会社分割にかかる税法上の諸問題 97.9.23     

第三章 会社分割における税務上の取り扱い

会社分割は,一面では商法改正の課題という捉え方もされているが,租税法上の整備が図られれば分割が容易となり,今の商法でも解決できるとした考えもある(注1)。確かに,後述の米国での会社分割の方式のように税法による対応で解決しているものもあるが,現状での税法の取り扱いを見るとそれ程容易に解決できるとは思われない。そこで,現状行われている会社分割(分社)における取り扱いを長くなるが整理しておく。

第一節 我が国における税務上の取り扱い

一 会社分割にかかる課税制度の沿革

我が国の商法は会社分割について規定はおいていないが,実務上では会社分割(この章では,全て分社を指している)と同様な手法が用いられいる。しかし税法上はこれら分割に伴う資産の移転については通常の譲渡と同様な課税関係が生じることとし,各種政策的な見地から一定の要件を満たす会社分割については課税の特例を設けてきた。
そこで,まず,会社分割について税法の変遷を見ておく(注2)。

1, 昭和17年,臨時租税措置法において,企業合同のために現物出資したときは,その取得した有価証券につき圧縮記帳の特例が認められた。しかし,これは戦時中の国の政策によった特別の規定であって,必ずしも一般的なものではなく,現物出資により取得した株式については適用されなかった(注3)。

2, 昭和21年の企業再建整備法(注4)において,特別経理会社が,その整備計画において定めた第二会社の設立に当たり現物出資をした場合には,その現物出資により生ずる譲渡益等は,益金に算入しないこととされた。しかし,この規定もまた,終戦の直後における企業の再建整備のための特別措置であって,一般的な規定ではなかった。

3, 昭和23年,大蔵省は蔵税2,758号通牒によって次のように定めた。

@分割会社が,その所有する資産を現物出資して子会社を設立して,その取得した株式を減資の対価として株主等に額面価額で譲渡した場合には,記帳価額による出資若しくは譲渡又は額面価額による譲渡を認める。
A分割会社の株主等が現金出資して子会社を設立し,分割会社が子会社に資産を帳簿価額で譲渡し,その譲渡代金に相当する減資をした場合は,帳簿価額による譲渡を認める。
B分割会社に積立金がある場合において,子会社にその一部を引き継いだときは,分割会社及び子会社ともその積立金の引縦ぎ又は引受けによって損益を生じないものとして取り扱う。
このように,昭和23年において,「会社分割」について税務上の取り扱いを定めたことは,当時の社会的要請に応えたものであるとはいえ画期的なものであった(注5)。

4, 昭和25年に上記通達は法人税基本通達(注6)として定められた。

@ 法人税基本通達253
会社が分割して二以上の法人となるため,被分割会社がその資産を帳簿価額で現物出資して別会社を設立した場合(現金出資をして資産を帳簿価額で譲渡した場合を含む。)において,その現物出資の額に相当する資本の減少を行い,その出資により取得した株式を減資の対価として株主等に額面価額で譲渡した場合は,帳簿価額による出資若しくは譲渡又は額面価額による譲渡を認め,併せて積立金の引縦ぎを認めていた。
この通達は,昭和32年の法人税法改正で,清算所得の復活に伴い減資の対価として株主たる法人が受ける資産はその時価によらなければならないこととなり,昭和40年の法人税法の全文改正を期に削除された(注7)。
A 法人税基本通達254
法人が帳簿価額で現物出資して別法人を設立した場合(現金出資をして資産を帳簿価額で譲渡した場合を含む。)において,その出資によりその別法人の全株式を取得するときは,その資産を帳簿価額で現物出資することを認めた。
この通達は上記253のような減資の手続きをふまないため,昭和40年の法人税法の全文改正に伴い,特定の現物出資により取得した有価証券の圧縮記帳の損金算入として法人税法第51条に吸収された。
B 法人税基本通達258
企業合同によって設立された法人が事業の一部又は全部を解体して,残余財産の分配又は減資の対価として株主がさきに出資した資産を帳簿価額で譲渡したときはこれを認める。
C法人税基本通達259
企業合同によって設立された法人に現物出資(現金出資をして資産を帳簿価額で譲渡した場合を含む。)してた法人が,企業合同により設立された法人の解体若しくは減資に因り消滅する株式等の対価としてさきに現物出資した資産の現物分配を受けた場合に,現物分配を受けた資産に,消滅した株式等の消滅直前の帳簿価格を下がらない価額としたときは認める。
これら,企業合同した法人の事業の解体に対する税務上の取り扱いがあったが,これは一般的なものではなく,戦後20年を経てこの通達の存在理由がなくなったことから,昭和40年の法人税法の全文改正に伴い,削除された。

5, 昭和40年法人税法第51条による課税の特例

法人税法全面改正により,特定現物出資の課税の特例が制度化された。税法上は親会社から子会社に現物出資による財産の移転が行われた場合には,現物出資することも広い意味での「譲渡」に該当することになるから,その現物出資した資産の時価が帳簿価額を超えている場合にはその譲渡益について課税が行われるのが原則である。しかし,会社分割は法的には二つの会社が互いに独立していてもその経済的実態は,親会社の資産が単に子会社株式に代わっただけで出資した資産の含み益は実現していないともいえる。
そこで税法は,現物出資して子会社を設立した場合(特定現物出資),及び金銭出資をして子会社を設立し,その後に営業財産を譲渡した場合(変態現物出資)には,一定の要件のもとに,親会社が取得した子会社株式について譲渡益相当額を圧縮記帳することにより,現物出資した資産の譲渡益について課税の繰り延べを認めることとした。(注8)

6, 平成3年租税特別措置法第66条の創設

土地税制の一環として,現物出資資産の中に土地等がある場合には,企業の実質上の分割に当たる土地等の現物出資について,圧縮限度額を制限して課税の特例を認めることとした。この場合の圧縮限度額は,特定現物出資による譲渡益に相当する全額ではなく,20%相当額は課税の対象となった。

以上のように,税務上は,幾多の変遷を経て,今日,課税の繰り延べは狭い範囲に限定されて認められている。

二 営業譲渡による会社分割

現物出資と同様に,分割の効果を得る方法として,新会社が財産引受の形で営業譲渡をうける方法(商法168@六)や新会社が事後設立の形で営業譲渡をうける方法(同法246条)がある。現行法上で税法上の課税の繰り延べを図るためには,変態現物出資による圧縮記帳を取ることになるが,ここでは税務上の取り扱いの前提となることから,営業譲渡に関する法的な意義について若干の検討を加え,税務上の問題点の整理に留め,税務上の取り扱いについては,次項の現物出資でまとめて検討を加えることとする。

1,合併と営業譲渡の相違

合併と営業譲渡は,経営の合理化,競争力の強化あるいはリストラクチャリング等として行われ,いずれも経済目的からするとほとんど変わるところはなく,企業結合の方法として有効な方法となっている。
合併の法的性格は,合併が二個以上の会社が一つの会社に合体することから,当事会社間で締結される組織上の一種特別な契約で企業結合のもっとも進んだ形態となっている。一方営業譲渡は,営業財産を譲渡・処分する行為であり,企業結合の度合いは合併に比べれば弱く,法的には一般取引上の債権契約となる(注9)。
営業譲渡における「営業」の意味とは,営業譲渡を商法24条の,商号は営業と共にする場合又は営業を廃止する場合に限りこれを譲渡することができるとした語意と同様に捕らえ,一定の営業目的のために組織化された有機的一体としての機能的財産の譲渡をいうとし,営業財産の譲渡にプラス営業活動の承継を必要としている(注10)。

2,上場会社の営業譲渡例

ここで,上場会社の合併・営業譲渡に関する実態調査が報告されているので,それを紹介する(注11)。
この報告は,平成4年4月1日から平成7年3月31日までの間で東京証券取引所が得た開示資料に基づいて発表されたものである。その中で営業譲渡について次のように報告されている。
開示対象になった上場会社のこの三年間の期間の合併件数は104件,営業譲渡件数は13件で,営業譲受け件数は8件となっている。合併の多さが目立っている。
相手会社との関係では,譲渡,譲受けともに子会社の場合が多く,譲渡の場合は13件,譲受けの場合は4社と報告されている。譲渡会社では大半は子会社か出資比率20%以上の関連会社となっている。譲渡の場合の相手会社が子会社である13件はすべて上場会社が自社で設立した会社で,そのうち7社は,譲渡に先立って新規に設立された会社であり,実質的な分社化だと指摘されている(注12)。
営業譲渡・譲受けがが行われた場合の譲渡・譲受け価額の算定については,前記21件中12件が譲渡・譲受け資産等の帳簿価額を基準とし,時価を基準としたもの6件でそのうち1件は営業権を価額の算定としていたと報告されている。
昭和31年に株式会社日立製作所が,その事業部門の一部を日立金属工業株式会社と,日立電線株式会社とに営業譲渡した譲渡価額の決定における課程についての報告(注13)では,「会社分割の際の資産譲渡の特例ならびに分離の主旨にかんがみ,資産は簿価で譲渡することが妥当であるとの結論に到達したのである。」として簿価による譲渡を行っている。課税上の問題は存するが,通常,簿価を用いる場合が少なくない。

3,営業譲渡における課税上の問題点

現行商法では,営業譲渡の定義については何らの規定を設けておらず,単に営業譲渡をめぐる法律関係について若干の規定をおいているにすぎない(注14)。
商法上,営業譲渡の意義については,諸説が乱舞しまさに百科擾乱の感があるとされているが,ここでは簡単に,営業財産譲渡説と地位財産移転説に見解が分けておくこととする(注15)。
営業財産譲渡説では,営業譲渡を営業財産の譲渡と解する説で,この営業財産とは積極財産と消極財産の双方を総称し,それらを一定の営業活動のために組織化した機能的財産と解している。
一方,地位財産移転説とは,営業譲渡を個々の財産の単なる集合体としての営業用財産の譲渡ではなく,それらを現実に営業活動として機能させるための営業活動の全体,すなわち単なる物や権利だけでなく営業上の秘訳,名声,暖簾,老舗などといった財産的価値のある事実関係を含み,単なる各個財産の価値の総和以上の価値を有する組織化され,有機的統一体として機能する財産の移転を目的とする債権契約として認識する。この地位財産移転説が有力説とされている(注16)。
この営業譲渡による会社分割の税務上の立場は,譲渡会社では通常の譲渡と同様に各譲渡資産・負債を時価により譲渡することになり,譲渡対価と譲渡直前の帳簿価額との差額が益金又は損金とされる。この場合の譲渡資産時価は,個々の資産の個別的な処分価値に着目すべきではなくむしろ包括的に収益力のある有機的に移転することから相対的な使用収益価値を持って時価とすべきであると解されている(注17)。
一方譲受会社では,譲り受けによって取得した資産は,通常の譲渡によって取得したものと同様に考えられ,その取得価額は,通常の購入と同様に,受入資産の購入代価に購入のために要した付随費用を加算したところとされる。またその購入代価が時価よりも低い場合には,その差額は贈与として取り扱われるので,譲り受け会社では受贈益が発生し,仕訳としては,借方(受入資産)/貸方(受贈益)となることから,取得価格は時価ということになる。
また,受け入れた資産の評価方法は,譲渡会社の評価方法を継続せずに,譲受会社独自の評価方法を採用することができる。この場合に譲受会社が採用する減価償却資産の耐用年数は,中古資産として見積もり耐用年数によることができる(注18)。

三 現物出資による会社分割

ここでは,会社法における「現物出資」について簡単に整理しておく。
我が国商法では,会社分割に関する定めを置いていないが,営業を現物出資して新会社を設立する方法(商法168@五)と新会社設立後,新会社に新株を発行させてその時点で営業を現物出資する方法(同法280条ノ2@三)を認めている。
現物出資は,会社設立行為の一部であり,団体法上の行為で,財産引受が,売買,請負など一般取引の形式をとる個人法上の契約であるのと相違する。
また,現物出資とは,金銭以外の財産をもってする出資をいい,現物をもってする株式の引受にほかならない。株式に対する出資は金銭でなされるのが原則とされるのに現物出資を認めるのは,既存の企業を株式会社に組織しまたは特定の特許権を実施しようとする場合に,現物出資は設立される会社にとっては必要な財産を確保する利益があり,出資者にとっては便宜があるからである(注19)。
しかし,金銭以外の財産は,金銭と異なり評価の問題が生ずる。妥当な評価額を超える過大評価部分については出資を欠くことにほかならず,資本の充実が阻害される。この様に現物出資は,評価の点で濫用の危険が大きいことから,出資者に発起人としての重い責任を負わせるのを適当として,現物出資は発起人に限り許されている(本条2項)。
一方,現物出資の目的たる財産は,譲渡可能で,貸借対照表能力を有するものであれば,その種類を問わない。したがって,営業またはその一部のほかに,得意先,営業上の秘密,暖簾のような事実関係も出資財産となりうる。しかし,労務または信用の出資は株式会社においては認める余地がなく,会社に対し債務を負担しまたは手形を振り出すことは現物出資として認められない。

1,現物出資による課税の特例
(1)特定出資資産の圧縮記帳

税法においては,現物出資も譲渡として取り扱われるため,現物出資時に,資産を時価により譲渡したことになり,時価と帳簿価額の差額の譲渡損益が生じる。通常時価が帳簿価額より低いため現物出資した会社(親会社)には,譲渡益が生じ,課税を受けることになる。
しかし,現物出資により子会社を設立する場合には,現物出資した財産が子会社の株式に代わっただけで,実質的には子会社株式を所有するという形態を通じて,その現物出資した財産を継続して所有支配してことと変わりがない。
そこで,法人税法51条(注20)では,一定の要件を満たす現物出資(特定出資という)により子会社の設立させる場合には,圧縮記帳により譲渡益を生じさせないとした課税上の特例を設けた。
すなわち,この特例は,現物出資により生じた譲渡益に相当する金額の範囲内で現物出資により取得した子会社株式等の帳簿価額を減額(圧縮記帳)して,その減額した金額を圧縮損として損金の額に算入することによって,現物出資による譲渡益を消滅させている。
この場合の経理処理は,いったん譲渡益を計上し,同時に子会社株式の圧縮損を計上して結果的に課税関係を発生させないようにしているのである。
帳簿価額200,時価1,000の資産を現物出資した親会社の仕訳は,次のようになる。

(現物出資時) 子会社株式 1,000   資産 200
                 譲渡益 800

(圧縮記帳) 圧縮損 800     子会社株式 800

この様に,譲渡益と圧縮損との損益が相殺されて,課税関係が生じない。
(なお,特定出資資産の中に土地等(土地又は土地の上に存する権利)が含まれるときは,100%の圧縮は認められない。これについては,次の2項でふれる。)

(2)特定出資の要件

特定出資の課税の特例認められるための要件は,次に掲げるものですべての要件を満たさなければならない(法法51@,法法令93)(注21)。
@ この現物出資が新たに法人を設立するためのものであること
イ,増資のための現物出資でないこと。
ロ,新設法人は外国法人でもよい(法法142条)。
ハ,新設法人は,清算中の法人は除かれるが,青色申告法人であることを要し ない。
ニ,新設法人は,株式会社等の会社はもちろん協同組合や公益法人などもこの 規定の適用がある。
A 親会社が新設法人の総株数の95%以上を所有すること
B 新設法人の出資者のうち親会社以外の者(5%未満)が払い込んだ1株当たり の金額が,親会社が払い込んだ1株当たりの金額に比べ著しく低くないこと。
C 新設法人が親会社から受けた各資産につき,親会社が出資直前に付していた 帳簿価額以下の金額を受入価額としたこと。この帳簿価額は税務計算上の金 額である。
また,上記の要件をすべて満たし圧縮損を損金経理したときに特定出資の課税の特例が認められるが,特定出資により取得した株式につき,その帳簿価額を損金経理により減額しないで,特定出資に係る資産の出資直前の帳簿価額とその特定出資により取得した株式の取得のために要した経費との合計額以上の金額をその取得価額とした場合にも認められる(法基通10−6−10,10−7−6)。

2,土地等を現物出資した場合の課税の特例

特定出資資産のなかに土地等(土地又は土地の上に存する権利)が含まれるときは,前記(2)の「特定出資の要件」をすべて満たした上に,次に掲げる要件を満たさなければ,圧縮損の損金算入は認められない。かつ,すべての要件を満たした場合でもその譲渡益の80%相当額)の圧縮損の損金算入しか認められない(措法66@)。
@ 親会社がその現物出資の日からその日を含む事業年度終了の日まで継続して 出資要件(親会社が設立法人の総株数の95%以上の株式等を所有する)を満 たしていること
A 親会社がその翌事業年度開始の日から出資の日以後5年を経過する日までの期 間(出資要件充足期間)内において継続して出資要件を満たすこととしてい ること
B 新設法人の行う事業が親会社において行われていた事業の全部又は一部であ ること

この特例が適用された場合では,譲渡益相当額の20%が課税の対象とされることから,特定出資要件のについては,親会社が出資直前につけていた帳簿価額にその価額の100分の20に相当する金額を加算した金額以下の金額で,各資産の受入価額とすることとなる(措法令39の10@)。また,現物出資資産の中に土地等以外の資産が含まれていた場合には,この80%圧縮記帳の適用は,土地等以外の資産にも及ぶ(措通66-4)。
この取り扱いは,平成4年1月1日以降に行う出資について適用されているものであるが,会社の実質上の分割にあたる土地等の特定出資に限って課税上の特例を認める趣旨である。すなわち,親会社の所有する更地を子会社に現物出資し子会社においても更地のままとするような分割は,実質上の会社分割にはあたらず,親会社の事業に利用されてきた工場用・事務所用・研究用・福利厚生用・研修用等の土地が特定出資され,子会社においても親会社と同様の用途で事業の用に供すること(措通66−1)が会社の分割とされるのである。
また,子会社の設立後増資又は合併が行われた場合に,上記出資要件を満たしているか否かは次により判定することとなっている(措通66−3)。
@ 親会社が増資後の子会社株式等を95%以上所有する
A 親会社が子会社又は合併法人の株式等を95%以上所有する
なお,出資要件充足期間内において子会社株式の譲渡,増資合併等により,出資要件を満たさなくなった場合には,圧縮損として損金算入された金額相当額は,出資要件を満たさなくなった事業年度において益金の額に算入し,子会社株式の帳簿価額は出資要件を満たさないこととなった日の直前において同額増額があったものとみなされる(措法66A,措法令39の10A)。

3,変態現物出資による課税の特例

(1)変態特定出資による圧縮記帳

法人が新たに法人を設立するため,現物出資をすることに代えて金銭を出資し,その所有する金銭以外の資産(土地又は土地の上に存する権利を除く)をその新設法人に対してその設立後に譲渡した場合に,その出資及び資産の譲渡が一定の要件すべてに該当するときは,その譲渡した資産を,前節の特定出資により出資した資産とみなし,新設法人についてはその特定出資により受け入れた資産とみなして,圧縮損の損金算入を適用することができる(法基通10−7−1)。これは商法(246条)でいう事後設立における適用を定めたもので(注22),現物出資も事後設立も実質を見ればいずれも資産の譲渡・売却ではないと考えられるからである。そして,この変態現物出資の特例では,定款の記載が要件とはされていない(注23)。一般に,営業譲渡による会社分割では,この方法により課税の繰り延べを図っている。
この事後設立とは,商法246条に定める財産取得契約を指さしている。会社の設立中に,会社の成立を条件としてなす財産取得契約を財産引受とよび,法はこの契約が,現物出資に関する規定の潜脱手段として濫用される危険を考慮して,変態設立事項の一つとして定款に記載し検査役の調査をうけることを要求した。
これに対し,事後設立は,会社の成立後に取締役が,会社のためになす財産取得契約であることから財産引受として定款に記載することも検査役の調査も受けることもないところから,財産引受に関する規定を潜る手段として利用される危険があるとして事後設立においては,この契約に株主総会の特別決議を要求していた。しかし,中小企業の法人の場合には,少数の特定株主が株式の過半数を保有しているのが常態であり,特別決議が効果的な規定とは成り得なかったことなどから平成3年4月1日施行の商法等の改正によって,事後設立に総会の特別決議を要求する従来の規定を維持するとともに,総会決議の前提として原則検査役の調査を課すこととなった(注24)。それと同時に,現物出資等及び事後設立の場合,一定の規模以下の財産あるいは取引所の相場のある有価証券,不動産を出資(譲渡)するときには,検査役の調査を要しないこととされている。
なお,現金1,000を出資して,資本金1,000の子会社を設立し,その後親会社の帳簿価額1,000,時価2,500の資産を変態現物出資した場合の親会社,子会社の仕訳はそれぞれ以下のとおりである。

親会社 子会社
(現金出資時) 子会社株式1,000/ 現金1,000  現金1,000/資本金1,000

(資産譲渡時) 現金 1,000/ 資産1,000  資産1,000/現金 1,000

子会社株式1,500/譲渡益1,500

(圧縮記帳) 圧縮損1,500/子会社株式1,500

(2)変態特定出資の要件

変態特定出資の課税の特例が認められるためには,次に掲げるすべての要件を満たさなければならない(法基通10−7−1)。
@ 新たに法人を設立するためのものであること
A 親会社が新設法人の株式等を100%所有すること
B その資産の譲渡が,その設立の時においてあらかじめ予定されていたもので あり,かつ,新設法人の設立後遅滞なく一時に行われること
C 取締役会等で譲渡資産を特定し,取締役会議事録等で明記しておくこと
D 「設立後遅滞なく」とは従来(昭和55年の法人税基本通達の改正前)おおむ ね1か月以内とされていたが,1ヶ月以内に譲渡することが困難である場合に は,困難な理由の合理性により判断するとされていた(注25)が,現行では独禁法 の営業譲渡等の禁止期間,裁判所の選任する検査役の調査等の期間等の事情 を考慮して可能な限り速やかに資産の譲渡が行われること
E 新設法人が親会社から受けた各資産につき,親会社が出資直前につけていた 帳簿価額以下の金額を受入価額としたこと

(3)土地等を変態特定出資をした場合の課税の特例

変態特定出資資産のなかに上地等が含まれているときには,前記2(土地等を現物出資した場合の課税の特例)と同様の取り扱いとなっている。
なお,この場合の要件の@は,親会社が子会社設立の日からその資産の譲渡の日を含む事業年度終了の日まで継続して出資要件を満たしていることとなり,また,出資要件は親会社が子会社の株式等を100%所有することとなる(措通66−6)。

4,現物出資における課税上の問題点
(1)土地等を含む現物出資の問題点

措法66条は,平成3年に土地税制改革の一環として,また,相続税対策として利用され,子会社設立後に所定の要件を満たさないなど,会社分割と認めがたいものについても特定出資の対象になっていたことなどから要件を厳しくするとともに圧縮の範囲を縮減したものである。
出資要件等については,会社分割が単にその形態を変えただけで実体は変わらないとするものであることから課税を繰り延べる趣旨であることからすると,妥当であると考えられるが,親会社がその土地の上で行っていた事業を継続しなければならないことは,設立後の子会社の企業活動が妨げられることや有効な土地活用を制限するという弊害が予想される(注26)。

(2)裁判例からみた現物出資の間題点
1,裁判例等

法人税法51条(特定の現物出資)に関連して発表されている裁判例,裁決例等は非常に少なく,筆者の知る限りでは僅かに次の二件に見られるにすぎない。この内容について概略を示す。
イ,子会社設立後の現物出資(注27)
船用品輸出入業を営む同族会社である請求人が行った平成2年3月期(自平成元年4月1日至平成2年3月31日)の事業年度において,米国に新設した子会社を設立後,請求人が所有していた米国所在のA会社株式を帳簿価額により現物出資し,法人税法51条所定の圧縮記帳をして申告したが,課税庁はこの圧縮記帳は認められないとした課税処分を行った。
これに対して審判所は,本件現物出資が子会社設立以後にされ,本件子会社が本件現物出資前に米国において他社を買収するなど法人として機能していることから,法人設立のための出資とは考えられず,法人税法51条に規定する「新たに法人を設立するため」に該当しないとし,また,本件現物出資の前提条件となる金銭出資が行われていないこと,本件現物出資前に本件子会社は法人として機能していること等から,法人税基本通達10-7-1(注28)に定める変態現物出資にも該当しないとして請求人の行った圧縮記帳の適用を認めないとして判断した。
ロ,会社設立後に行う現物出資を合意解除(注29)
Xらは,祖父所有の土地を路線価額の一割増しで共有購入し,翌年有限会社を設立し購入価額で現物出資した。課税庁は,有限会社の出資持分の評価は純資産価額法により算定すべきだとして,近隣の基準価額を基に時価評価した金額をもって譲渡所得の収入金額とすべきであると指摘した。Xらは,譲渡所得が発生すると知り,現物出資は錯誤無効を主張したが,課税庁は,現物出資の取り消しはできないとして,譲渡所得漏れを理由に更正処分をおこなった。
裁判所は次のように判示している。
納税義務者は,納税義務の発生の原因となる私法上の法律行為を行った場合,右法律行為の際に予定していなかった納税義務が生じることが判明した結果,この課税負担の錯誤は動機の錯誤であるとして,又はこの錯誤のために合意解除したとして,右法律行為が無効であることを,租税行政庁に対し,法定申告期限を経過した時点で主張することはできないとした一審判決に加え,国税通則法23条2項3号による,課税標準又は税額等の基礎となった事実にかかる契約が,当該契約後生じたやむを得ない事情によって解除された場合に該当する更正の請求は,当初課税されないと思っていたものが課税されることになり,その契約を合意解除することは,「やむを得ない事情」に該当しない。
2, 裁判例等から見た問題点
イについては,外国子会社設立における現物出資の問題で,それぞれの国の法律により設立されるという特殊事情が存在していた。子会社の設立地においては,設立登記の法制度はなく,法人の設立は許可制で,資本金についての規定がない外国での設立であった。具体的には平成元年11月13日に資本金ゼロドルで設立許可証がおり,平成2年1月31日に資本金をゼロドルから1ドルに増資し,平成2年3月26日に現物出資し資本金を1ドルから2ドルに増資された。これらがそれぞれ増資と見るかは意見が分かれるところであろう。いずれにしても外国地法によりよらなければならない外国子会社の設立の場合に我が国で新たに子会社を設立する場合と異なるのは当然のことで,法の解釈として一律に解しきれない問題を含んでいる。
ロについては,現物出資固有の問題ではなく,本稿の検討材料には直接はならないが,米国で会社分割の際に,個々の事案に対してIRSの見解を事前の確認するプライベート・レター・ルーリング(private letter ruling)の制度について今後検討すべきであろう。
これらの事件のように,特定出資による適用要件は狭く,納税者サイドにおいて税務判断が困難なものが少なくない。この様に裁判例等として公刊されている件数が少ないことの一つには,適用範囲か限られ,実際に利用されている件数が少ないことが考えられる。

四 会社分割における企業会計上の取り扱いとその問題点

以上のように現物出資や営業譲渡による資産の子会社への移転における資産の価格は,会計上,第三者間取引すなわち時価によるべきではなく,分割法人(親会社)の帳簿価額によることが妥当だと考えられる(注30)。帳簿価額を超える価額を出資価額とすることは,未実現利益の計上につながることから,会計上は,会社分割に伴って資産の譲渡益を計上することは原則として妥当とはいえないと考えられる。そこで現行税法でも,前項のように,会社分割の実質に着目して設立時の課税繰延措置(法法51条)がとられ,略式記帳による帳簿価額の株式への付け替えを認めている(法基通10-7-6(注31))。
企業会計上では,合併に比べると会社分割を取り扱ったものは非常に少ない。それは,会計学の観点から見れば,会社の分割は,資産,負債,資本の分割に過ぎず,役員・従業員の移籍については会計学の問題として認識することができないからである(注32)。
そこでここでは,問題点として意見の挙がっているもののみを簡単に列挙しておくこととし,税務上の取り扱いについては,次項に譲ることとする。
イ,会計理論としては,現行商法が現物出資の定義・その具体的内容について示していないとして現物出資にいう「現物」とは何を指すか明確でないとした意見(注33)。
ロ,無形固定資産としての暖簾,特許権,ノウ・ハウや開発費・広告宣伝費など の繰延資産が現物出資資産として適当であるかどうかについての指摘(注34)。
ハ,現物出資資産の受入価額をどの様に決定するのが会計理論上適切かとした指 摘。
ニ,現物出資時に,特定出資法人と新設法人との間で発生した債務,いわゆる創 設債務が会計学上認められるかとした指摘。
これらについて,税務上は租税独自で割り切るとした考えもできるが,会計理論上確立したものとなれば,税務上も当然それに従うべきであろう。

五 課税上の取り扱い

1,借地権を現物出資したときの課税

特定出資の適用を受ける会社分割をする場合に,土地,建物を特定出資資産とする場合が少なくない。この場合に,建物を出資して子会社の借地権を制定する場合にこの借地権が出資の目的となり得るかは疑義のあるところであるが,課税上では,借地権の設定により土地の価額が2分の1に下落するような場合には,その借地権を特定出資資産とすることができる旨が定められている(法基通10−7−1の2,法令138@)。また,変態現物出資の方法により借地権を出資したときも同様とされている。なお,借地権は土地等に該当するため,土地等の特定出資をした場合の特例及び土地等の重課制度の適用を受けることになる。

2,債務の引縦ぎ

会社の分割に当たり,親会社が資産と共にその有する負債を出資の対象とすることができるかは意見の分かれるところである(注35)が,課税上の処理としては,法人が資産とともにその有する債務を特定出資の対象として引き継いだ場合にはこれを認める(法基通10−7−2)としている。
この場合,資産の帳簿価額から負債の帳簿価額を控除した金額が,圧縮限度額計算上の出資直前の帳簿価額となる。
また,その引き継ぐ債務は特定出資した資産とのひも付き関係になくてもかまわないと考えられているが,創設負債については,通達(法基通10-7-2(注書き))で,以上のように親会社の外部負債についてはその引継は認めているが,変態現物出資の場合の創設負債については特定出資資産と認めていないところから消極的に解されている(注36)。

3,各種特別勘定等の引縦ぎ

法人が特定出資に際してその特定出資の資産とともに,その出資資産に係る債権償却特別勘定(注37),返品債権特別勘定,補修用部品在庫調整勘定,単行本在庫調整勘定,圧縮記帳引当金又は圧縮記帳積立金のこれら金額を新設法人に引き継ぐことを認めている(法基通10−7−3)。これは,これらの金額が特定出資のよって出資された資産に係る評価勘定の性質を有するものであるところから,引継資産とワンセットで引き継ぐことはむしろ当然だと考えられるためである(注38)。
この場合に,その新設法人が引継ぎを受けたこれら債権償却特別勘定などの金額については,その新設法人がその繰入れ等をしたものとして取り扱われ,逆に引継ぎをしなかった場合には,特定出資をした法人において益金の額に算入することとなる。

4,引当金・準備金・利益積立金等の引縦ぎ

次の引当金等は,特定出資に際し子会社に引き継ぐことはできないとされている(法基通10−7−4)。
@ 貸倒引当金等の法人税法に規定する引当金
A 海外投資等損失準備金等の租税特別措置法に規定する準備金
(特別償却準備金を含む)
B 保険差益特別勘定等の法人税法又は租税持別措置法に規定する
圧縮記帳のための特別勘定
C 利益積立金額
D 資本積立金額
これら親会社の引当金・準備金等は子会社へ引き継がせることはできないので,親会社に残された引当金は,その出資した事業年度において洗替えによる取崩し等で益金に算入される。
特定出資にあたっては,引当金は引き継げないこととなっている。しかし,たとえば貸倒引当金の場合,その引当金の対象となった債権が子会社に引き継いでいる場合には,子会社の最初の事業年度の債権残高に対して貸倒引当金を設定することができるので,事実上は引き継ぐことと同一の効果を持つ。

5,償却超過額等がある場合の処理

親会社が特定出資をした場合において,その特定出資の対象となった資産の帳簿価額が税務上の帳簿価額に基づいていないときは,次によることとされている(法基通10−7−5)。
@ 親会社がその特定出資の対象となった資産に係る償却超過額等を含めないで その資産の帳簿価額を計算した場合のように,税務計算上の帳簿価額に満た ない金額を基礎としてその特定出資により取得した株式の帳簿価額を計算し ているときは,その株式についてその満たない部分に相当する金額を益金の 額に算入するとともに,その償却超過額等は法人の計算にかかわらず損金の 額に算入する。
A 親会社がその特定出資の対象となった資産に係る評価益の否認金等の修正を しないで,その資産の帳簿価額を計算した場合のように,税務計算上の帳簿 価額を超える金額を基礎としてその特定出資により取得した株式の圧縮記帳 をしたときは,その否認金に相当する金額を親会社のその特定出資をした日 の属する事業年度の益金の額に算入してその否認金を消滅させる。

以上のような処理をとるとすると,子会社においては,そのような償却超過等を調整(増額)しない帳簿価額を受入価額としても,税務上の帳簿価額以下となるため,特定出資の要件は充足するが,設立以降の損金算入額を考えれば償却超過等を調整して税務上の帳簿価額で受入処理する方が有利になるのは言うもでもない。
一方,受入資産に評価益の否認金がある場合には,その否認金を調整(減額)した税務上の帳簿価額で受け入れる必要がある。もし調整(減額)せずに受け入れた場合,税務上の帳簿価額を超えてしまい特定出資の要件を満たさなくなるからである。
親会社が,新築貸家住宅等の割増償却を行っており,その割増償却適用期間の途中でその対象資産を子会社に特定出資した場合でも,子会社はその期間を引き継いで割増償却することはできない(法基通10−7−7)。この割増償却は,新品の取得にかかるものが対象となるため,中古資産の取得として取り扱われる子会社においては適用はないのである。

6,土地重課制度

土地等を譲渡(出資)した場合,譲渡利益金額に対して通常の法人税率とは別途の特別税率が適用される。この場合の譲渡利益金額は圧縮記帳により損金算入された金額を控除することとなっている(措法62の3C,63C,63の2C)。
すなわち,特定出資資産のなかに土地等が含まれる場合の圧縮限度額は,通常の場合の80%となるため,譲渡利益金額の20%に相当する金額は損金算入されない。
したがって,譲渡利益金額の20%に相当する金額は圧縮対象外として通常の課税がされるとともに,土地重課制度の対象ともなるのである。

7,新規取得土地等に係る負債利子の特例

会社分割によって設立された新設法人が,その資産中に新規取得土地等を有する場合においては,一定期間の負債利子の損金算入は認められない(措法62の2@)。ただし,特定出資(変態特定出資)により取得した土地等はこの規定から除外されている(措法62の2B一イ,措通62の2(1)-3)。
親会社が新規取得土地等以外の土地等を特定出資した場合であっても,その特定出資により取得した子会社株式が土地保有法人の株式に該当する場合,その子会社株式は新規取得土地等に該当することとなり,負債利子の損金算入は認められない(措通62の2(1)-4)。
この土地保有法人とは,その所有する総資産価額(時価)のうちに占める土地等(収用に取得されたもの,建物等の用に供された土地等は除く)の価額(時価)の割合が70%以上である法人をいうものとされている(措法令38の3K)。

8,受入資産等の取り扱い

特定出資に該当するためには,子会社が親会社から受入れた資産等の受入価額は,親会社の出資直前の帳簿価額以下でなくてはならない。
なお,受入資産に土地等である場合には,出資直前の帳簿価額に差益金の20%に相当する金額を加算した価額以下が受入価額となる。もし受入資産の時価が帳簿価額よりも低いときは,その時価以下の金額で受け入れなければならない(法法令32@三,38@四,54@六)。
特定出資により受け入れた土地等の取得日は,特定出資の日ではなく,親会社が実際に取得した日を引き継ぐ(措法令38の4S三,38の5S,38の6J)ことになる。

9,出向・転籍に伴う税務
イ,給与負担金等の取り扱い

会社分割により従業員を新設法人に移籍させる場合に転籍又は出向という形態をとることがある。転籍の場合には,雇用関係が一旦打ち切られ,新設法人に再就職することから給与の支払いに関しては通常の取り扱いより税務上問題となることは少ないが,出資法人(出向元法人)との雇用契約は従来どおり継続しながら新設法人(出向先法人)の指揮命令下で勤務する出向という形態をとった場合には,出向者は新設法人で労務を提供しているため,その出向者に対してその出向期間に対応する給与・給与・退職給与等は,原則として出向先法人が負担することとなる。
出向者を受け入れた出向先法人がその出向者に対して直接支給するのではなく,出向元法人が支給し,出向先法人が負担すべき給与負担金を出向元法人に支出する形態をとっている場合には,出向先法人ではその出向者に対する従業員給与又は役員給与として取り扱うこととされている(法基通9−2−28)。

ロ,賞与引当金の取り扱い

出向先法人が出向者に対して支給する賞与の額の全部又は一部を出向先法人に負担させている場合又は出向者に対して賞与の較差補てんとして支給する金額がある場合には,出向元法人及び出向先法人においては,その出向者が支給を受ける賞与の額のうちそれぞれの法人が負担する部分の金額を基礎として賞与引当金の繰入れができる(法基通11−4−13)。
この場合,出向元法人及び出向先法人が支給対象期間基準により賞与引当金の繰入限度額を計算している場合には,出向者に係る賞与の支給対象期間は,それぞれが負担する部分の金額のその負担の基礎とする支給対象期間によることとされる。
また,出向先法人が出向元法人に対して支出する賞与負担金については,出向元法人がその出向者に対して賞与を支給したときに出向先法人が賞与として支給したものとして取り扱われるが,出向先法人が継続してその負担金を支出したときに賞与を支給したものとして計算している場合には,その計算も認められている(法基通11−4−13(1)(2))。

ハ,退職給与引当金の取り扱い

退職給与は,給料の後払い的性格,在職中の功労に対する報酬や退職後の生活補償にあてるなど種々の面を持っているが,このような退職給与の性質からすると,出向期間中に出向者から労務の提供を受けるのは出向先法人であるから,出向者の出向期間に係る給料,賞与ばかりでなく,その出向者に対する退職給与も出向先法人が負担するのが原則である。このように,出向期間中の出向者の退職給与は,出向先法人が負担するのが原則だが,このうちの全部又は一部を出向先法人が負担しない場合でも,次のような相当な理由があれば,負担しないことも税務上認められている(法基通9-2-33)。
@ 親会社が,経営危機に瀕している関係会社等に強制的に使用人を出向させ, 業務の監督等をさせている場合。
A 新技術の習得のために出向させるように,専ら出向元法人の利益のために出 向させていることが明らかな場合。
B 出向期間が比較的短期間であるため,退職給与まで出向先法人に負担させる ことが適当でない場合。

退職給与については,転籍前法人は,転籍の時点で,転籍者に退職給与を支給し,転籍後の法人で新たな勤続年数がスタートするのが一般であるが,これに対して,転籍時には退職給与の支給はせずに,転籍後に在職年数を通算して支給する場合がある。この場合に,転籍前法人及び転籍後法人が支給する退職給与の負担額が,合理的に定められていれば,通常それぞれの法人における退職給与として損金となるが,転籍前の法人及び転籍後の法人が支給した退職給与が,これらの法人の他の使用人に対する退職給与の支給状況,それぞれの法人における在職期間等から見て明らかに相手方である法人の支給すべき退職給与の全部又は一部を負担したと認められた場合には,相手方に対する寄付金とみなされる(法基通9-2-35)。
退職給与の負担区分の仕方について,次のいずれかの方法によっている場合には,その負担区分は合理的なものとされる(法基通11-5-26)
@その転籍者が転籍後の法人を退職する時に支給すべき退職給与の額(要支給 額)をそれぞれの法人における在職期間の比により負担する方法
A要支給額のうち転籍の時におけるその転籍者の退職給与の要支給額またはそ の金額に転籍期間に見合う通常の金利相当額を加算した金額を転籍前法人が 負担する方法

10,消費税の取り扱い
イ,現物出資における消費税法の取り扱い

消費税法上,現物出資(金銭以外の資産の出資)は資産の譲渡等に該当する(消法令2@)。
そして,現物出資により資産の譲渡等が行われた場合,課税標準となる金額はその出資により取得する株式又は出資の取得のときにおける価額(時価)に相当する金額とされている(消法令45A)。
また,現物出資資産のなかに課税資産と非課税資産とが混在している場合には,出資により取得した株式等の時価に,課税資産の時価と非課税資産の時価との合計額のうちにその課税資産の時価の占める割合を乗じた金額が課税対象となる(消法令45B)。
ロ,会社分割があった場合の消費税の特例
消費税における事業者免税点制度や簡易課税制度を利用して消費税の課税を逃れるために会社分割が利用されることがないように,消費税法では,分割親法人が分割子法人を実質的に支配してい特定現物出資等の方法で子会社を設立し親会社が実質的に子会社を支配している場合には,分割後の消費税については親会社の基準期間に係る課税売上高あるいは親会社及び子会社の基準期間に係る課税売上高の合計額により,納税義務の有無,簡易課税制度の適用の有無等を判定するという特例が設けられている。

11,会社分割とその他の租税

会社分割により新会社設立のための設立登録免許税が課される。通常,不動産を取得した場合には不動産を取得したときの価格を課税標準とし,原則として100分の4の税率により不動産取得税が課税される(地法73条,同73条の2,同73条の13,同73条の15)が,次の要件を満たしている会社分割による不動産の取得については不動産取得税は課税されないこととされている(地法令73条の7,同37条の14)。
@ 分割しようとする株式会社(被分割会社)が,分割により新たに設立される 株式会社(分割会社)に現物出資(現金出資をする場合におけるその出資の 額に相当する被分割会社の資産の譲渡を含む)をしていること
A 分割会社の発行済株式のうち,100分の90以上の数の株式を被分割会社が所有 していること
B 分割会社が被分割会社の営業の一部の譲渡を受け,その譲渡に係る営業を継 続して行うことを目的としていること
C 分割会社の取締役の1人以上が被分割会社の取締役又は監査役であること
株式会社以外の会社(合名・合資・有限会社)においても,上記と同様であるが,分割会社は被分割会社の会社の種類と同一であることを要求される。
会社分割による土地の取得についても,特別土地保有税の対象となるが,課標準となる土地の取得価額は,親会社の取得価額によることとなる(地法593,地法令54条の34)。
自動車取得税は,課税時期に取得している者に課税され,不動産取得税と同様に一定の要件を具備した現物出資の場合には非課税とされている。

12,その他

みなし配当課税については,従来,商法学者と租税法学者との間で制度の良否について見解の対立がみられた。商法学者は,株式の消却,利益積立金の資本組み入れ等が行われたときに株式に課税する必要はなく,株主が株式を譲渡したとき譲渡益に課税すれば良いとしていた。
租税法学者はそれに対して次のような考え方を概ねとっている。
基本的には,租税は所得を課税ベースとして課税するという立場をとっている。所得の捉え方には,各人の収入のうち消費・支出に向けられるものを所得として捉える消費型所得概念と各人が収入等の形で新たに取得する経済的利得を所得として捉える取得型所得概念が所得ベ−スとして考えられている。また取得型所得概念には,経済的利得のうちで利子,配当,地代,利潤,給与等のように反復・継続的に生ずるもののみを所得として捉え,一時的,偶発的な利得を所得の範囲から除外する制限的所得概念と反復・継続的に生ずるものばかりでなく,一時的,偶発的な利得を含めて考える包括的所得概念として把握し,この包括的所得概念が我が国を含め諸外国の租税制度に広くとられている(注39)。この立場からすれば,配当とみなして課税することは,課税ベース独自の問題であり,その課税政策が受認できないほどの不合理でない限り認められる。
平成2年6月に,商法が改正(法律64号)され,株式配当なる概念がなくなり,配当可能利益の資本組入れの規定が創設されたが,課税上は従来と変わらず利益積立金の資本組入れ等をみなし配当として課税される(注40)。
しかしこの問題で興味深いのは,近年に,極めて時限的・政策的とはいえ,例外措置が租税特別措置法に設けられたことである。一つは,平成3年から5年間の期間を限って,株式会社,有限会社が最低資本金に達するまでの利益等の資本組み入れの場合のみなし配当課税を非課税にしたことと(注41),もう一つは,平成6年の自己株式を取得し利益をもって消却した場合のみなし配当課税の源泉徴収の不適用措置が設けられたことである(注42)。このような政策的な措置が採用され得る前提には,@その措置の政策目的が合理的であるかどうか,Aその目的を達せするのにその措置が有効であるかどうか,Bそれによって公平負担がどの程度に害されるかによる判断が必要となると考えられている(注43)。これら三つのハードルは,租税が独自の立場から課税政策を実行する場合にもまた当てはまるべきガードルとなるであろう。みなし配当は,包括的所得概念のもとでの課税については不合理とはいい得ないし,課税することで一部課税漏れを防ぐという目的にもかなってる。最後の公平負担が害されるかどうかどうかのテストが残るが,金銭配当によるバランスを考えれば,また,所得の内に占める割合が少ないことから公平負担が害されるとは考え難い。むしろ,この平成3年と平成6年の法律によってみなし配当課税の特例が設けられたことにより,公平負担の原則が崩されてしまったことにたいしては,全体として課税しないとする論拠に傾いたことになり,そうであるならば,もはや利益をもってする株式分割に対して課税する根拠は少なくなったといえるであろう。
第二節 米国における会社分割
日本の租税制度は,第二次世界大戦後の1949年にコロンビア大学のシャープ博士(Dr. Carl S. Shoup)を中心としたアメリカ合衆国の税制使節団による,いわゆる「シャープ勧告(注44)」によって,その後の日本の税制の基本的な枠組みが決められた。また米国の租税政策は国際課税ルールにおいてもその中心的な役割を果たしている。そのため日本の税制の研究については,米国の税制や訴訟ケースを参照される場合が少なくない。
そこで,比較法から米国の税制を検討することは,本稿の問題点を明らかにする上で多くの示唆を与えるであろう。

一 会社分割における米国税法の取り扱い

米国では,会社法上に会社分割の規定はないが,次の方法により会社分割が行われた場合には,非課税措置がとられている。
米国での会社分割は,分割タイプDリオガニゼーション(注45)による組織変更によるものと,そこには含まれないものとがあるが,その中心となる規定は,I.R.C.(Internal Revenue Code)355条で一括非課税の規定を定めている。
しかし,この非課税の規定を定めた355条の目的は,「議会が非課税の会社分割を認めた意図が,一般に,企業の所有者に,その事業の遂行に際して彼ら所有者が最も適切であると考えるところにしたがって,その所有単位を,より小さな単位に分割することを認める点にあったことは重要である。したがって,会社又は株主の正当な事業目的を考慮したものであって,もとより,節税目的のために,会社分割の免税の特典を与えようとするものではなかった。」とされていることは興味深い(注46)。

1,スピン・オフ(spin-off)による会社分割

スピン・オフとは,親会社となる法人が資産の一部を分離して別会社(子会社)を設立し,その子会社株式を親会社の株主に交付することによって,一つの会社を二つ以上の会社に分割する方法である。この場合,株主が何らの対価を支払うことなく現物配当により子会社株式を手に入れることができる特徴を持っている。
このスピン・オフでは,現物配当として配当可能利益の算出手続きが要求されるため,利益剰余金が十分でなければ,減資や定款変更が必要になる(注47)。
なお,この形態には,次の二つの方法がとられる(Sec.355(a)(1)(2),Reg1.355)。一つは,新設子会社の株式を分配する方法で,親会社が5年以上にわたって積極的事業活動(active conduct of a trade or business)をしてきた資産を出資(譲渡)し,これと交換に新設子会社の株式を取得し,それを親会社の株主に分配する。いま一つは,既存会社の株式を分配する方法で,親会社が5年以上所有している子会社の株式を分配する方法と親会社が5年以上所有している子会社に5年以上にわたって積極的事業活動に活用してきた資産を現物出資(追加出資)して,その子会社株式を親会社の株主に分配する。
分割親会社は,子会社と,子会社株式のみを対価として,それとの交換で資産を譲渡しているかぎり,譲渡益に対する課税関係は生じない。
株主に対しては,分配会社が,子会社の株式のみを,対価なしに株主に分配するかぎり,分配に対して含み損益を発生させない。
資産を受け入れた子会社では,自己の株主と交換に金銭その他の資産を取得しても損益は発生しない。

2,スプリット・オフ(split-off)による分割

分割法人(親会社)が,その所有する子会社株式(新設又は既存子会社)を分割法人の株主に分配する点では,前述spin-offと同じであるが,子会社株式と交換に親会社株式を持っている親会社の株式を親会社に給付(surrender)するところがspin-offと異なる(Sec.355(a)(2)(B))。これを図示すると以下のようになる(注48)。

   [省略]

すなわち,split-offは,親会社株式と子会社との交換において分配される。なお,分割後に存続する会社は,共に,積極的事業活動を行っていなければならない。
課税関係については,株券のみの交換であれば,spin-offと同様であるが,交換差金を受け取った場合には,親会社,株主とも売買と同様に課税関係が生じる。
スプリット・オフも配当可能利益算出と同様によって行われるが,スピン・オフと異なる点は,配当が許されない場合でも,株式買い戻しとその消却によれば分割が可能だとされている(注49)。

3,スプリット・アップ(split-up)による分割

分割会社(親会社)が,2以上の子会社を設立し,資産をそれぞれの別法人に譲渡して別法人の株式を取得後,親会社株式と交換に株主に子会社株式を交付する。そして,親会社は完全に清算する。
以下にsplit-upを図示する(注50)。
   [省略]
なお,分割後に誕生する新会社は,積極的事業活動を行っていなければならない。また課税上の取り扱いは,spin-off,split-offと同様である。
この場合には,法人の清算を伴うことから,株主総会の特別決議が要件とされるが,多数の株主の同意を得ることが容易ではなく,しかも債務弁済の手続きなどが発生するなどの負担の指摘がされている(注51)。

4,その他

一般の法人設立と同様に,親会社による親会社による財産出資も可能であるが,課税の優遇措置は与えられない。

二 課税の沿革

1,スピン・オフ

1924年の歳入 (Revenue) 法では,分割前会社(被分割会社)やその株主が,分割後も分割会社を支配しながら分割会社への資産の一部あるいはすべての分割である場合や,分割会社の株が組織変更の手段として株主に分割された場合その株主に何ら利益を与えないようなスピン・オフについて非課税を定めていた (注52)。
このスピン・オフの包括的な租税免除は,これを利用した後述のグレゴリー (Gregory)事件に現れた租税回避取引を助長するものであったため,グレゴリー事件が最高裁に上程中の1934年にこの規定は廃止された。下院予算委員会(the House Committee on Ways and Means) は,会社が株主に対して,課税すべき配当が課税されないことが可能とされていたスピン・オフを用いる回租税回避行為は終わらせられるべきであると考えたのである。
その後,税金回避を防止するための適切な制限を設けた非課税分割であるスピンオフを復活させたいという要望がなされていた。
1951年にある特定の条件が満たされた場合に非課税とするスピンオフの規定が条項(112条)に定められたが,この条項は,1954年に特定の条件のもとで等しいタイプの会社の分割に適用可能な歳入法355条として改正され,現在に至っている(注53)。

2,スプリット・オフ(split-off)

1934年の改正では,スピン・オフの代用となりうるスプリット・オフにも課税の免除の規定は廃止されたことにより,租税回避としてこの手法を用いることは少なくなった。
1954年以前の法文上からも,スプリット・オフは免税となるべき組織変更の要件を全て満たしていた。スプリット・オフが元の会社株式の放棄を伴うスピン・オフと何ら変わらないこと,もし分配が比例しているなら,意味のない方式であることそしてそれ故スピン・オフと同様にして課税されるべきであるとした議論がなされていた。しかし,1953年になって,事業目的をを有し比例配分されたスプリット・オフについては課税の免除を認めたのである(注54)。

3,スプリット・アップ(split-up)

清算を伴う完全な分割としての組織変更であるスプリット・アップの方式は,1918年当初より課税が免除されていた。スピン・オフによる課税免除の規定が廃止された1934年以後もスプリット・アップについては,課税免除は規定は維持されていた。
これは,スピン・オフが組織変更において課税を免除することによって租税回避の手法となり得ると非難されたことからすると,スピン・オフと同じ目的のために用いられるスプリット・アップについて1934年以降も免除を認めているという興味深い扱いであった。すなわち,依然として,会社が一つの会社にその事業資産を,そしてもう一つの会社にその必要とされない流動資産を移して,そして完全な清算で両方の会社の株を分配することが可能であった(注55)。

三 会社分割を非課税とする理論的根拠

米国歳入法(Sec.355)が,法人分割を非課税として認める理論の根拠には,事業の所有者が,事業を継続しながら,単にその実体が変わっただけであるからだと考えられている(注56)。また,次のようなに根拠付けも考えられる。これは,どのような組織で法人事業を行うべきかという経営上の選択に任せるべきで,税法が干渉すべきでないということ。そして,経済活動の面から,もし法人分割をすることによって,株主及び法人が課税されることになるなら,法人を分割することはそれだけ困難となり,事業に関する最適な資本構成への移行が阻害されることになるから課税すべきではないとする考え方である(注57)。
しかしこれらの根拠は,課税すべきではないという経済的・政策的な論に端を発している。しかし,課税ベースを資産の移転時に課税の認識を行うべきものだとするならば,会社分割も別の法人格を持つ資産の移転であることに変わりはないのであり,課税ベースから,原則,「移転」を放棄するとすれば,今度はどこに課税するのかということになる。
一方,合併の場合には通常課税しないとすると,その逆の組織再編の会社分割とどう違うのかという問題も提起される。そこでアメリカ法人税では一定の要件の基に会社分割を課税しないとした。すなわち,アメリカ法人税では,あくまでも会社の実体は継続している点に重点を置き,これを補強するために,355条が適用される要素として支配要件,積極的事業活動要件,5年要件,分配要件,それに手段要件とする原則的要件を定めた。米国法でも,今日では原則「課税」は放棄していないのであるが,一定の要件の下で例外的に認めることにしたのである。そして一定の要件の下になる根拠に経済的実質の同一性・連続性を例外の根拠としたものと思われる。

三 原則的要件(general requirements)

1,支配要件(controlled corporation)(Sec.355(a)(1)(A))

支配要件は,会社が,その所有する子会社株式を株主に分割をする場合には,その分割直前において,当該子会社を368条(c)(注58)に規定する「支配(control)」をしていなければならないとし,この「支配」とは,会社のすべての議決権株式の80%以上を所有し,かつ,それ以外のすべての株式の80%以上の所有がなされていることをいう。

2,積極的事業活動要件(relating to active businesses)(Sec.355(a)(1)(C))

積極的事業活動要件とは,分配後,分配会社および被支配会社の双方が,積極的に事業活動を行わなければ,これら会社分割は,非課税とならないとする。
積極的事業活動要件は,1954年の歳入法355条の最も重要な改正の一つであった。
この要件については,歳入法355条に「積極的事業(active business)」として明記されているわけではなく,規則(the regulations)によって次のような指針を示している(注59)。会社は,利益を生み出すための特別な活動やその利益を生み出す課程を含む活動をしていれば,積極的事業を行っているとされる。
この定義上,問題となる資産に投資用資産(例えば,株式,証券,土地その他の投資目的用資産)や所有者が重要な役務の提供をしていない賃貸用不動産の二つがある。課税庁は,積極的事業とは,会社が直接に実質的な管理と営業活動を行っている必要があるとしている。不動産の賃貸では,その会社の活動が単に監督的あるいは助言的なものや管理の提供が第三者によって行われているならば,これらは積極的事業にはならない。同様に,親会社が,新たに分割した子会社からその事業に使用する不動産をリースした場合には,子会社の賃貸は,積極的事業活動(active trade or business)ではなく,単なる投資活動とされることがある。しかし,賃貸業は,所有者が直接管理維持業務を行なっていれば,積極的な事業活動となる(注60)。

3,5年要件(5-year period ending)(Sec.355(b)(1)(B))

歳入法355条では5年要件を定め,積極的事業活動の要件は,取引前5年の期間についても満たされていなければならないとする要件で,5年間積極的に事業が営まれていれば,それは配当に対する課税を回避する目的で行われているのではない推測が働くと考えられた。例えば,新規事業の準備において,スピン・オフを利用して流動資産を一時的に投資することを防止され,現金又は投資資産しか所有しない会社はこの要件を満たすことはできないことになった(注61)。

4,分配要件(distribution)(Sec.355(a)(1)(D))

分配要件とは,分配を行う会社は被支配会社の株式その他の証券をすべて分配しなければならない。ただし,一部の株式その他証券を分配しないことが,租税回避を目的としたものでないときは368条(c)に規定する支配要件を満たす株式のみの分配でも良い。

5,手段要件(devise)(Sec.355(a)(1)(B))

手段要件は,分配が主に未処分利益を分配する手段(device)として行われるものであってはならない。この手段要件は,積極的事業活動要件と共に,後述のGregory事件のような取引に対処するために設けられたもので,355条のに関する制定法上の各要件のなかで,その適用基準が最も曖昧なものといわれている。この様にIRCは,会社分割について税制上に詳細な規定を設けて租税回避の道を閉ざしている。



(注1) 江頭憲治郎他「会計・租税法の接点」商事法務1,411号10頁。20頁江頭教授部分で,「つまり,100%子会社を設立して,その会社に現物出資なり営業譲渡なりするのは,法人税法51条により非課税でできるわけです。あとその子会社株式を株主に対して税金がかからず分配できれば,それで会社分割になってしまうわけで(す),」と述べられている。
また,NTTの分割が必要であれば特別の立法によるべきだとし,その場合でも株主の利益の計られならないとしたものに,小塚荘一郎「NTT分割の会社法上の諸問題」ジュリスト1,080号61頁がある。
(注2) 税務上の変遷については,武田昌輔監修『DHCコンメンタール法人税法』3,121頁及び武田昌輔「会社の分割と合併(総説)」日税研論集35号1頁の3頁以下に詳しい。
(注3) 同法1条ノ18
(注4) 昭和21年10月18日法律第40号。8条で「特別経理株式会社の特別管理人は,会社財産について命令を以て定める評価換を行はうとするときには,これを整備計画に定めなければならない。」と定め。同法39条に於いて,「(前段省略)第8条の規定による評価換に伴ふ利益は,命令の定めるところにより,法人税法による所得,営業税法による純益の計算上これを益金に算入しない。」と規定している。
(注5) 武田昌輔 前掲著 日税研論集35号5頁部分。
(注6) 昭和25年直法1-100。
(注7) 昭和40年直審(法)59による。
(注8) 昭和40年の改正に先立ち,昭和38年12月6日付けで,税制調査会により「所得税法及び法人税法の整備に関する答申」として次の分割に係る意見がだされている。
「U 分割
 会社が分割して2以上の法人となるため,分割しようとする会社が所有資産を記帳価額で現物出資して別の法人を設立した場合に,その現物出資の額に相当する資本の減少を行ない,その出資により取得した株式を減資の対価として株主に額面価額で譲渡したときは,記帳価額による出資若しくは譲渡又は額面価額による譲渡を認めることとしている。しかし,現行の商法には,このような会社分割の規定がなく,現物出資により新会社を設立するという法律関係に立つことを考慮すれば,次に述べる現物出資と一括して規定を設けることが適当である。
 V 現物出資
(1)全株保有の場合の現物出資
 法人が所有資産を記帳価額で現物出資して別の法人を設立した場合に,その法人が別法人の全株式を取得するときには,記帳価額による現物出資が認められている。
 これに対し,全株式を取得する場合に準ずる場合にもこの取扱いを認めるべきであるとする意見もあるが,親会社と経済的に全く一体である点に着目して現行取扱いが定められていることからすればこれを認めることは適当でないと考える。
 なお,全株を取得して出資した後,株式を一部譲渡した場合には,全株式の取得という上記の条件をみたさなくなるため残りの保有株式に対応する譲渡所得(現物出資した時の資産に見合う譲渡益)について課税すべきであるとも考えららるが,他面残りの保有株式についてはまだその譲渡所得が実現していないところからそれにまで課税することは適当でないとする考え方があるので,この問題については,なお,検討を統けることが適当である。
(2)積立金の引継ぎ
 親会社が,全株保有する子会社にその設立の時に親会社が有していた積立金,諸準備金,引当金の一部をその引き継いだ資産等に対応ずるものとしてそれぞれ適正に引き継いだときは,これを認めるものとする。」
(注9) 濱田広道他「金融機関の合併・営業譲渡をめぐる法律と実務,8,合併・営業譲渡をめぐる諸問題と実務対応」金融法務事情1,450号50頁。「株式会社東京三菱銀行」の合併を念頭において,合併手続きにおける金融機関の取引について検討されている。株主との関係に於いては,「営業譲渡については取引上の債権契約であり,形式的には業務執行機関たる取締役会の判断に委ねられるべきものであるが,合併と同じく,営業の移転を目的として,会社の運命に重大な影響を及ぼすことから,営業の全部または重要な一部の譲渡については株主総会の特別決議事項として(245@一),合併同様反対株主に株式買取請求権を与えている(245ノ2)。」とし,営業譲渡と合併との基本的差異は株主関係の引継がない点にあるとしている。
(注10) 最高判昭和40年9月22日,民集19巻6号264頁。この中で奥野健一裁判官の補足意見を記述しておく。「営業譲渡は,単なる営業用財産の譲渡とその概念を異にする。営業を構成する各個の財産の譲渡は,それが如何に重要なものであつても,また一括譲渡であつても,それだけでは営業譲渡とはいえない。営業譲壊とは,多数意見もいうように,『一定の営業目的のため組織化され,有機的一体として機能する財産』の移転であり,それにより譲受人は譲渡人と同様の営業者たる地位を取得することをいう。すなわち,営業の譲渡とは,譲受人をして営業用財産の取得と経営社たる地位引継の権利を取得せしめ,譲渡人と社会通念上同じ状態にて営業を継続し得る地位を得せしめるものをいう(譲受人が実際上営業的活動を承継実行すると否とを問わない)。」

またこの判決には,裁判官山田作之助,同草鹿浅之介,同柏原語六,同田中二郎,同松田二郎,同岩田誠の反対意見がある。
(注11) 山崎克也「上場会社の最近の合併・営業譲渡等に関する実態調査(上)(下)−平成四年四月一日〜平成七年三月三一日の実態−」商事法務1,405号25頁,1,406号35頁
(注12) 山崎克也,前掲著,商事法務1,406号36頁
営業譲渡・譲受け当事会社間の関係の表が掲載されている。
(単位社)
資本関係 譲渡 譲受け
子会社(持株比率が50%超)
(同100%)
(同100%未満)
関連会社(同20%以上50%以下)
(同5%以上20%未満)
(同5%未満)
13
(12)
(1)
2
0
0
4
(2)
(2)
0
0
4
17
(14)
(3)
2
0
4
合 計 15 8 23
公正取引委員会年次報告として,山一証券経済研究所「増資白書1986年版」一三合併・分割・営業譲渡,商事法務1,081号137頁がある。
(注13) 岸幸喜,佐々木茂「当社における会社の分割の実際」商事法務6頁
(注14) 商法24条(商号の譲渡),同法25条(営業譲渡人の競合禁止),同法26条(商号譲渡人の責任),同法27条(商号譲渡人に対する弁済),同法28条(譲受人の債務引受),同法29条(譲渡人の責任消滅)など。また会社分割とに関連して,商法245条(有限会社法40条)で営業の全部又は重要な一部の譲渡については特別決議をもとめ,同法245条ノ2(同41条)では,これに反対する株主の対しては株式買取請求権が認められている。
(注15) 宇田一明『営業譲渡法の研究』(1993)6頁以下では,営業譲渡説,地位交代説とに分け,それぞれ諸説を論じている。
(注16) 田中久夫『商法と税法の接点』(1996年)274頁
(注17) これは,大阪地判昭和38年3月30日行集14巻3号523頁(控訴審大阪高判昭和39年3月27日税資38巻237頁)により示された。この事件の概略を次に示す。
 農林省より輸入粗糖の割当を受けた製糖業者である蔦屋精糖株式会社(原告,控訴人,以下X社という。)がした昭和31年5月期(自昭和30年6月1日至昭和31年5月31日)の事業年度に於いて,操業状況並びに成績良好な製菓部門を分離し別会社である訴外蔦屋製菓株式会社(以下単に訴外会社という。)を設立した。
 X社は,訴外会社に機械器具等を譲り渡すに際して,機械設備等の固定資産については,鑑定人に依頼して個別的に評価したため帳簿価格より下回り,その差額を評価損として計上したところで確定申告を行った。
 北税務署長(大阪国税局長とともに被告,被控訴人,以下Yという)は,X社の主張するこれら譲渡価格は,適正な時価に比べて著しく低額であるとして,その差額を寄付金と認定し,その限度超過額を損金不算入とした。X社はこれを不服としてYを相手に提訴した事件である。
 これに対して裁判所は,次のように判示している。
 法人が,経営上の必要から,営業の全部または一部を売買譲渡した場合において,その譲渡財産は個々別々に移転するのではなく,包括的に収益力のある有機体として移転する。このため,適正な譲渡価格(時価)は,個々の財産の処分価値というよりは,むしろ総体的な,使用収益価値を重視して算出されなければならない。
 そこで,本件譲渡資産の時価評価は,個々の資産の個別的処分価値に着目すべきではなく,むしろ包括的に収益力のある有機体と目すべきものが,有姿のまま将来継続して使用収益される点に重点を置くべきで,この場合のいわゆる公正な市場価格の確認は困難であるので,その帳簿価格を以て適正な時価と認められる。
 そして,法人がその有する資産を,時価に比べて著しく低い価格で譲渡した場合,その譲渡価格と譲渡時におけるその資産の価格(時価)との差額に相当する金額を相手方に贈与したと認められるときは,その差額に相当する金額は,法人税法上,相手方に対する寄付金として取り扱われるべきである。
(注18) 大沼長清,井上久弥,磯邊和男『第一次改訂会社税務マニュアルシリーズ3 合併・分割』ぎょうせい197頁。
(注19) 『第三版会社法1』基本法コンメンタール96頁,長浜洋一執筆部分
(注20) 法人税法51条(特定の現物出資により取得した有価証券の圧縮額の損金算入)では,「内国法人(清算中のものを除く。)が,各事業年度において新たに法人(人格のない社団等を除く。)を設立するためその有する金銭以外の資産の出資(当該資産の出資その他当該設立のための出資によりその内国法人が有することとなる当該法人の株式の数又は出資の金額が当該法人の設立の時における発行済株式の総数又は出資金額の百分の九十五以上であることその他政令で定める要件を満たすものに限る。以下この項において「特定出資」という。)をした場合において,その特定出資により取得した株式(出資を含む。)につき,当該事業年度において,その特定出資により生じた差益金の額として政令で定めるところにより計算した金額の範囲内でその帳簿価額を損金経理により減額したときは,その減額した金額に相当する金額は,当該事業年度の所得の金額の計算上,損金の額に算入する。」と定めている。
以下,法人税法を法法,所得税法を所法,相続税法を相法,消費税法を消法,租税特別措置法を措法,施行令を令,法人税法基本通達を法基通,租税特別措置法通達を措通,地方税法を地法と略す。
(注21) 大沼長清,井上久弥,磯邊和男 前掲書 202頁に詳しく整理されている。
(注22) 武田昌輔『現代税務全集19,合併・分割の税務』(1983年)226頁以下で,事後設立により圧縮記帳の認められる要件の重要性について,理由を付して説明されている。
(注23) 掃部實他監修『逐条詳解法人税関係通達総覧』3211頁。この他,棚卸資産を事後設立する場合に,原価計算との関係で譲渡時点の簿価が確定しないときは,見積原価で譲渡しておき,期末確定原価との差額を精算することも認められるとされている。
(注24) 酒巻俊雄『改正会社法の理論と実務』(1991年)50頁
(注25) 高木文雄監修『会社の合併・分割・清算・更生』平成8年版405頁。
(注26) 全国婦人税理士連盟第26回研究報告「企業再構築の税務と手続」119頁では,この他に土地の時価評価について税法上明確な明文規定もないこと,取引相場のない株式についての51%控除の問題についても触れている。
また,野田秀三教授は,「税法上の会社分割の問題点」日税研論集35号123頁で,これら措置が土地の異常な高騰に伴う土地投機を抑制する目的とした措置であることから,土地の高騰が沈静化した現在では,目的を達成したとして,この圧縮記帳の否認される20%部分の課税の撤廃を挙げられている。
(注27) 平成5年10月15日裁決 裁決事例集46集169頁
(注28) 法基通10−7−1の要件の概略は
@ 新たに法人を設立するためのものであること(特定出資と同様)
A 親会社が新設法人の株式等を100%所有すること
B その資産の譲渡が,その出資のときにおいてあらかじめ予定されていたものであり, かつ,新設法人の設立後遅滞なく一時に行われること
C 取締役会等で譲渡資産を特定し,取縮役会議事録等で明記しておく
D 「設立後遅滞なく」とは従来(昭和S5年の法人税基本通達の改正前)おおむね1か月 以内とされていたが,現行では独禁法の営業譲渡等の禁止期間,裁判所の選任する 検査役の調査等の期間等の事情を考慮して可能な限り速やかに資産の譲渡が行われ ること
E 何回にも分割して資産の譲渡をしてはならない
F 新設法人が親会社から受けた各資産につき,親会社が出資直前につけていた帳簿価 額以下の金額を受入価額としたこと(特定出資と同様)
(注29) 大阪高裁平成8年7月25日判決,平成7年(行コ)第28号,税理39巻13号300頁
(注30) 寺山昌文「会社分割の会計と税務」商事法務1,
374号20頁
(注31) 法基通10−7−6
10-6-10(交換により取得した資産の圧縮記帳の経理の特例)は,法第51条1項(特定の現物出資により取得した有価証券の圧縮額の損金算入)の規定を適用する場合(措置法第66条第1項の規定を適用する場合を除く)について準用する。
(注32) 新井益太郎「企業会計における会社分割」日税研論集35号63頁
(注33) 新井益太郎 前掲書 85頁
(注34) 新井益太郎 前掲書 72頁
(注35) 野田秀三 「税法上の会社分割の問題点」 日税研論集35号123頁
(注36) 高木文雄監修 前掲書 371頁以下
(注37) 債権償却特別勘定(special bad debts reserve)とは,一般に,貸倒損の計上は,オール・オワ・ナッシングと考えられ,その債権について貸倒の事実が確定した場合に限られるが,回収の見込みがない金額についてあらかじめ税務署長等の認定を受けた場合,又は会社の整理開始等一定の事実が発止した場合には,その債権の一部を債権償却特別勘定に繰り入れて貸倒処理するもの。しかし債権償却特別勘定は,税法上,法令に定めが置かれているわけではなく通達においてその要件・手続きを定めていることについての疑問は多い(垂井英夫他編『租税法判例と通達の相互関係』97頁,中江博行「9,債権償却特別勘定の変革」)。
(注38) 原一郎「会社分割と合併の税務−実務問題−」日税研論集35号259頁
(注39) 金子宏『租税法 第六版』弘文堂168頁。金子教授は,今日包括的所得概念が一般的にとられている理由として,次の3点を挙げておられる。@一時的・偶発的・恩恵的利得であっても,利得者の担税力を増加させるものである限り,課税の対象とすることが,公平負担の要請に合致する。Aすべての利得を課税の対象とし,累進税率の適用のもとにおくことが,所得税の再分配機能を高めるゆえんである。B所得の範囲を広く構成することによって,所得税制度のもつ景気調整機能が増大する。
(注40) 金子宏 前掲書第六版 183頁。
(注41) 旧措置法9の3(平成3年3月法律第16号,平成8年3月法律第17号削除),旧措置法9の4(平成6年3月法律第22号,平成8年3月法律第17号削除)。これらは,いずれも平成3年3月から施行された商法等の一部を改正する法律(平成2年法律第64号)により株式会社及び有限会社の最低資本金制度が導入されたのを受けて,最低資本金(株式会社1,000万円,有限会社300万円)に達するまで利益の配当等を資本に組み入れた場合のみなし配当が非課税とされた。なお有限会社については,当初非課税措置が執られていなかったが,株式会社とのバランスをとるべきだとの要望から設けられた。
(注42) 平成6年3月法律第22号,その後平成7年に一部改正され,特定の非居住者又は外国法人については,自己株式の取得,消却というスキームを利用した租税回避が可能になるという問題に対処するため,自己株式の利益消却を行う株式会社(閉鎖法人に限る)と特殊の関係のある株主にかかる特定のみなし配当は,本特例の適用除外とし,本則どおりの源泉徴収を行うこととされた。(武田昌輔監修『DHCコンメンタール所得税法』5,1340頁)
(注43) 金子宏『所得概念の研究』(1995年)有斐閣238頁。金子宏「商法改正と税制−株式配当および利益積立金の資本組入れを中心として−」商事法務1,223号27頁。
(注44) Report of Taxation by the Shoup Mission. Tokyo:General Headquarters, Supreme Commander for the Allied Forces, December 1949.
(注45) Sec.368(a)(1)(D)で,資産の全部又は一部を譲渡した譲渡法人又はその株主賀その譲渡直後に取得法人を支配ししている場合に課税しないとした定めを置いている。
(注46) 中川美佐子 前掲書 産業経理32巻6号44頁
(注47) 水野忠恒「法人取引の課税理論−アメリカ連邦所得税制度の考察−(1)(2)(3)(4)(5)」法学協会雑誌99巻3号46頁,99巻5号1頁,99巻7号59頁,99巻10号53頁,101巻2号1頁,101巻2号254頁以下
(注48) Crumbley,Friedman & Anders, Dictionary of Tax Terms,272
(注49) 水野忠恒 前掲書 法学協会雑誌101巻2号254頁以下
(注50) Crumbley,Friedman & Anders, supra note 97 at 273
(注51) 水野忠恒 前掲書 101巻2号54頁以下
(注52) See BORIS I.BITTKER & JAMES S. EUSTICE,Federal Income Taxation of Corporations and Stockholders FIFTH EDITION,13-4
(注53) See Douglas A. Kahn & Pamela B.Gann,CORPORATION TAXATION Third Edition,581
(注54) See BORIS I.BITTKER & JAMES S. EUSTICE,supra note 52 at 13-6
(注55) See BORIS I.BITTKER & JAMES S. EUSTICE,supra note 52 at 13-6
(注56) See KAREN C. BURKE,Federal Income Taxation of Corporations and Stockholders,4th Ed.Chapt.10, 270,3rd Ed.は石黒真一訳『アメリカ法人税法』アメリカビジンネス法シリーズ4で訳出されている。
(注57) 渡辺徹也「法人分割と課税−アメリカ法を参考として−」税法学535号95頁
(注58) Sec.368:a statutory merger or consolidation;(C)the acquisition by one corporation, in exchange solely for all or a part of its voting stock (or in exchange solely for all or a part of the voting stock of a corporation which is in control of the acquiring corporation), of substantially all of the properties of another corporation, but in determining whether the exchange is solely for stock the assumption by the acquiring corporation of a liability of the other, or the fact that property acquired is subject to a liability, shall be disregarded.
(注59) Prop.Reg.1355-3(b)(2)
(注60) See KAREN C. BURKE,supra note 56 at 276
(注61) See KAREN C. BURKE,supra note 56 at 274

    

Last Updated: 12/OCT./1997