地の固定資産税評価証明書

 

 

土地(借地権)の所在地及び地形図

  

  

農地振興地域内にある農地については、その評価証明書

  

  

貸地・貸家又は借地の場合は賃借人・賃貸人の住所・氏名・地代家賃の明細書及び賃貸借契約書の写し

  

  

被相続人の過去三年間の所得税確定申告書、決算書等の写し控

  

  

取引相場のない株式の評価明細書 決算書類を含む法人税の申告書の写し(死亡直前期、直前々期)及び株主名簿

  

  

株式・公社債信託財産等有価証券の明細書または残高明細書

  

  

預貯金・借入金の残高明細書

  

  

生命保陥金・退職金・未収金等の明細書

  

  

継承した債務並びに葬式費用の明細書

  

  

相続開始前3年以内に譲渡贈与した財産があるときはその明細
がわかる書類

  

  

被相続人が、過去10年内に相続により財産を取得しているとき
は、そのときの相続税申告書の写し

  

  

農地等についての相続税納税猶予を受ける場合はその証明書

  

  

相続関係図(できるだけ詳しいもの)

  

  


相続税に関する報告書


 私は、被相続人 故      氏の相続財産に関し、相続人から提出されました資料に基づき、税理士として、通常なすべき調査を相当な注意をもって行いました。


 その結果、相続税法における相続財産と認められるものは、別紙のとおりとなりました(評価額につきましては、変更がある場合があります。)。


 これに基づき相続税の申告書の作成に着手いたします。


 以上、御報告いたします。


また相続税額の納付方法について、下記記載の納付方法欄に選択されます納付方法に押印ください。


                 平成  年  月  日


住 所 *****


       税理士 **** 印




承 諾 書


 上記報告書を受領いたしました。


相続税の申告は、この報告書に基づいて作成・提出を願います。


また、納税の方法は、選択欄に押印した方法で行います。


納付方法欄

全て現金納付

延納申請

物納申請

(複数押印可)

選択欄押印

  

  

                 平成  年  月  日


                 相続人代表           印



((B)) 委嘱契約書


 委嘱者(甲)は、受嘱者(乙)に対し下記事項(2,3,4)を確認・承認し、次の事項(1)を委嘱する。


1.委嘱の範囲 所得税の申告に関する税務代理、税務相談、税務書類の作成


2.資料の提示 委嘱事案の処理に必要な書類、帳簿その他の資料は甲において取り揃え、乙に提示する。説明事項中に本件委嘱事案に必要な過去の申告書の控え計算書類等は甲において取り揃え乙に提示する。甲の提示した資料の不備等により委嘱事項の履行に支障をきたした場合は、乙はその責任を負わない。


3.説明事項の確認 甲は裏面の説明事項を確認し、必要ならば乙にその説明を求めることが出来る。


4.報酬 東京地方税理士会の報酬規定に従う。


 ただし、甲の都合により委嘱事案の着手前に、この契約を解除した時は、甲は、既に支払った報酬の返還を請求しない。また着手後に解除した時は、報酬規定により乙の請求した報酬の全額を直ちに支払う。 


以上の委嘱契約を明らかにするため本契約書を作成する。


        平成  年  月  日


                 住 所


          委嘱者(甲) 氏 名            印


               事務所住所 *****


          受嘱者(乙)税理士氏名 ****    印


説明事項


 ここでは、土地、建物等を譲渡した場合の譲渡所得について説明します。ここで説明した資料については必ず委嘱者自身により収集ご提示下さい。


1、譲渡所得


譲渡所得とは、資産の譲渡による所得で、通常土地や建物を売却された場合にかかる所得税です。売却ばかりでなく交換、収用、離婚に伴う財産分与、借地権の設定や法人に対する現物出資などによっても同様に譲渡所得として課税されます。


そしてこの土地建物等の譲渡による所得は、他の所得と区分して所得税が計算される、分離課税という方式を取っています。


2、長期譲渡所得と短期譲渡所得


 長期譲渡所得とは、譲渡のあった年の1月1日(売却の日ではありません)において所有期間が5年を超えている場合で、それ以下は短期譲渡所得となります。この長期譲渡所得か短期譲渡所得かの区分は非常に重要で、短期譲渡になれば重い税金が一般に課されることになっています。


3、譲渡所得の計算の方法


 譲渡所得は、収入金額から譲渡資産の取得費と譲渡費用の合計額を差し引きそれに特別控除額を引いた金額で、式であらわすと次のようになります。


 譲渡所得の金額=収入金額−(譲渡資産の取得費+譲渡費用)−特別控除額


4、譲渡資産の取得費


 取得費とは、その資産の取得に要した金額や設備費、改良費の額の合計額をいいます。たとえば土地でしたらその土地の購入費ですが、購入するための仲介手数料、造成費用、登記料、不動産取得税、資産を取得するための借入金の利子の内使用開始日までのものやこの借入に際して支出した公正証書作成費用、抵当権設定登記費用などがこれに該当します。


 建物など使用又は期間の経過により減価するものは、減価の額を控除して取得費を計算します。


 贈与や相続などで取得した資産については、元の所有者の取得費を引き継ぎますので、贈与者や被相続人の取得費をお調べ下さい。なお不明な場合は、収入金額の5%の相当する概算取得費となります。


 その譲渡される資産を購入したときに、他の資産を売却されてその資金で購入されかつ税法上の買換資産の特例を受けておられる場合には、この取得費は、つけかえ計算といいまして、買換元資産の購入価額を基に計算します。この場合には、この特例を適用した年の申告書の控えを必ずご提示下さい。


5、譲渡費用


 譲渡費用には、譲渡に直接必要な仲介手数料、登記料、契約書印紙代や測量費などです。また譲渡に直接必要な費用には、このほかにも譲渡に際して支出した交通費、抵当権登記抹消費用、借家人に対する立退料や建物の取り壊し費用などがあります。


6、譲渡所得の課税の特例


 土地、建物等の譲渡による譲渡所得税を計算する場合には、政策的な見地から種々の特例が設けられています。収用されたり居住用資産を譲渡した場合やには特別控除として所得金額が減額されます。また居住用資産や事業用資産の場合には買換えの特例などが出来ることもあります。しかしこの場合には、納付すべき税額が発生しなくても必ず申告しなければなりません。


 譲渡所得の特別控除によって納税額が0円となったとしても、配偶者特別控除や国民健康保険税などはそれがなかったところで計算されますので注意して下さい。


7、必要書類について


申告では、その他に次に掲げる表の書類を添付することになっていますので前もって準備をしておいて下さい。


  譲渡所得税の申告に係る必要書類一覧表  省 略


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Last Updated: 14/JUL/96