会社分割にかかる税法上の諸問題 97.9.23     

第四章 会社分割立法化での問題点

(今後の動向と租税回避について)

第一節 会社分割立法上の問題
 会社分割立法については,前章まで,一部諸外国における規定及び我が国を含めた税務上の取り扱いについて検討を行った。ここで見てきたように,会社の一部門を分離独立させ,かつ,その分割会社の株式を被分割会社の株主に交付するという会社分割の手法については,米国とEUおよび欧州諸国では,全く異なった対応している。 会社分割について,米国では,商事法上の分割の規定を設けておらず,会社の行為を新会社の設立,事業の移転,子会社株式の被分割会社株主への交付または交換という三段階の独立したプロセスを踏むことにより会社分割を実現し,これを税法上,組織形態の変更と捉えて,課税上での優遇措置を与えているのに対し,EU及び欧州諸国では,商事法上で分割の規定を設けている。
 我が国で,会社分割に関する規定を導入するにあたり,米国とEUおよび欧州諸国のいずれのアプローチをとるべきかについては,問題となるところであるが,商法研究会による「企業分割を巡る課題についての研究報告」(注1)(以下,この項では「報告」という)では,この点について次のような検討がなされた。
 報告では,両者の違いとして,米国型の場合,現行商法の分社化手続(新会社設立および営業の移転)では,被分割会社財産の分割会社への包括承継,被分割会社の利益準備金,その他留保利益の新会社への引継等が認められていないために,このような効果が実現できないが,EU型の場合,規定を設けることにより,これらが可能となる。その他,米国型の場合には,現行商法の営業譲渡の株主保護,債権者保護がそのまま妥当することになるが,これを変える必要があるなら,EU型の新規制度が必要であるとし分析した上で,米国型およびEU型について,それぞれのメリットがあり,全体としては共に導入すべきであり,今後二つのアプローチを共に検討すべきだと報告されている(注113)。
 報告では,会社法の分割規定のあり方に加え,税制に関しても併せて検討を行う必要を指摘している。
 報告で,税制措置を求めたものの概要は,イ,新株を株主に分配する際の譲渡益課税(対被分割会社),配当所得(対株主)の課税の繰延措置の創設を求めると共に,特に資産の再評価やのれんの計上を伴わないものは,分割により被分割会社と分割会社に課税されることを避けるべきで,株主に対しても,あん分比例として割り当てられる場合は,課税の繰り延べを認めるべきであること,ロ,会社の分割は資産の譲渡ではないため,当然に課税関係は発生しないと解するべきであり,ハ,税制の中立性確保および国際的整合性の観点から,我が国にも連結納税制度の導入を図るべきであるなどである(注114)。
会社分割法制については,本稿で検討した範囲では,諸外国において商法典中に規定を設ける傾向にあると思われる。これは,株主保護,債権者保護の観点からばかりでなく,明確化,画一化した会社分割を可能にするために必要であろう。米国型のように税制のみで対応するならば,もちろん若干の商法典中に規定を設ける必要はあるであろうが,分割の自由度は広がるかも知れないが,逆に自由は不自由を広げることになり,細かい税制上の対応をせまられることになるであろう。この結果,逆に会社分割を阻害することにもなりかねない。
 報告での,税制上の要求については,昭和40年代以降の会社分割法制の要望当初から求められた内容も少なくないが,税制上で規定することは,一部の会社分割に限り適用されるべきものでないことから,広範囲に影響され,特に,本稿の問題である租税回避の検討なしには導入することは,課税の公平を失することになりかねない。

第二節 租税回避と税法上の防止策

一 米国の裁判例

今日の米国の会社分割の規定は,過去の租税回避として使われたことの反省から生み出されたものが少なくない。そこで,「租税回避と税法上の防止策」の検討に当たっては,最初に米国の裁判例を次ぎに参考とする。

  1, Gregory事件(注4)

この事件は,会社分割(組織変更)において,「事業目的の原理」を確定した判決として有名である。この事件の概略は次の通りである。
 グレゴリー夫人(Evelyn F.Gregory,原告)は,U社(United Mortgage Corporation)の社外株式の全てを(5,000株)所有していた。U社はその資産中に,時価が大幅に値上がりしたM社(Monitor Securities Corporation)の株式1,000株を所有していた。グレゴリー夫人は,値上がりしたM株を売却したいと考えたが,U社がそのまま売却すれば多額の法人税の課税を受け,またM社株式をU社からグレゴリー夫人に無償で移転すれば,時価相当額の配当課税を受けなければならなかった。
 そこで,これら課税を回避するために,次のような組織変更によった課税の節減を図った。まず1928年9月18日に,デラウェア 法(Delaware law)によってA社(Averill corporation)を設立し,同年9月20日に,U社は,新設したA社に所有していたM社株式1,000株を移転し,直後,グレゴリー夫人にA社株式を分配した。A社は同年9月24日に解散し,その唯一の資産であるM社株式をその唯一の株主であるグレゴリー夫人に分配され,同日におよそ13万ドルで売却された。
 グレゴリー夫人は,その納税申告で,A株の取得はその当時の歳入法112(g)(注5)の組織変更となり非課税だとし,A社の解散に伴うM社株式の取得によりM株の時価相当額(およそ13万3千ドル)からその取得価額(およそ5万7千ドル)を控除した価額であるキャピタル・ゲイン(およそ7万6千ドル)に対する所得のみ申告を行った。すなわち,納税者は,当時の法律の文言通りに行動した。
 なお当時の米国では,法人の解散による分配は,解散法人の株式の譲渡又は交換によるキャピタル・ゲインとして扱われ,しかも,長期キャピタル・ゲインについては,他の所得と分離した比例税率(12.5%)により課税されていたため配当所得課税を受けるより遙かに有利であった(注6)。
 これに対して歳入庁長官は,A社の設立は実体がなく(注7),M社株が直接グレゴリー夫人に配当されたものとして課税すべきだとしておよそ1万ドルの増額更正処分を行った。
 当時の租税訴願庁(Board of Tax Appeals)は,納税者の主張を認めて,法が組織変更について明確に規定し,納税者の行為がそれらの要素を満たしている以上,これを否認することはできないとして,法を文言通りに厳格に解釈した(注8)。
 控訴裁判所(Circuit Court Of Appeals, Second Circuit)の判決では,控訴裁判所のハンド( L.HAND)判事は注目すべき判断を示して,租税訴願庁の決定を覆えしている。
その中でハンド判事は,租税を回避するための行為であることを理由として,免税の特典を失うものではないこと,誰でも税金を可能な限り低くするように自己の取引をアレンジするのは当然であり,納税者は財務省(the Treasury)にとって最善の取引方法を選ぶ必要はなく,自らの租税を増やすという愛国的な義務さえ存することはないとした。また,ハンド判事は,「訴願庁が本件に関して明確に指摘したように,法律規定の精密さが増加すれば増加するほど,解釈の余地は減少する。しかしメロディが楽譜以上のものであるのと同じように,条文の意味とは,これを構成するそれぞれの単語の意味以上のものであると述べた(注9)。
 最高裁判所の判断も,サザランド(Sutherland)判事の次のような追加意見を示し控訴審の判決を支持した。
 サザランド判事は,「[歳入法112(i)1](B)は,一つの法人から他の法人への資産の移転について規定しているが,それは歳入法112(g)の“組織変更の計画の遂行上で”なされる資産の移転(譲渡)を意味するのであって,本件の場合のようにどちらの法人の事業とも関係しない計画の遂行によって,一つの法人から別の法人への資産の移転を意味するものではない。
 課税に関する動機の問題についてはさておき,実際に行われた行為の性格とは一体何であろうか? それは,単に,事業目的ないし会社の目的を持たない取引にすぎない。それは,その真の性格を隠すための偽装(disguise)としての法人の組織変更の形式をとったにすぎず,その唯一の目的となし得たことは,事業の組織を変更することではなく,株式を上告人に移転するために予め計画されたものであった。この目的のために,新たに有効な法人が設立されたことに疑問の余地はない。しかし,この法人は先に述べた目的の以外のものではない。それは他のどのような目的のためにも作られたものではなく,それは,最初から予定されていたように,それ以外のどのような機能を果たさなかった。そして,その限定された機能を果たした直後にその法人は消滅させられた。
 これらの状況のもとでは,事実は何よりも雄弁であり,ただ1つの解釈が導かれるのみである。この行為全体は,[歳入法112(i)1](B)の文言に従って行われたが,実際は,法人の組織変更の仮面をかぶった,入念で回りくどい資産の移転で,それ以上のものではない。租税回避の動機を考慮から除外する法理は本件には適用がない。なぜならこの取引は,明らかに制定法の明確な意図の範囲外にあるからである。」として原判決を支持した(注10)。

  2,ジェネラル・ユーティリティー事件(注11)
 ここで参考までに,General Utilities の原則といわれる基になった裁判例を検討する。この事件は,前項グレゴリー事件と同時期に最高裁によって示された事件で,1986年に廃止されるまで,法人が所得を計上せずに,評価益のある資産を株主に分配することを認めた事例として有名な事件である。
 事件の概要は,1927年1月1日に,上告人であるGU社(GENERAL UTILITIES & OPERATING CO.デラウェア州法人) は,2,000ドルを支払ってI社 (Islands Edison Company) 普通株2万株(全社外株の半数)を獲得した。残余の株は,
Gillet 社 (Gillet & Company) が所有していた。翌1928年1月に,S社(Southern Cities Utilities Company) の取締役であるW( Whetstone)は,I社株式を取得するため,Gillet 社及びGU社の取締役ルーカス(Lucas)と交渉を行った。ルーカスは,I社株式の売却益に対する課税とその利益を株主に移転したときにさらに課税を受けることを避けるために,I社株式の評価額を時価まで増額しGU社株主33名に910株を残して分配され,その後S社に売却された。GU社は自社が直接売却した売却益のみ申告をした。内国歳入庁長官は配当の支払いとしての株式の分配について課税利益を認定し課税処分を行った。
 租税訴願庁は,GU社の取締役の意思は,I社株式を配当として支払う宣言し,この意思は正規に採択された決議によって行われたと認定し,これら,配当の宣言及び支払いからは,何ら課税所得は生じないと判断した。
 これに対して控訴裁判所では,これら配当の宣言及び支払いは租税の支払いを免れるためだと認定し,原審で主張されなかったこれら理由を持って課税処分を容認した。
 最高裁判所は,正当に提起されなかった問題を認定することはできないとして,控訴裁判所の判決を破棄,差し戻した。

 このように最高裁では,控訴審の判断に直接解明することはしなかったが,これ以後長期間にわたって,法人の配当として株主に分配された所有有価証券の評価増額からは課税すべき利益は生じないとされた。

二 租税回避の可能性とその防止策

1,租税回避に対する一般的防止策
 税負担に対する考慮は,私人が経済的意思決定を行う上で,重要なファクターとなっている。納税者は,現行の租税制度の下で,その税負担を少なくなるような法形式ないし取引形式を選択する。納税者は,当然に,可能な限り,納税額を減少させる権利を有している。しかしそれが極端な場合,すなわち租税法規が予定していない異常な法形式を用いて税負担の減少を図る行為の場合には,税法は租税回避行為としてその行為・計算を否認している(所法157,法法132,相法64,地法72の43など)。これは,租税回避を行った者が,不当な利益を受け,通常の法形式を選択した納税者との間の不公平を是正することを目的としている。
 そして前節のグレゴリー事件は,まさにこの租税回避の問題であった。リオガニゼーションに代表される会社分割において課税対象から除外した措置をとるとすれば,グレゴリー事件のように租税回避の問題が存在する可能性があることを我々に示唆している。グレゴリー事件では確かに,リオガニゼーションに対する非課税規定の立法目的に照らして,その適用範囲を限定的あるいは厳格に解釈し,その立法目的と無縁な租税回避のみを目的とする行為をその適用範囲から除外するという解釈技術を用いた(注12)。
 この様に法文の解釈技術によって租税回避を防止する道はあるであろうが,この手法を,会社分割の立法ができたとしても,この様な広範な法解釈によらなければならないとするとケースバイケースで解釈の相違する可能性も少なくないと思われる。そこで個別的な否認規定を設けることによって,租税原則の一つである明確性の要件を備えておく必要がある。

2,会社分割に求められる税制における租税回避の可能性と対応策
 会社分割における税制上の要望として,前節で,会社分割の法制化に伴い税制措置を求められたものに,新設(別)会社への資産の移転について課税が起きないような措置をとること,新株を株主に分配する際に配当課税がされないような措置をとること,連結納税制度の導入を図ることを挙げた。
 しかし,反面,税制上の優遇措置を講じることによって,課税ベースに歪みが生じ課税の公平が損なわれないか,あるいは,安易な租税回避の道をつけることにならないかなど十分な検討がなされなければならない。
 そこで,これら税制上の措置をとった場合に問題となる租税回避の可能性について検討する。

(1)会社分割に伴う被分割法人の譲渡益課税について
1, この問題の検討を行う前に,会社の分割は資産の譲渡ではないため,当然に課税関係は発生しないと解するべきであるとする考え方について若干の考察を行うこととする。
 我が国税法では,法人に財産を出資して,その株式を取得することは,「資産の譲渡」として課税を受けることとされている。例えば個人企業が法人を設立するに際して,その資産を出資すれば,現物出資として所得税の課税を受けるのである。この様な考え方は,アメリカの所得税理論でもあるとされている(注13)が,我が国税法でも,資産の譲渡とは,有償無償を問わず資産を移転させる一切の行為をいうものと考えられている。そのため,所得税法33条における「譲渡」とは,一般に所有権その他の権利の移転を広く含む概念で,売買のほかに,交換,代物弁済,物納,競売,公売,収用,法人に対する現物出資等による資産の移転を含むと解されている(旧通達136)。
2, 米国での財産の出資に所得の認識を肯定する理論の根拠としては,財産の出資により所有権は法人に移転すること,法人と株主とは,所得税制度上,実質的にも法的にも異なる扱いを受けること,そして株主は出資前においては財産の直接の所有権をもっていたが,出資によってその権利は受益的なものにとどまり,財産の直接の所有権はなくなることを理由としている。この理論は,租税訴願庁の認めるところであり,最高裁判所もこれを認めている(注14)。
 これに対して,財産の出資を所得と解することに否定的な見解の根拠としては,出資による財産移転は,株主が従前もっていた持分利益に何らの変更を加えないこと,個人が完全に支配する法人(閉鎖法人)では所有の形式を変えるにすぎず実質を伴わないことを挙げている(注15)。
 資産の出資を「財産の処分」として捉える我が国現行法が,課税ベースを定める政策的なものであるのか,あるいは上記課税理論によって導きだされるものかのは明らかではないが,財産出資に所得の認識を認める前記米国の所得認識理論から法理論的に確定したものになっていることから,我が国の課税理論についてもあてはまると考えられる。
3, 資産から生じるキャピタル・ゲイン及びキャピタル・ロスに対する課税については,例えば,課税期間開始の日から課税期間終了時までの資産のゲインとロスを認識して課税することも,評価上の問題は生ずる(出資時も同様)が,理論的には可能である。しかし我が国税法では,資産の移転時を課税客体として捉えていることからすると政策的な規定といえないわけではない。しかし,いずれにしても,課税ベースの決定は税政が独自に決めうるものであり,極めて不合理な扱いでない限り妥当とされる。
 一方,米国における財産出資における課税については,所得を認識しつつ,一部に限定してたころで課税の繰り延べを図っている。それは,1921年以降,歳入法351条(a)一般原則(Transfer to corporation controlled by transferor,
General rule)の制定により,「一人又は数人によりある法人の株式と交換にその法人に財産を移転し,しかも交換の直後にこれらの人がその法人を(歳入法368条(c)で定義される)支配をしている場合には,何ら損益を認識しない。」として,一定の財産出資での少人数株主による法人成り,いわゆる閉鎖法人の設立について課税の繰り延べを図っている。
 この様な極めて政策的な措置をとる背景には,米国における現物出資財産の過大評価と水増し株という不健全な企業財務の流行を連邦所得税制が是正する手助けをし,法人設立を複雑にいているという指摘もみられるが,課税の繰り延べを立法政策的に認める背景には,利得の存在を認めつつ,通常かつ経済的意味においては所有の形式的変更にすぎない,すなわちこの場合の財産の出資においては,投資が継続しており,納税者がこの理論的利得を現金化していない点を捉えて立法措置が採られているとされている(注16)。
 すなわち,課税の繰り延べが認められる要件としては,一人又は数人による財産の移転であること,移転は株式又はその他の証券のみとの交換であること,出資者は交換直後において法人を支配していることで,この場合の支配(Sec.368(c))の要件とは,議決権を有する株式の議決権総数の80%以上の保有及びその他の株式総数の80%以上の保有であることを求めている。この課税の繰り延べとなる出資財産の種類には,特別な定義はされていないが,現金
(cash),有形資産(tangible property),売掛金(accounts receivable),非専用使用権(nonexclusive licens)及び産業上のノウハウ(industrial know-how)が含まれるが,役務(services)については除かれる(Sec.351(d)(1))。役務が除かれている趣旨,役務に対する報酬を現金としてではなく株主として交付すれば所得税の回避を防ぐためである(注17)。
4, 以上検討したように,米国でも財産の移転をとらえて課税すべき利益の実現したときとしている原則に変わるところがなく,政策的に,現実に金銭の流入がない点など経済的継続性をとらえて課税の繰り延を図っているに過ぎない。すなわち例外として,課税の繰り延を図るかはそれぞれの国で政策的に認められるべきものであり,我が国が,繰り延べを認めないことから,一律不合理であると論ずることはできない。

(2)新株の取得に伴う配当課税について
1, ここでは,通常配当として課税されるものが,会社分割による株式の取得の課税問題に限定して取り扱う。みなし配当については,第三章第一節四で簡単に取り上げたが,株式の消却や利益積立金の資本組入れを配当とみなして所得税を課税する適否については(注18)本稿のテーマではないので,この適用を前提として検討する。
2, 通常配当として課税されることを前提とするため,ここで配当所得について簡単に言及しておく。
 何故,配当に課税されるのかについては,我が国所得概念では,経済的な利得を所得として捉え,利子所得,不動産所得,事業所得や給与所得などと同様に配当所得として課税ベースに取り込んでいる。法人が利益処分によって株主に分配される利得を配当所得として課税している。所得税法24条では,配当所得として,この利益処分としての性質を有する,法人から受ける利益の配当,剰余金の分配,基金利息及び公社債投資信託以外の証券投資信託の収益の分配にかかる所得をいうと規定している。利益の配当は現金でされる必要はなく,現金以外の資産による利益の分配も配当所得とされる。また,法人の資本もしくは出資の減少その他一定の理由によって株主が法人から交付を受ける金銭その他の資産の金額の合計額のうち,その株式又は出資に対応する資本等の金額を超過する部分は利益の配当または剰余金の分配とみなされ,また法人が利益積立金額の資本または出資への組入れを行なった場合にもその組み入れ額等のうち各株主の所有する株式等に対応する金額は利益の配当または剰余金の分配とみなされ配当所得として課税される(所法25)。
3, 会社分割において考えられる節税策について検討する。但し,会社分割法制により分割の課程で課税関係が起きないとし,かつ,課税の繰り延べを含め「非課税」と記述する。
イ,A社は,その所有の資産(帳簿価額100,時価300)を売却しA社株主に配当の支払いをしようとした。この場合の課税は,A社にはその資産の売却益による法人税と,A社株主には配当所得として,所得税のによる課税を受けることになる。
 そこで,株主に配当する代わりに,次図のように新設分割会社B社に資産を現物出資して,新たに創設される会社分割の非課税規定を適用してA社株主にB社株を分配すれば,配当課税を受けることなく利益の分配をすることができる。

  図省略

 分割完了までの流れでみる親会社の仕訳は,

(借方)子会社株式 100 / (貸方)資産 100
 現行法でも特定出資に該当すれば圧縮記帳をすることによって損益は発生しないが,資産が土地等であれば遊休資産等での圧縮記帳が認められないとか圧縮額が全額認められないなどの制限を受ける。

 その後 B社株式 を A社株主 に分配すると
 分割形態は,spin-offでもsplit-offでも結果は同じになるが,前者では,A社の株式を分割し子会社株式(B社株式)をA社株主に分配する。後者でも,A社株主の持っているA社株式とA社の持っているB社株式とを交換する。すなわち結果的にはいずれも

A社は (借方)資本勘定/(貸方)子会社株式となる。
 split-upでは,A社はB社を含む数社に分割され消滅するが,基本的な流れに変わるところはなく,EU型による会社分割でもこれらの手続きが一度に発生するだけで,資産と資本が別会社に移転するだけで結果的には同じとなる。
 次ぎに,米国の事例の多いspin-offで具体的な事例を想定してみる。
 子会社に資産を移転(出資)して,その子会社株式を資本金の減少で株主に交付したとすると,非課税規定のない場合には,通常次のような取引となる。
(借方) 資本金 100 (貸方)子会社株式 100
剰余金(配当)200 資産譲渡益 200

 これを,非課税規定を設けて,譲渡損益及び株主への配当を認識させない。前記の例で,子会社であるB社株式を取得した株主は,それを所有している限り課税されず,株式の売却時には有価証券の譲渡による所得としての課税を受ける。しかしこの場合,我が国税法では,通常の株式等に係る譲渡所得に対する税額は,現行法上(措法37の10他),株式譲渡益の26%(所得税20%,地方税6%)の分離課税によることとなり,配当所得より高額所得者の場合は有利となる。
 例えば含み益1億円の資産を考えてみる。この場合の株主は最高税率の課税を受ける個人で,法人税等の実行税率は50%とする。
 イ,売却して配当するとする。

法人税額は,1億円×50%=5千万円
株主に配当する金額を法人税等控除後とすれば5千万円(1億円−5千万円)となり,この金額の配当を受けた場合の個人の所得税額等(住民税を含む,以下同じ)は,
5千万円×65% − 5千万円×5%=3千万円
(住民税を含む最高税率) (配当控除)
 ロ,会社分割を利用し,取得した株式を売却したとする。この場合も1億円の含み益があっても,株式の売却ということで,イの場合と同様法人税等控除後の5千万円で売却したとする。
 法人税額(被分割会社) ゼロ円
分割会社株式の売却による所得税額等は,
  5千万円×26%=1.3千万円(取得原価等を0とした)
  となる。そして被分割会社の法人税等の課税は永久に失うことになる。結局,非課税規定の創設される会社分割を利用すれば,8千万円の納税が1.3千万円まで圧縮される。
 もちろん,分割会社が当該資産を売却すればそのときに法人税等の課税は受けるが,それまで課税が繰り延べられ,それが長期で有れば,非課税となんら代わらない。
 この様に,節税策として,株主に配当する代わりに,売却予定の資産を会社分割を利用して新会社に移転し,新会社の株式を株主に分配すれば,株主に課税されることなく配当と同様の効果を得ることができる。
ロ,また,別の例を考えてみる。それぞれの会社の所有する他社株式を会社分割を利用すことによって課税を受けずに交換することができる。
 A社の有するX株式とB社の有するY株式交換しようとする場合に,A社はX株式を出資資産とするA’社を設立し,B社はY株式を出資資産としてB’社を設立して,その後,A社はB’社を,B社はA’社をそれぞれ合併すれば,
A’社,B’社の設立時には課税されずに,結果としてA社,B社は課税されずにX株式,Y株式の交換をすることができる(注19)。

  図省略

ハ,次の事例は,イと類似するが,会社分割を利用してその所有する土地を直接売却する代わりに新会社に移転し,株主がM&Aにより,新会社を土地ごと売却する。
 A社は,長年操業している会社で,創業当初から所有している含み益の多い土地の売却話が持ち上がり,高齢となり事業の縮小を考えていたA社の唯一の株主である代表者は,このまま売却をすると,多大な法人税と留保金課税及び土地重課による課税を受けることになる。これを避けるため,一旦新会社に会社分割により,土地を移転し,代表者が取得した株式を土地購入希望者に会社ごと売却する方法をとれば,法人段階での課税が回避され,代表者個人の所得税として,総合課税となる配当所得の課税を受けず,結果的に利益の配当を受けることになる。
ニ,会社分割で,利益積立金などの積立金も分割の対象とした場合には,同族会社に対して,通常の法人税のほかにその内部留保に対して特別税率を課する留保金課税を回避の手法として会社分割を利用することができる。

4, 会社分割が法制化され,それが実効あるものとするためには税制上も課税の繰り延べなど,分割によって課税がされないような取り扱いが要求される。そのときに税制として要求に応えつつ,それが前記のような節税策として一部法人に用いられることのないよう,ひいては租税回避による課税の公平が損なわれることのないよう税制における対応を早期に検討されなければならない。そこで,この問題をどのように解決するかが,税法から会社分割を考える上で重要な課題となると思われる。例えば,米国の税法にみられるような一定の各種制限を設けることも必要であろうが,米国にみられる手続要件(第三章第二節三5)のような,曖昧な制限とならないような明確な規定を設けるべきである。
 会社分割に伴う課税上の取り扱いについては,立法化のため今後十分な検討がなされることになるであろうが,ここでは,思いつくまま租税回避を防止するための適用上の制限について述べておく。
イ,会社分割の税制上の対応としては,米国の場合と異なり,原則課税とすべきで,経済実態が連続・一体となっている分割のみ例外として非課税措置が採られるべきである。
 米国では,原則非課税としたために租税回避を防止するために,広範・複雑な規定を設けて課税の道を開いたことにより逆に曖昧な取り扱いとなっている面が見られる。米国では,事前に租税行政庁の公定解釈を求めるアドヴァンス・ルーリング(advance ruling)の手続きが制度化されているが,我が国では,法制上にこの様な定めを置いていないので,曖昧な規定では予測可能性が確保できない。このため,非課税の範囲は明確に法令で規定されるべきである。
ロ,分割後の株主持分構成は,分割前の株主のそれと同一であることが望ましい。
 一部金銭による場合や,持分割合が違う場合には利得の実現が生じるのであるから株主に新会社株式を分配するときに配当課税を行うべきである。このため,株主が二名いた場合にそれぞれ会社を分けるという方式による会社分割も課税の優遇措置が受けられる会社分割に該当されない。これは,分割後の会社が経済的に同一・連続性を持つとは認識できず,どうしても株主が別々の会社を支配したければ,分割後にそれぞれ譲渡すればいいのであり,あえて課税を繰り延べる必要はないからである。
ハ,株式を分配する分割会社は,原則新設会社とすべきである。なぜならば,既存会社の株式の分配では配当の代用として利用されやすく,何も子会社株式だけ特別に扱う特段の理由がないからである。
 特に,既存の会社を買収し,資産の移転等を行い,かつ株式を分配することになれば,節税策として有効な手段となる畏れがある。なぜならば,繰越欠損金の多い会社を購入後,収益率の良い被分割会社の一部部門を分割する節税効果を期待できるなど,多くの節税手法の道を開くことになりかねない。
 ただし,従前から所有する100%近い子会社株式を分配については,被分割会社の新規設立による会社分割と,何ら代わるところがないことも確かである。何故ならば,子会社株式を新規に設立した会社に出資し,それを分配するのであれば,結果として同じことになる。そうすると,原則あん分比例しか認めるべきでないとしても,既存の会社株式の分配も,事業継続,所有期間等厳正な要件を付して例外として非課税措置を認められることもやむを得ないと考える。
ニ,分割後の事業継続は要求されるべきであろう。
 経済的効果の連続には,事業継続の要件は必要であろうが,賃貸物件のみの分割を認めないとする必要はないと考えるが,有価証券のみの分割する会社について,この会社分割の中に入れる必要があるかについては,今後とも検討すべきではないかと思われる。
 事業継続としては,配当のみを期待する会社で事業継続といえるのか。上場会社などの大法人ならばともかく,株主の限られた同族会社のみの会社の保有で事業継続といえるのか,会社分割の必要性からみて果たして疑問だからである。ただしNTTの分割でとられる持株会社による場合に,課税の優遇措置をNTTには認めて,一般会社の会社分割の場合には認めないとするとすれば著しく整合性に欠けることになることから,NTTの優遇措置についても十分な検討がなされなければならないであろう。

(3)連結納税制度について
 本稿のテーマからは外れるが,ここで会社分割に伴い要望のある連結納税制度について若干触れておくこととする。
1, 連結納税の制度を求める要望は,前述報告にみられる通商産業省や産業界からだされ,特にNTT分割問題に絡んで現実味をおびたものとして取り上げられてきてはいるが,租税法の立場から批判も少なくない。しかし,検討の前提となる連結会計・連結申告について研究は決して多くないように感じられる(注20)。
 一般的に連結納税を制度化するといった場合に,具体的な前提条件を明確にした議論ではなく,連結会社間の損益を通算する程度しか理解されていないのではないだろうか。中には,欧米で連結納税制度がとられているから,日本でも導入すべきだとした発想も聞かれる。今後,制度化を検討する場合には,欧米での制度内容を研究し,その上で,我が国にどのような形でこの連結納税制度を導入することが可能かを明らかにすべきである。
 米国の連結納税申告については,増井助教授の研究が発表されているので,ここでは,その中から一部要約引用させていただく(注21)。
 納税者にとって,連結納税をとることによる得失として次の点が挙げられる。
 利点として(a)メンバー法人間の損益通算が可能になること,(b)法人間分配が非課税であること,(c)法人間取引について課税繰延がなされることがあげられる。納税者にとって不利な点として,(a)選択や会計期間について一貫性が要求されること,(b)メンバー法人の欠損金連結課税所得を減額した範囲で欠損法人株式の取得価額を減額しなければならないこと,(c)軽減税率や各種の控除がグループにつき一つしか与えられないこと,(d)複雑な連結規則に服さなければならないこと,(e)いったん連結申告書を選択すれば後の年度も拘束されることなど,複雑な取り扱いを要求される。
 そして米国では,一定の関係法人グループによる連結申告の選択を認めている(歳入法1501条)。連結対象となる法人には,非課税法人(Corporations exempt from taxation under section 501(注22)),保険会社,外国法人,規制投資会社及び不動産投資信託(Regulated investment companies and real estate investment trusts),S法人(small business corporation)は除かれている。また一定の関係法人グループになるためには,対象法人の株式の全議決権の80%以上を有し,かつ対象法人の株式の市場時価の80%以上の価値を有する場合に限定される。
 連結申告書による算出税額は,次のように計算される。
 連結課税所得×税率−税額控除=連結申告での算出税額
 連結課税所得=各メンバー法人ごとの[個別課税所得+連結項目] の合算
 個別課税所得=メンバー法人の通常の課税所得−連結修正項目
 連結項目とは,連結欠損金控除,連結キャピタル・ゲイン純損益,連結寄付金控除などをいう。
 連結修正項目には,会社間取引及び会社間分配における修正,会計方法による修正や棚卸資産にかかる修正を行う。
 このように複雑な修正等を経て初めて連結申告による税額が確定する。また,連結申告制度をつかった租税回避や節税のための濫用に対処するため,次のような措置がとられている。
 @連結前の欠損金を連結後の連結課税所得から控除することに制限を設けている。
 A赤字法人が黒字法人を取得する場合に制限を設けている。
 B連結メンバーの持分に変動があった場合の制限を設けている。
 C会社間取引については,繰延会社間取引とそれ以外の取引に分け,後者の取引では,個別課税所得の算定上,繰り延べることも,消去することもしない。この場合には,グループ全体の損益は相殺され損益は認識されないが,メンバー間の会計方法が異なる場合には計上時期が異なる場合が発生するため,両者を対応させる措置がとられている。
 D一方,繰延会社間取引の場合には,会社間取引の損益を認識し,繰り延べそして戻し入れる措置がとられている。
 以上のように,米国の連結納税は,非常に複雑なハードルを越えて初めて関係会社間のグループ申告を可能にしている。そしてひとたび連結申告を選択すれば,取り止める場合には歳入庁長官の許可が必要となり,安易な取り止めは許されないため,逆に法人に不利になる場合も起こりうる。

2, 我が国で連結納税が導入された場合の節税策の可能性について次に検討する。
イ,赤字会社を利用する節税策
 赤字会社の繰越欠損金を利用して黒字会社の納税額を減少させる方法に従来,赤字会社が黒字会社を吸収合併する,いわゆる「逆さ合併」という手法がとられてきた。しかしこの場合でも,租税回避のみを目的とした場合には,繰越欠損金の損金算入を否認される場合もあるが(注23),連結した申告が可能であれば,合併という手法をとることなしに黒字減らしをすることができるため,有効な節税策として利用される畏れがある。
 例えば,大幅な黒字を計上する甲社が,節税のため,同社の役員所有で,税法上の繰越欠損金を有する乙会社の株式を取得し関連会社とした上で連結申告をしたとすれば,甲社の課税所得を圧縮することが可能となる。
ロ,会社間取引を利用した利益調整
 連結会社間の会計方法の相違を利用した節税策が考えられる。
 例えば,甲社の所有する帳簿価額100の固定資産を関連連結会社である乙社に帳簿価額で売却したとすると,中古資産の取得による耐用年数の短縮により,甲社でそのまま所有する以上の費用化が可能になる。又商法上の適否は別として,売却額を帳簿価額以上でおこなえば,当初は譲渡益が発生するが,以後の年度で売約額までの費用化が可能となり利益調整として利用できることになる。
3,このため,連結納税制度を導入するとしても米国税法に習い広範な制限を当初より設ける必要があろう。今後これらについての検討がなされるであろうが,ここではいくつかの検討すべき事項について述べるに留める。
 @関連会社の判定では議決権株式の何%の所有が適当か検討されるべきである。 米国では,現在80%基準をとっているが,改正前に95%であったように 経済同一性をとる理論の基では関連度が大きい方が望ましい。
 A繰越欠損金の通算可能な範囲を特定すべきである。
 連結前の欠損金や欠損の生じた中身についても検討が加えられなければなら ないが,資産損失,不動産賃貸損失や投資資産損失などの欠損内容について 差異を設けることも検討されようが,いたずらに欠損範囲を細分化すること は申告手続及び監査項目を複雑化する。
 B連結会社の範囲について検討されるべきである。
 米国では,S法人について連結申告の対象から除外しているが,我が国の同 族会社を対象から除外することも可能であろうが,その場合には法人を差別 することに対する合理的な理論の構築が必要であろう。
 C関連会社間取引については,会計処理方法など十分な検討がなされなければ ならない。
 例えば,関連会社間での資金の貸付による利息の計上方法など,会計処理方 法は同一に行われるべきである。
 D法人住民税などの地方税の納税額の配布方法についての検討もなされなけれ ばならない。例えば,個別会社ごとに計算を利用する方法や平成9年4月か ら導入される地方消費税を「各都道府県ごとの消費に相当する額」による配 布方法なども参考になるであろう。しかしなぜ赤字会社の所在する地方自治 体に連結申告のため税割額が発生するのかなど納得されにくい問題もあるた め,会社ごと事業所(支店など)ごとに配布基準となる申告額の算定基準を 設けるべきであろう。しかしこの場合には,複雑な事務手続を要することに なる。

 以上のように連結納税制度の導入については,連結の範囲の問題,外国法人との問題など今後十分な検討をなされなければならない。なお,我が国でも一定の要件の下に,子会社等を整理する場合に損失負担均等の損金算入が認められ,連結納税と同様の取り扱いが一部とられている。

(注1) 通商産業省産業政策局産業組織課編 前掲書 194頁
(注2) 報告では,この他にメリットとしてだされた意見を次のように挙げている。
 @米国型…イ,三つのプロセスは別々であり,一度分社化した後にある程度時間がたってから,資本関係を断つようなこ段階の会社分割を行うこと(既に存在する子会社株式を親会社株主に交付する場合)が可能となる。ロ,まとまった分割規定の創設に比べ,検討が容易だと考えられる。ハ,会社分割は,按分比例で連帯債務である限り,株主および債権者の利益を害することはありえず,厳密な分割規定を設けなくても,単に株式交付が可能とすればよい。
 AEU型……イ,会社分割効果を会社法上認める以上,会社法において正面から分割概念及び分割規定を整備すべきである。ロ,包括承継効果,債権者保護等,分割に特有な効果,規定を付与することができる。
(注3) 通商産業省産業政策局産業組織課編 前掲書 208頁
(注4) HELVERTNG, Com'r of Internal Revenue, v. GREGORY.,No. 324,Circuit Cout Of Appeals, Second Circuit. March 19, 1934,69 F.2d 809,評釈には,須貝脩一「米国判例にあらわれた実質主義(3)」税法学177号1頁,浅沼潤三郎「米国における租税回避の理念(1)」税法学154号33頁,金子宏「租税法と私法」租税法研究第6号1頁,21頁以下等がある。
(注5) 1928年の歳入法112条(g)では,組織変更における株式の分配(Distribution of stock on reorganization.)として「組織変更の計画遂行に当たって,組織変更の一方の当事者である法人の株主に,その法人又はもう一方の当事者である法人の株式又は社債が分配されるときには,株主がそれと引換にその株式を放棄しない限り,その株式又は社債の受領にから受取人に何らの利益を認識しない」と規定していた。そして,同法112条(i)(l)(B)で,組織変更の定義(Definition of reorganization)として,「ある法人による,その全資産あるいは一部の別法人への移転で,移転の後直ちに移転をなした法人もしくはその株主またはそれらの双方が,資産の移転された先の法人を支配しているもの」と規定している。
(注6) 金子宏「租税法と私法」租税法研究第6号1頁,22頁部分参照
(注7) 渡辺徹也「法人分割と課税−アメリカ法を参考として−」税法学535号95頁, 107頁では,「この考え方は,法人格否認の法理に基づくものではないかととおもわれる。」としている。
(注8) Evelyn F.Gregory,Petitioner, v. Commissioner of Internal Revenue ,Res-pondent.Docket No.55299.Promulgated December 6,1932,27 B. T. A.223
(注9) HELVERTNG, Com'r of Internal Revenue, v. GREGORY.No. 324.,Circuit Court Of Appeals, Second Circuit.March 19, 1934,69 F 2d 809
(注10) GREGORY v HELVERING,Supreme Court of the United States 1935,293 U.S. 465
(注11) GENERAL UTILITIES & OPERATING CO. v. HELVERING, Com'r of InternalRevenue.(Argued Nov.15,1935,Decided Dec.9,1935) 296 U.S.200
(注12) 金子宏「租税法と私法」租税法研究第6号1頁,24頁部分
(注13) 水野忠恒『アメリカ法人税の法的構造』有斐閣1988年,284頁
(注14) 水野忠恒 前掲書 285頁
(注15) 水野忠恒「法人取引の課税理論−アメリカ連邦所得税制度の考察−(1)」法学協会雑誌99巻3号69頁部分。また,新井隆一・酒巻俊雄 『商法と税法』173頁では,否定する見解として,譲渡と出資とは法的概念として同一ではないこと,現物出資と資産の有償譲渡との同一性の有無は,出資者に帰属する経済的支配可能利益が譲渡の場合と同一であるか否かによるものであり,会社の種類により異なるものであることなどの点を挙げている。
(注16) 水野忠恒「法人取引の課税理論−アメリカ連邦所得税制度の考察−(1)」法学協会雑誌99巻3号79頁部分。
(注17) See KAREN C. BURKE,Federal Income Taxation of Corporations and Stockholders,4th ,270
(注18) 法人税法2条18号に規定する利益積立金の資本組入れを配当とみなして課税の対象としたことを定めた所得税法2条2項2号の規定が憲法に違反しないと判断したものに,最高裁昭和57年12月21日判決(判例時報1089号38頁)がある。上告人は,アメリカ最高裁のマッコンバ−判決(Eisner,Internal Revenue Collector v. Macomber,Decided March 8,1920,252,U.S.189)を引用して憲法29条に違反すると主張した。
マッコンバー判決は,株式配当を所得として課税することが,憲法修正16条に違反するするかがどうかが争われた訴訟で,最高裁は,実現した利得のみが所得であり,投下資本の価値の増加は所得ではないとして,普通株による株式配当に課税することは違憲であるとした。
(注19) 武田昌輔「会社の分割と合併(総説)」日税研論集35号1頁
(注20) 中田信正『連結納税申告書論』中央経済社 1978年に発表されている。
(注21) 増井良啓「会社間取引と法人税法−結合企業課税の基本理論−(一)(二)(三)(四)(五)」法学協会雑誌108巻3号1頁,108巻4号1頁,108巻5号1頁,108巻6号98頁,108巻9号1頁,の108巻6号123頁以下。その他,フランス,オランダ,ドイツ及び英国の連結納税制度について概略説明したものに,平石雄一郎「連結納税制度の導入におけるグループ・リリーフ制度の検討」税理35巻4号11頁がある。また,増井良啓 「連結納税制度の国際的側面」ジュリスト1,104号129頁が1997年1月に発表された。
(注22) SEC501:Exemption from tax on corporations, certain trasts, etc.
(注23) 最高裁昭和60年9月26日(昭56(行ツ)214)判決,税資146号751頁。評釈に,坂本定司「債務免除益」税経通信,会社税務判例紹介,38巻15号96頁,大渕博義『法人税法の解釈と実務』43頁がある。


    

Last Updated: 12/OCT./1997