会社分割にかかる税法上の諸問題 97.9.23     

第二章 会社分割

第一節 会社分割の目的と法的規制

一 会社分割の目的

企業が,その会社を分割する目的には次のような理由が考えられる。
@ 企業組織の再構築(Restructuring)目的
今まで企業組織の再構築としては合併を用いた企業の大型化が図られてきた(注1)。しかし企業の大型化によって,組織の肥大化が進み,逆に小回りの利かない組織体質を生み出してしまう場合もある。
そこで,製造部門と販売部門との分離など複数事業のうちの特定事業部門を分離するような場合や不採算部門の分離などのように,企業内のある部門をグループ内の別会社又は新設会社に移転させて企業の活性化を図る必要から会社分割を求める場合がある。
この様な会社の分割は,経営意識の向上,経営責任の明確化,事業部損益の明確化,業務の効率化,不採算部門の活性化などを追求し,企業の再編成を図り,時代に即応した企業体制を作ることを目的としているが,企業の再構築目的であることについては,合併も会社分割もその経済目的は変わらないと考えられている(注2)。
A 複数社の事業の統合目的
複数社のそれぞれが事業活動をしている同一・類似の事業部門を新たに設立した会社に統合し,集中した事業展開や開発体制をとることによって,国際化や経済情勢の変革に対応しうる企業形態の創出を図るために会社分割を行う場合がある。いわゆる,ジョイントベンチャー(合弁事業)がこれに該当する。
B 一部事業部門の売却目的
過去に行った企業統合等による規模の拡大政策によってできた部門,事業規模を,逆に整理し,あるいは事業転換を図るために,営業の一部あるいは全部を第三者へ売却して,その売却対価でもって事業の立て直し,設備投資,新規事業への投資を行ってゆく目的のため会社分割を行おうとする場合である。
C 労務対策上の目的
新会社の戦略的活用による企業の多角化の推進,新会社への人員の移転等による人材の登用,役員ポストの増加,高齢者に対する効果的な労務対策の実施等による場合も考えられる(注13)。
D 税務上のメリットを活用する目的
分割をすることによって税制上有利な取り扱いを受けるために分割を利用する方法が考えられる。例えば,資本金1億円以下の法人に適用される軽減税率の適用(法人税法66条)を受けることができることから,会社分割により資本金を1億円以下にする。
あるいは,交際費等の損金不算入の制度(租税特別措置法61条の4)は,資本金5,000万円以下の法人では,一定額の控除が得られるため,数社に分割してそれぞれの会社に一定額の控除を利用することができる。
しかし,以上のような我が国の税制上のメリットを目的とする場合(注14)や前記C労務対策上の目的だけによる会社分割は,それほど多くはないであろう。なぜなら税制のみではそれほど多くの効果が期待できないこと,労務対策のみでは余りに非生産的であり,逆に会社分割を行ったことによって管理費用が増加したり出向や転籍の方法によれば人件費のアップにつながるなどメリットが目的効果を減殺させることになりかねない。このため,他の目的との併用が一般的であろう(注15)。
E その他の目的
合併を行う場合など,合併後のシェアが過大となり独禁法の企業結合規制をクリアするために会社分割を利用する場合がある(注6)。

二 会社分割に対する法的規制

会社分割に関する法的な規制は,確立した分割法制が未だ定められていない分だけ合併の場合よりは簡素化されているが,それでも現行法上で会社分割(分社)行おうとする場合には,次のように法的な制限規定が定められている。
@ 商法
商法では,株式会社が営業の全部,又は重要なる一部の譲渡等をするときは株主総会の特別決議によらなければならないとし(商法245@一),現物出資による分割の場合は,商法上の現物出資,財産引受及び事後設立の方法によることとなり,原則として裁判所の選任する検査役の調査を受けなければならない(商法173@,246B)。但し,一定の要件を満たすものについては検査役の調査を省略することができる(商法173A,246B)。
A 独占禁止法
独占禁止法は,一定の取引分野における競争を実質的に制限することとなる場合及び不公正な取引方法によるものである場合には,他の会社の国内における営業の全部又は重要部分の譲受等の行為をしてはならないと定め(独禁法16),営業譲受等会社は営業譲受等に際して公正取引委員会に対し,事前にこの譲受等について届出書を提出し審査をあおいでいる(独禁法15A)。営業譲受等会社はこの届出書の受理日の翌日から起算して原則30日を経過するまでは営業譲受等をすることはできない(独禁法15B)。
B 証券取引法
証券取引法では,上場会社等で,すでに有価証券報告書を提出している会社(証取法24)は,一定の営業譲渡又は譲受けにかかる契約が締結された場合もしくは締結されることが確実に見込まれ,かつ,その旨発表された場合には,臨時報告書を提出しなければならない(開示省令19A八)とされている。
また,分割に際して新会社(株式会社)を設立する場合で,募集設立(商法174)で一定の要件を満たしたときには有価証券届出書又は有価証券通知書を大蔵大臣に提出しなければならない(証取法4@,5@)。
C その他
分割資産のなかに土地等(地上権等含む)が含まれる場合で,かつ,一定面積以上の土地等に該当する場合には,国土法(国土利用計画法)に基づく事前届出が必要とされている。
銀行業・証券業・運送業などその事業の性質上,監督官庁の行政指導を受ける業種の場合には,その主務大臣の許可が必要となる。

第二節 会社分割の形態

一 分割の概念

企業分割・会社分割といってもその使われ方によって微妙に相違して使われている場合が少なくない。本稿でそれぞれの用語の意味を明確にしておくため以下のように定義をすることにする。
企業分割とは,特定の事業部門を分離して一つの会社(被分割会社という)が二つ以上の会社に分割されることをいうが,切り離された別会社(分割会社という)の株式の扱いによって「分社」と「会社分割」に分かれる(注7)(注8)。
会社の財産を分割のために新設された二つ以上の会社に出資して自ら解散し,各新設説会社の株式は解散会社の旧株主に取得させるものを完全分割といい,フランス商事会社法(371条)では分割とはこの分割会社が消滅する完全分割を指している。これに対して,会社がその資産の一部を他の会社に出資してその後も存続する場合を不完全分割(同法387条)という。このいずれも分割と考えることは不当ではなく,むしろ我が国における分割は存続する場合が多いと考えられている(注9)。
また,会社を分割して二つ以上の会社になるというだけでなく,その分割された一部分が同時に他の会社と合併して,一つの会社になる分割合併(同法371条)が分割の一つとして考えられる。

二 分割形態とその評価

会社分割を企業成績評価をするモニター(コーポレ−ト・ガバナンス)からみたときの分類としては,分社型,持株会社型そして 会社分割型とに分ける分割パターンが考えられる(注10)。
分社型とは,いわゆる親会社と子会社の関係となる分割,いわゆる分社といわれるもので,子会社の設立と営業譲渡によって分割が行われ,分社後も親会社は独自の事業を営むため,親,子会社の間で利害の対立(利益相反)や経営者とコアの従業員によって作られる経営機能集団(managing unit)間の利益の追求における利益相反の問題も起きやすくなる。
通常我が国で行われる分割の多くは,この分社型によるものである。
持株会社型とは,会社を数個に分割して親会社が,いわゆる純粋持株会社になるというもので,親会社は,独自の事業を営なわないことから親・子会社間の利害の対立がおこり難くなり,会社分割型に近い。
会社分割型は,すでに述べてきた狭義の会社分割で,物的・人的ないずれの面の分割が行われる。この形態では,親会社が存在しないことから,分割会社間では対等な関係になり,それぞれの会社の株主によるモニターを受けることになるだけである。しかし,現実には全く別会社となり,資本関係がない会社分割は大規模企業サイドからの要望としては通常は多くはないであろう。
また米国では,分割子会社の株式を親会社株主に分配する会社分割型の分割形態として,spin-off,split-off,split-upが用いられる(注21)。
ここでは,次章で重複するが,これらについて商事的な面から概略を示しておく。
@spin-off
会社(被分割会社・親会社・parent company)が,資産の一部を分離して別会社(分割会社・子会社・subsidiary company)を設立し,その子会社株式を親会 社の株主に交付する。この方法では,親会社の株主は,何らの対価を支払うことなしに,子会社株式を手に入れることができる。
Asplit-off
親会社が,資産の一部を分離して子会社を設立し,その子会社株式を親会社の株主に交付する。この場合にspin-offと異なる点は,分割元の親会社の株主が子会社株式と交換に親会社株主が所有する親会社の株式を給付する点で,株式同士の交換という形式をとっている。
Bsplit-up
会社が二以上の別会社を設立し,資産をそれぞれ別会社(子会社)に譲渡するとともに当該子会社の株式を取得し,その株式と親会社の株式とを交換する。そして親会社は清算し消滅する。

以上のような会社分割方法のそれぞれの相違は,財産出資(譲渡)に対する株主総会の決議の要件,株式の分配に対する株主総会の決議の要件や法人資産の減少を伴う場合の保護をどの様に組み合わせるかによっている。すなわち@spin-offでは現物配当の場合,配当可能利益の算出の手続きが要求され,利益剰余金が十分でなければ,分割の前に資本減少及び定款変更が必要になる。Asplit-offの場合では,配当可能利益算出と同様な手続きが要求されるが,@spin-offとの相違は配当が許されない場合でも,株式の買い戻しとその消却によれば子会社株式を分配することができる。Bsplit-upの清算による場合では,株主総会の特別決議が要件となるが,このようなドラスティクな手続きに株主の同意を得ることは容易ではないと考えられている(注12)。

三 分割会社の形態

会社分割の態様としては,被分割会社の種類及び分割会社の種類について制限があるかどうかについて検討されなければならない。すなわち,会社分割を行う場合に,株式会社,有限会社,合名会社や合資会社のいずれでも認められるべきであるか,あるいは分割後の会社は異なった形態がとり得るかどうかである。
合併においては,株式会社は株式会社と合併する場合が一般的ではあるが,商法は,合併の当事者間の種類を問わない(商法56条1項)。また人的会社と合併することもでき,人的会社同士が合併して株式会社を新設することもできる(商法56条2項,同411条参照)。
分割の場合にも合併と同様に,種類の違った会社となる分割も認められるべきであると考えられている(注23)。しかし組織変更が物的会社は物的会社に,人的会社は人的会社のみに認められているように,物的会社から分割した場合には物的会社であるという制限は必要であろう。なぜならば,人的会社と物的会社では,社員と会社との関係のみならず社員相互の関係に於いてもその濃淡に差異があることから(注24),債権者との関係でのバランスが崩れ,また分割という会社の連続性を損なうことになる。

四 現行法上で認められる分割形態

現行商法には,企業分割の規定は存在しない。しかし,実務上は,子会社の設立および営業部門の移転という手段によって,分社化は数多く実施されている。また,一定の場合には,税法上の特例措置も認められている。
1,分社化として用いられる方法
現在,実務上,分社化は以下の方法により実施されている。
@ 現物出資(商法168条1項5号)…被分割会社が,分離すべき営業部門を現物 出資することで新会社を設立する。
A 財産引受(同法168条1項6号)…新会社の設立の際,発起人が設立中の会社 のためにその設立後に被分割会社の営業部門を譲受けることを約する。
B 事後設立(同法第246条)…被分割会社が,金銭出資等により新会社を設立 しておき,その設立後2年以内(ただし税法上の圧縮記帳の要件を満たすに は,設立後遅滞なく(約1ヶ月程度)行う必要がある)に営業部門を移転す る。
C 新会社による新株発行に対する現物出資(同法280条ノ2 1項3号)‥被分 割会社が金銭出資等により新会社を設立しておき,この新設会社が後に新 株発行を行い,これに対して分割会社が営業部門を現物出資する。

2,各類型の分社化における特徴

各類型に対する実務的な評価には,それぞれ次のような長所と短所が考えられる。
@ 現物出資
長所としては,新会社設立のために特別の金銭出資は必要とせず,特定出資に該当する場合には,取得した株式について圧縮記帳が認められ税法上,譲渡益課税の繰り延べ措置が採られている。
短所としては,検査役による出資財産の調査が必要であり,その間営業活動が行えない。また,出資財産は積極財産に限定され,定款にその出資財産内容を具体的に記載する必要がある。
A 財産引受
長所としては,会社の設立を条件として財産移転が行われるため,検査役調査終了後,財産移転までの間は被分割会社で営業可能である。また,貸借対照表能力を有するものであれば積極財産と消極財産のいずれも一括譲渡が可能とされ,変態現物出資に該当する場合には,取得した株式を圧縮記帳して譲渡益課税の繰り延べができる。
短所としては,新会社設立時に金銭による出資が必要となり,検査役による出資財産の調査が必要とされる。この検査役の調査により新会社設立時期が前もって確定することが困難となる場合がある。
B 事後設立
長所としては,金銭出資のため,新会社設立時期を明確にしておくことができ,財産移転は新会社設立後のため,検査役調査終了後,財産移転までの間は被分割会社での営業しることができる。また,財産引き受けの場合と同様に貸借対照表能力を有するものであれば積極財産と消極財産のいずれも一括譲渡が可能で,変態現物出資に該当する場合,取得した株式を圧縮記帳することによって譲渡益課税の繰り延べができる。
短所としては,会社設立のために金銭による出資が必要となり,検査役による出資財産の調査が必要(平成2年改正までは検査役調査は不要であった。)となる。
C 新会社による新株発行に対する現物出資
長所としては,金銭出資のため,新会社設立時期をあらかじめ明確にしておくことができ,財産移転は新会社設立後のため,検査役調査終了後,財産移転までの間は被分割会社で営業することができる。
短所としては,新会社設立時に金銭による出資が必要で,検査役による出資財産の調査が必要となる。また,出資財産は積極財産に限定され,新株発行は現在の資本の4倍までに限られる。圧縮記帳制度の適用がないため税法上譲渡益課税をうけることになる。

以上四類型の利用については,平成2年改正までは事後設立を用いることが多かったが,検査役調査が必要となったため,決定的な差はなくなっている。ただし,これから用いる類型については,以下のような意見が発表されている(注15)。
・新会社設立時期の確実性の観点から,事後設立を用いる。
・商業登記上,会社設立時は弁護士や不動産鑑定士の証明が不要で,その後体 制が整備された後に営業譲渡を行えることから,事後設立を用いる。
・会社定款への記載を逃れ,かつ新会社のための金銭出資および現物出資とい う二重の手間を防ぐため,事後設立を用いる。
・実務上,今まで事後設立を用いてきたので,今後も原則事後設立を用いる。
・金銭出資を省くため,現物出資を用いる。
・取引所に相場のある有価証券または不動産以外の財産を現物出資する場合, 金銭出資を省くため,新会社の新株発行に対する現物出資を用いる。
・検査役検査を免れるために,新会社に現物出資せず,リース賃貸等を通じ新 会社に営業させる。

これらのうちには,法の趣旨・目的から逸脱し,問題となるものも含まれているが,現行法で分社を目指す場合には,事後設立による方法は今後とも利用されると思われる。

3,会社分割として用いられる方法

会社分割については,現行商法の解釈上,株式の被分割会社の株主への交付が可能か否かについては議論があり,通説は少なくとも配当として交付することは不可能としている。このため,我が国では,狭義の会社分割が行われることはほとんどないが,ここでは,敢えて,人的な面にも及ぶ会社分割を考えてみることとする。
これは,人的分割である会社分割を,減資の対価として子会社株式を交付する方法で行おうとするもので,これによって,資本関係もすべて分割される。
この方法は,まず,分社の方式によって新設子会社株式を取得する。その後,被分割会社(親会社)は,有償消却により減資を行い,消却する株式の対価を現金の代わりに会社が分社により所有した子会社株式を,親会社の株主に分配する方法で,この方法をとることによって,結果として,資本関係の分割を行う。この方法が適法であるかどうかは,意見の分かれるところである。適法とする考え方は,利益の配当は現金でなされなければならないが,減資については,対価は現金でなければならないとの制約は存在しない。それに,株式の有償消却は実質的には会社財産の一部の清算であって,残余財産の分配の場合には,金銭をもって行うのが原則であるが,金銭以外の財産をもってすることも株主平等の原則に反しない限り違法とはいえないと考えられている(注16)。
しかし残余財産の分配を現物でする場合には株主全員の同意を有するとの学説も有力で,このことからすれば有償消却による会社分割も安易にとることはできないが(注17),小規模会社などのいわゆる株主の多くない閉鎖会社の場合には全く不可能だともいえないのではなかろうか。

何れにしても,この手法を用いた場合の貸借対照表で流れを次ぎに図示する。

A.親会社(上)   分割会社(下)
諸資産 500 負債 100
資本金300
積立金100

積立金の引き継ぎは認められない

諸資産 100
負債 20
資本金 80

B.親会社(上)  株式の有償消却後の親会社(下)
諸資産 400
子会社株式 80
負債 80
資本金300
積立金100

子会社株式の価額は時価と同じだとしている。

諸資産 400
負債 80
資本金 220
積立金 100

第三節 会社分割に関する法整備の要請

一 会社分割規定立法化の要請

ここで,会社分割に関しては,租税法以外にどのように規定され,あるいはどのような方向性を有しているかを簡単に述べることとする。
我が国商法では会社の分割に関す条項は規定されていないが,経済界を中心に商法典中に規定を置くべきだとの意見が昭和40年代から要望されていた。
そこで,今日まで会社分割に関する要望等を整理しておくこととする(注28)。

1, 経済団体連合会による「産業再編成のための企業分割・合併に関する意見」(注29)(昭和43年9月24日)

この中で「分割に関する諸制度の整備について」とした次の概略を政府関係当局へ要望・提出している。
@分割によって企業のある一部事業部門を切り離し,これを専業化,集約化する ことが経営効率を高めるうえできわめて有効であるから,分割を重視しなけれ ばならない。
A分割に関しては,企業の内部留保,諸引当金,準備金の新会社への引継ぎを認 めるという建前を貫くべきである。
B分割出資を受入れた新会社の株式を,分割出資をした旧会社の株主に割当てる 場合の課税の可否を検討すべきである。
C分割によって新設された会社の登録免許税,不動産取引税について特段の考慮 をするべきである。
D分割による新設会社の株式の上場について考慮するべきである。
などであり,課税要件の緩和についても重要な要素としている。またこの要望では,合併や分割などの会社の組織変更にかかる規定は本来は,商法に体系的に織り込むべきであるとしつつも,産業の再編成に早急に対処するためには,特別立法による準備をすべきであるとしている。

2, 居林次雄「会社分割に関する法整備問題」での意見(注20)(昭和43年)

前記1,経済団体連合会による「産業再編成のための企業分割・合併に関する意見」に関連した意見を発表している。概略を以下に記述する。
@会社分割の規定は,基本法たる商法に規定すべきであり,たとえ早急な立法化 のため特別法によったとしても,あくまでも暫定的なものであるから将来商法 に規定すべきである。
A分割は,フランス法の如く,完全分割,分割合併,不完全分割のいずれも可能 なように規定すべきである。
B分割の立法に当たっては,資産,負債,資本のすべてについて引き継ぎを認め るべきで,かつそのルールを設けておくべきである。
C分割会社や被分割会社との間で社債や抵当権などの法律関係を明確にしておく べきである。
D被分割会社の株主は,分割会社の株式と被分割会社株式とを直接交換できる旨 規定すべきである。
E通常の会社分割について課税関係を生ずることがあってはならない。
F分割前の会社が上場されている場合には,分割後新設の会社になったとはいえ, 実質的には過去の実績を有していることから,上場を直ちに認めるべきである。
3, 東京商工会議所による「『株式会社監査制度改正に関する民事局参事官室試案』についての意見」中の「資本自由化に伴い,企業の再編成が要請されるのに応じ,会社の分割にについて至急規定を設けるべきである」とした意見書が,法務省に提出された。

4, 商法改正研究会私案の発表(注31)(昭和44年)

商法改正要綱私案では,「第八 会社の分割」として会社が分割又は分割合併をする場合には,分割計画書又は分割合併契約書を作成し株主総会の特別決議による承認を得なければならないとし,この場合に暖簾を取得した場合には,貸借対照表の資産の部にその取得価額を計上することができるとしている。
そして,分割もしくは分割合併によって生じた差益は,資本準備金として積立てなければならないと,また,この差益中に分割された会社の利益準備金その他留保利益の額に相当する金額は,資本準備金としないことができると定めている。

5, 吉田私案の発表(注22)(昭和45年)

私案の主な点を要約すると,
@営業の一部を現物出資することとほかならない分割合併は,現行法で実現する ことができることから新制度創設の必要性は必要はない。
A分割した後でも旧会社が存続する場合をのみ分割と認めた。
B分割により取得した新会社の株式を旧会社の株主に割り当てるかは,旧会社の 任意とする。
などである。

6, 商法改正研究会による会社分割に関する私案の見直し・修正(注23)

(昭和61年)
次に概略を示す(注24)。
@立法の対象としての会社の分割は,物的資産の分割だけでなく株主が新会社の 株式をも取得するように株主段階まで分割が及ぶ場合を対象とすべきである。
A存続分割も消滅分割も,ともに,会社の分割とした立法化をすべきである。
Bある会社の一部門を分離して他の会社と合併同様な形で結合する「分割合併」 をも認めるべきである。

7, 最近の動向

政府税制調査会,法人課税小委員会による報告(平成8年11月)(注25)
現行制度下では,法人が海外に法人を設立する場合であっても圧縮記帳により課税の繰り延ができるとされているが,現物出資する子会社が海外子会社の場合には,適用対象から除外することが適当であるとしている。意見として併記されたものには,現物出資資産に土地等が含まれている場合の特例措置について,課税の繰延割合の上限の引き上げや事業継続要件の緩和を検討すべきである等の意見や平成2年の商法改正をふまえて出資比率の要件を100%に改めても良いのではないかなどの意見が報告されている。
これに関連しているので,「連結納税」についての同委員会の報告を次に示す。
連結納税制度については,前提条件となるべき考え方・実態の定着みられていないので,導入の是非を具体的に検討するには時期尚早である。企業分割を促進する等の観点から連結納税制度の導入を検討すべきであるとの意見があった。商法・企業会計,企業経営の実態の変化,国民の認識を注視すべきである。このほか,法人課税の体型の再構築,租税回避行為防止,税収減への対処の必要性等をふまえ,引き続き研究課題とすべきであるとしている。
そして,連結納税制に係る,現時点の具体的な論点として,次のものを挙げている。
イ,欠損金の繰越控除制度など,単体課税を前提とした課税制度となっている。
ロ,子会社形態と複数の出資者による事業形態をとった場合に税負担に差異が 生じる。外国子会社でも連結納税制がとられなければならないが,課税権の 問題等から事実上困難であり,課税の中立性の問題にも関わることになる。
ハ,複雑,厳格な計算が求められ,納税者・執行当局の事務負担が増大する。
ニ,我が国法人住民税は,法人税額が課税標準になっているため,連結納税制 度の導入によって,個々の地方団体に税収変動をもたらし,又,地方団体ご との受益に応じた税源帰属が困難になる。
ホ,寄付金や交際費等の損金算入限度額,各種租税特別措置など現行法人税法 では単体課税を前提に種々の規定が設けられていることから,法人課税の基 本的な見直しが必要となる。
ヘ,税収額の減収は相当巨額になると考えられ,我が国財政事情を圧迫する (注26)。
ト,連結対象とならない欠損会社を利用して連結可能な状態とするなど租税回 避行為が懸念される。
などである。

二 NTT分割の動向

この稿の主題である会社分割における租税法上の問題について明らかにするという直接の目的を離れるが,現在注目されているNTT(日本電信電話株式会社)分割について若干ふれておくことにする。
NTTの分割論議は,昭和57年(1982年)の第二次臨時行政調査会の答申をきっかけに,電電公社の民営化とともに分割の推進気運が高まってきた。NTT分割推進の主な理由としては,国際社会の競争に耐えうる企業体質の構築,巨大化した組織の持つ弊害化をなくす,地域電話市場の独占状態の改善や経営基盤の弱い新規通信事業社との公平な競争の実現などが揚げられている。
今までのNTTの分割議論の中で,現行の商法で分割を行おうとする場合の問題点について,次のような指摘がみられる(注37)。
日本電信電話株式会社法4条1項(注38)により政府は,常時,会社の発行済株式総数の三分の一以上を保有することになっていることとか,現行法で認められている現物出資や営業譲渡等による方法では,単に,分割により多くの子会社ができるだけで結局分割の目的を達成することはできないことを挙げている。
NTTが分割によって取得した株式を処分する場合には,土地等を現物出資した場合に5年以内に処分すれば税法上認められる圧縮記帳の適用が受けられないこととなる。
NTTの発行済株式総数1,560万株の株主は,おおよそ163万人に達し,そのうちの約100万人は一株株主である。このNTTの株主に直接分割会社の株式を有償消却により減資の対価として配布することができるとしても,一株株主の全員に一株ずつ割り当てることは,技術的に不可能であるばかりでなく,もし割当が不可能となれば,今度は小株主の保護に欠けることとなる。
また,NTTが分割された場合でも,これにより新設された会社は,現行の証券取引所の上場審査基準では,設立後5年を経過していることが要件になっていることから,上場が要件となれば,同様に審査基準についての見直しが要求される。
平成8年12月になって,過去14年間の懸案であったNTTの分離・分割問題が,郵政省とNTTの間で大筋合意というかたちでの決着が報じられた(注29)。
この内容は,新たに制度化する純粋持株会社のもとで,長距離(県外)通信部門を分離,地域(県内)通信部門を東西二社に分割し,持株会社は長距離通信会社,地域通信各社の株式の全てを保有し,郵政省はこれに伴う必要な法改正及び連結納税や譲渡益課税に対する特例措置について政府内の調整を進めるというものであった。これに基づき,1997年6月のNTT関連三法案が成立しているが,税制上の取扱いについては,明確にされているわけではない。しかしいずれにしても,NTTの分割においては税制上の優遇措置が採られることになるのであろうが,このような優遇措置をNTTの分割の場合にのみ認めることに対しては反対意見が予想される。

第四節 諸外国の会社分割の状況

諸外国における会社分割の規定は,古く,1966年にはフランス商事会社法に制定され,その後いくつかの諸外国に商事会社法上で分割の規定が設けられた(注30)。 また,1982年にはECの会社分割に関する第六デイレクティブとして会社分割を規定した(注31)。次に諸外国における会社分割について概略を示す。

一,フランス商事会社法(1966年)

1996年7月24日の法律第537号によって交付されたフランス会社法371条3項(注32)では,会社は,「分割の方法によって,その財産を新設の数会社にに出資することができる。(注33)」として,いわゆるこれが完全分割(scission))といわれている。同法371条2項では,「会社は,合併分割の方法によって,その財産を既存の数会社に出資し,又は,既存の数会社とともに数会社を新設することができる。」として分割合併(fusion-scission)の規定がおかれている。そして不完全分割
(scission imparfaite)を規定した同法387条は,「資産の一部を他の会社に出資する会社とその出資を受け入れる会社は,合意によって,その出資と受入れとを第382条から386条までの諸規定に従って定めることができる。」とし,会社がその資産の一部を他の会社に出資後もそのまま存続するとしている。
フランスの会社法はこれら規定をおくと共に,税制上も,大蔵省の承認を条件として,次のような税制上の優遇措置が付与されている(注44)。
株式の配当は,利益の配当と異なり非課税とされる。
法人税(l'impot sur les societes)においては,原則,キャピタル・ゲイン課税されるが,大蔵省の承認のほか,一定の引当金,積立金の引継を要件として,特別規定により優遇措置がとられている。

二,EU会社法調整に関する第六指令(注45)

ヨーロッパ共同体では,加盟国会社法の調整作業の一環として,会社の分割に関する規定の調整を目的とする第六デイレクティブが1982年に採択された(注36)。
この第六デイレクティブは,五章二七条より構成され,会社の分割を合併とパラレルに独立したデイレクティブとして包括的に規定しているが,加盟国に会社分割の制度化を義務付けるものではなく,会社の分割を認める加盟国に対し,株主・債権者保護措置を設けるべきことを要請しているにすぎない。分割に関する特別の規定を置くフランスと,自国法が既に会社の分割を認めているとするイギリスは,第六ディレクティブを国内法化するために,自国法を改正している(注37)。
つぎに,この第六デイレクティブの規定を概略を示す(注38)。
@ 対象
第六ディレクティプは,規制の村象となる会社の分割として分割合併(scission par absorption),新設分割(scission par constitution de nouvelles
societes )及びその両者を組合せた分割の三つの方法をとり(1条),そしてこれら分割形態をとった場合に維持すべき株主・債権者保護水準を明らかにすることを目的としている。この場合の分割合併とは,被分割会社が,清算を伴わない解散の方法によりその積極・消極財産を複数の既存会社(取得会社)に移転し,被分割会社の株主に各取得会社の株式,及びその券面総額の10%を越えない現金を割り当てるもので(2条),新設分割とは,分割合併における取得会社が新設会社であるものをいう(21条)。
A 株主保護
株主に村する事前開示が充実され,分割検査役制度が採用されると共に,これら会社の取締役は,分割計画書の作成・公示及び取締役説明書の作成を義務付けられる(3条1項,4条)。分割検査役制度は,裁判所等により選任又は承認された独立の検査役が分割計画書を調査し報告書を作成する等,事前に厳しいチェックを要求している。
会社の分割には,当事会社の株主総会の特別決議による承認が必要である。新設分割の場合には,被分割会社の株主総会において新設会社の基本定款・通常定款を承認することが許される(22条3項)。各取得会社の株式を被分割会社の株主に持株比率と異なる比率で割り当てることも許されるなど,分割環境を広げ,株主は買取請求権の行使などをを通じて反対株主の考慮がなされている。また,一定の情報が開示されたことを要件として,取得会社における株主総会決議(6条)を,また取得会社が全体として被分割会社の全株式及びその他の議決権証券の全部を所有する場合には被分割会社における株主総会決議(20条)を省略することかできるとしている。
B 分割の効果
会社の分割は 法律上当然にかつ同時に分割当事会社間だけでなく第三者に対する関係においても,被分割会社の積極・消極財産が分割計画書の記載に従い各取得会社に移転し,被分割会社の株主が分割計画書の記載に従い各取得会社の株主となり,被分割会社が消滅する(17条)。
C債権者保護
第六デイレクティブでは,加盟国は当事会社の債権者の利益を保護する相当の制度を設けるべきこと,当事会社の財務状態がそのような保護措置を必要とするに至った場合には,債権者に相当の担保提供請求権を付与すべきことに加えて(12条1項,2項),被分割会社の債務を引き受けた取得会社の債権者が債権の満足を得られない場合には,他の取得会社が当該債務につき連帯責任を負うべき旨を規定しなければならない(同条3項)と規定している。
D分割の無効
第六デイレクティブは,分割の法的安定牲を確保するために,分割無効訴訟制度を採用している。すなわち,無効原因たる瑕疵を帯びる会社の分割は,分割の効力発生日から六カ月以内に提起された分割無効の訴において,裁判所の判決により宣言される。
以上のように,EUではかなり詳細な規定をおいて,加盟国に求めている。これは,EU内ですでに会社分割の規定を設けているフランス会社法を念頭に置き,各国の法環境ををそろえる意味があったものと思われる。

3,その他の諸外国の会社分割(注39)

諸外国において商事法上で会社分割の規定を設けているのは,アルゼンチン会社法(1972年),ブラジル会社法(1976年)やメキシコ会社法(1992年)などがある。米国では,統一商事法による規定こそない(注40)が,税法上の手当がなされているため会社分割が比較的行われ易く,現実に会社分割が行われている。米国の税法における取り扱いについては次章で検討する。

(注1) 合併劇として大きく報じられたものに,平成8年4月の旧三菱銀行と旧東京銀行が合併して東京三菱銀行が誕生した。
(注2) 高木文雄監修『会社の合併・分割・清算・更生』平成8年版275頁。
(注3) 中西敏和「会社分割規制に係る商法・税法改正による影響」商事法務1,256号7頁によって最近の会社分割の増大の背景をこれら理由によると分析する。しかし人材の配置転換等による目的については,企業戦略上前向きな目的とは言い得ない。分社での問題点の指摘として,実務家から「大企業に余剰人員が生まれると,それを整理するために子会社をつくる。新会社設立などとかっこうの良いことを言っても,しょせんはゴミ箱である。いらなくなった人間をくずのように捨てるのである。(酒井邦恭『分社−ある経営者感覚−』朝日新聞社発行15頁)」という意見がある。
(注4) 米国における税制上のメリットは,州現地法人(local "domestic" corporati-ons)を用いることによって州税上の恩典が得られる場合や分割会社に税制上の優遇措置が与えられている。例えばIRC Sec.856では,不動産投資信託では,その通常課税所得の90%以上が株主に分配されるとき,連邦所得税を課せられない(中川美佐子「米仏における会社分割−税制を中心として−」産業経理32巻6号44頁)。
(注5) 高木文雄監修 前掲書 305頁では,会社分割における経営並びに経理上のメリット,デメッリトを整理されて記載されている。
(注6) 独占禁止法8条の4では,独占状態があるときに公正取引委員会は,競争を回復させるための措置を規定している。
(注7) 通商産業省産業政策局産業組織課編『会社合併・分割の現状と課題』別冊商事法務187号173頁
(注8) 企業分割とは,積極・消極の会社財産の分割である物的分割にとどまり,株主の異動を伴う人的な分割を含まない(竹内昭夫・龍田節『現代企業法講座第3巻企業運営』第10章企業の合併と分割413頁)とし,いわゆる分社と同様に解しているものもある。
吉田昂「会社の合併および分割に関する改正意見U−分割の部(1)−」商事法務481号2頁では,「企業分割と会社分割は同一概念ではない。企業分割は会社分割をしなければなし得ないものではない。」としている。会社分割の定義をどこに置くかにより議論がすれ違ったものとなってしまう。
(注9) 商法部会シンポジューム「商法の改正」私法32号63頁,116頁
(注10) 宍戸善一「持株会社と会社分割−企業グループのコーポレート・ガバナンスにおける意義−」商事法務1,412号(1996)8頁。
(注11) U.S.タックス研究会「米国法人税法の調べ方43,44−会社分割の方法として用いられるスピン・オフとはどのようなものか」国際商事法務17巻12号1330頁,同18巻1号76頁。

この他に,spin-awayがある。これは,二つの異なった事業を営む会社が,関連のない別会社の事業の一つと合併をする場合に,その合併の前に,その事業の一つをスピンオフあるいはスプリットオフのいずれかを利用してで別の法人を設立する。合併によってできた会社の株式はそれぞれの会社の株主によって所有されるのに対し,スピン -アウェイでは,その会社の事業の1つの株は,もっぱらその会社の株主によって所有される(Wolfman,Federal Income Taxation of Corporate Enterprise 3rd.Ed,p681)。
(注12) 水野忠恒「法人取引の課税理論−アメリカ連邦所得税制度の考察−(1)(2)(3)(4)(5)」法学協会雑誌99巻3号46頁,99巻5号1頁,99巻7号59頁,99巻10号53頁,101巻2号1頁の101巻2号38頁部分参照。水野忠恒『アメリカ法人税の法的構造』(1988年)有斐閣に同一内容。
(注13) 田村諄之輔「会社分割法制の再論(上)(中)(下)」商事法務1302号10頁,
1303号8頁,1304号8頁,1302号12頁部分
(注14) 鈴木竹雄『新版会社法』(1995年)17頁。
(注15) 通商産業省産業政策局産業組織課編 前掲書 176頁
(注16) 木村るみ子「有償消却による減資の対価として他会社の株式を与えることの可否」商事法務1,140号38頁。
(注17) 河本一郎「個人株主保護の観点からみた会社分割」商事法務1,407号2頁
(注18) 大野實雄『株式会社の分割と分割合併』(1970年)財政経済弘報社5頁に詳しい。
(注19) 商事法務463号55頁
(注20) 居林次雄「会社分割に関する法整備問題」商事法務465号9頁
(注21) 商法改正研究会「商法改正要綱私案」商事法務501号445頁
(注22) 吉田昂「会社の合併および分割に関する改正意見U−分割の部(1)(2)−」商事法務481号2頁,同536号2頁
(注23) 田村諄之輔「商法改正追加事項の検討(4)[15]会社の分割」商事法務1,072号
11頁
(注24) 会社分割における手続きについては,田村諄之輔「会社分割法制の再論(上)(中)(下)」商事法務1302号10頁,1303号8頁,1304号8頁に詳細に検討されている。
(注25) 税制調査会法人課税小委員会「法人課税小委員会報告(上)(中)(下)」
週刊税務通信2,454号34頁,2,455号27頁,2,456号29頁
(注26) 税制調査会検討資料(平成8年7月19日,法小17-1)では,フランスの例を出し,「連結納税による税収減は,19,000百万フラン(法人税収の約12%,94年度)と公表されている。」としている。
(注27) 河本一郎 前掲書 2頁で,検討が加えられている。この中で,「(NTTの)株主に新設会社の株式を取得させることはできず,端株代金の分割しかないとすれば,,結局,会社分割の実をあげることは不可能である。それでも,なお,大株主(政府)の権利に基づいて行えば,それが将来制定されるかも知れない会社分割規定によるにしても,大株主の権利濫用等一般原則上の難問が生じることはさけられないであろう。(カッコ内筆者挿入,同著7頁)」とも論述されている。
(注28) 昭和59年12月25日法律85号
(注29) 日本経済新聞平成8年12月6日夕刊,また同紙平成8年12月7日〜同月14日に「NTT分割1〜8」として連載掲載されている。
(注30) 関東学院大学,中川美佐子教授による論稿で,諸外国において会社法上で会社分割の規定を設けているのは,アルゼンチン会社法(1972),ブラジル会社法(1976)やメキシコ会社法(1992)などを詳述されている(中川美佐子「会社分割の法制と会計−アルゼンチンの場合−」国際商事法務10巻6号299頁,同 前掲著 産業経理32巻6号44頁,同「会社分割と分割会計−メキシコの場合−」産業経理55巻2号23頁)。
(注31) 山口幸五郎,吉本健一「会社分割に関するEC指令について」阪大法学135号
169頁に訳出資料がある。
(注32) 1966年の法律第66-537号。Section W - Fusion et scission.
Art.371. Une societe , meme en liquidation , peut etre absorbee par une autre societe ou
participer a la consititution d'une societe nouvelle , par voie de fusion .
Elle peut aussi faire apport de son patrimoine a des societes existantes ou participer avec celles-ci
a la constitution de societes nouvelles , par voie de fusion-scission .
Elle peut enfin faire apport de son patrimoine a des societes nouvelles , par voie de scission .
(注33) 大野實雄 前掲書 7頁に,フランス会社法について詳しい。
(注34) 中川美佐子 前掲書 産業経理32巻6号48頁参照。
(注35) JO n°L 378 du 31,12,1982,p.47(SIXIEME DIRECTIVE DU CONSEIL du 17 decembre 1982)
(注36) 当初ECにおける会社法調整において,まず第三ディレクティブの草案の中で株式会社の分割が合併類似行為として取り上げられたが,西ドイツが株式会社の分割においてはなお慎重な検討を要するとして第三ディレクティブに取り入れることを反対した。結局,加盟国に強制しない形で第六ディレクティプにおかれることになった(吉田正之「西ドイツにおける会社分割をめぐる法状況」一橋論叢101号1号96頁)。
(注37) 佐藤正典「米国のタックス・フリー・リオーガナイゼーション及びわが国の会社組織変更に関する課税制度−会社分割を中心に」貿易と関税1993.12.78頁参照。
(注38) 山田純子「会社分割の規制(一)(二)」民商法雑誌99巻6号71頁,100巻2号87頁,森本滋『EC会社法の形成と展開』(1984年)345頁参照。
(注39) これら諸外国の会社法については,アルゼンチン商事会社法では,分割会社の解散が分割の要件とはされておらず,アルゼンチン商事会社法ではむしろ分割会社が解散しないことを前提に規定されている。不完全分割以外にも分割合併のうち不完全分割と結びついたものについてのみ規定されている。ブラジル株式会社法でも,アルゼンチンの場合と同じく,分割会社の解散を分割の要件とはしていないが,完全分割に対する規定はおいている(中川美佐子 前掲書 国際商事法務10巻6号299頁)。メキシコ商事会社法では,1991年に所得税法上に規定を設けたのに続き,翌1992年に商事会社一般法で会社分割の規定が導入された(中川美佐子 前掲書 産業経理55巻2号23頁)。
(注40) 中川美 前掲書 産業経理32巻6号44頁

    

Last Updated: 12/OCT./1997